項辞・代名詞・疑問詞
# 項辞
内容語は項辞をつけることで項として使うことができる。
共通事項として、項頭辞は「[述詞]の絶対格を満たすもの」を意味する項をつくる。
さらに、特定性等の観点から、基本的なものとして4種類がある:
ovofi : 花だ
mivofi : (話者の周辺にある)その花
fivofi : (話者が心に抱いている)あの花
tivofi : (文中に出てきた)その花
livofi : (不特定の)花
上記4つの項辞の直後には、その項が複数の対象を指示することを表す複数辞がつけられる。
ただし、複数辞がない場合は数について不定であることを表すのであって、単数を表すわけではない:
-okk-
-ogg-
-ott-
複数辞(分配性・集団性については不定)
集団的複数辞;集団性のある複数の対象を指示していることを表す。
分配的複数辞;分配性のある複数の対象を指示していることを表す。
eg.
mokk-: 複数・現場的特定
fogg-: 集団的複数・心的特定
lott-: 分配的複数・不特定
ただし、-okk- を使うよりも、同一述詞の反復による複数表示のほうが使われる。
そして、これがさらに合成化することもある。このとき、2回目の述詞の活用語尾が取れる。
mokkivofi ≒ mivofi ivofi = mivofivofi
反復表現は述語にも使える。I形では絶対項が複数の対象であることを意味するが、A形ではその動作が反復していることを意味することが多い。
amoi amoi = amoimoi / 雷が鳴り続けている
amoi : 雷が鳴る
※ 分配性・集団性について:
簡単にいえば、分配性とは「それぞれ」、集団性とは「一緒に」という意味。
たとえば、「この2つの砂袋は12kgある」というとき、2つの砂袋それぞれが12kgあるのか、2つの砂袋合わせて12kgあるのかが不明である。前者の読みを明示する場合は -ott- を、後者の読みを明示する場合は -ogg- を用いる。「それぞれ」や「一緒に」という副詞表現がエニシキでは項辞に内蔵していると考えればよい。
さらに、総称項辞、唯一性項辞、性質項辞、事象項辞がある。これらには原則、複数辞はつかない:
glivofi : (総称としての)花
oklok : 熱い
zuklok : 熱いという性質、熱さ
juklok : (何かが)熱いという出来事
性質項辞はU形述詞につくことが多い。
唯一性は文脈ごとに変わりうるが、ふつうはある程度の期間、領域において普遍的に唯一性を保つようなものに使われる。
cizno : 縁
# 代名詞・疑問詞
れっきとした代名詞は次の通り:
■ 人称代名詞
■ 指示代名詞
内容語からつくられる項と異なり、複数辞がない場合は明確に単数を表す。
これらの代名詞は間に複数辞を挟むことで、複数形をなしている。
また、厳密には代名詞ではないが、"o" 「もの/ことだ」 のi形から三人称の代名詞に相当する項がつくられる:
これらにも複数辞をつけることが可能である。これらの擬似的な代名詞は、内容語由来の項であるため、複数辞がない場合は単に数不定である。
また、『投影詞』で詳しく述べるが、"i" それ自体では有生/無生について不定である。
生を明示したい場合は、後ろに fa 「黒投影;無生」か to 「白投影;有生」をつける。 do と pi についても同じ。
do fa : これ/この物
pi to : あの人/生き物
疑問詞は疑問内容語 osme 「どのようか」 に不特定項辞をつけた losme 「何」 で表す。 lesme も同様、 fa や to によって有生/無生を区別できる。
losme to : 誰
『終助詞』でまた述べるが、疑問文では疑問詞を使うのに加え、終助詞を ya にする。
do hosme ya? : これは何ですか?
do losmen hardu ya? : これは誰に食べられたか?
ordu : 食べられる
h- : 述辞;肯定辞;述語の語頭に付ける。