焦点辞・変容辞
# 焦点辞
述詞の頭に焦点辞を付けることで、他の格の項を絶対格へ上書きすることができる。言ってしまえば、態を拡張したようなもの(多分)。
タガログ語の焦点化と近い何かがあるが、エニシキの焦点辞は格辞のある格(能格、具格、因格)のみにある。
en-
et-
el-
能格転換
具格転換
因格転換
焦点辞の綴りは非常に規則的で、相当する格辞の頭に "e" をつけた形となっている。
絶対格は(述語が述定されるという意味で)話題項であるので、項のフォーカスを移動させるために使われる。
また、関係詞や終助詞における要請から、焦点辞をつけなければならないケースも多々ある。
なお、焦点辞が複数つくことはない。
焦点辞によって追いやられた元の絶対項は付加項(絶対項以降の無標項)化、または被包辞によって述語につける。
osorenta : 飲食店
ojdena : 悲しみを覚える
do nin misorenta ma hardu ja. これは私がこの飲食店(で)食べている。
ni do mosorenta ma henardu ja. 私はこれ(を)この飲食店(で)食べている。
ni mosorenta ma doz henardu ja. 私はこの飲食店で、これ-食べている。
ni fal hujdena ja. 私はあのことによって悲しみを覚えている。
fa ni helujdena ja. あのことは私を悲しませる。
## 付加項の焦点化のための las構造
付加項を焦点化するための方法として、「接頭辞 las-/laz- + 格投影詞 + 語末母音」を用いる方法がある。
do nin misorenta ma hardu ja. これは私がこの飲食店(で)食べている。
mosorenta lasmaa(,) nin doz hardu ja. この飲食店では、私がこれを食べている。
この lasXXX のことをlas構造と呼ぶ。格投影詞の語頭が有声音の場合、laz- につなげる。
las構造はもっぱら付加項の焦点化のために使われるが、述詞を取り込んだ文修飾的用法もあり、この場合はカンマが必須:
lasomlii, ni mivip hardu cke. 嬉しいことに、私はその果実を食べられる。
このとき、取り込む述詞は必ずo形。語末が連続母音のときは語末母音を伸ばさない。(下の例文参照)
文修飾的las構造は、その内容語(複合体)の絶対格に話者がきて、後続の文に対する態度を表す。
そのため、文修飾的las構造を構成する内容語は原則、感情表現や命題態度に関わるものである。
lasowihii, fiboa holju ja. (私は知っている)あの子供は生きている。
# 変容辞
変容辞を活用語頭の直後に組み込むことで、その内容語の意味を変えることができる。
日本語でいうところの「非」「反」などに相当する接辞。
otfo : 悪い
odatfo : 悪くはない
osotfo : 良い
onutfo : 良くも悪くもない
oratfo : 最悪だ/かなり悪い
omitfo : 少し悪い
変容辞をつけて有意味になるかどうかについて、体系的な理論はない。