内容語のタイプについて
エニシキはその他動性によって、生起する格に傾向が見られる。
しかしながら、エニシキの特性上(すなわち、事態を記述するための言語)、他の言語より他動性による文法的束縛が薄い。
N: 能格
T: 具格
L: 因格
H: 絶対格
原則絶対格は生起するので、パターンとしては N, T, L, (N,T), (N,L), (T,L), (N,T,L), H, - の9通りがある。
現状(2015/9/17)分かっていることだけを書いておく。
# Xタイプ
otuタイプとも呼ばれる。天候や自然現象などがここにくる。
otu := 晴れている
# Hタイプ
ofonタイプとも呼ばれる。もっぱら自動詞的な内容語がここにくる。
ofon := Hは起きている/目が覚めている
N が生起すると使役的に、L はその動機、T はそうであるための手段 などがくる。
# Nタイプ(N、NT、NL、NTL)
orduタイプとも呼ばれる。もっぱら他動詞的な内容語がここに属する。
このとき、T は N が H に作用するための手段/道具となり、L はそのような事態が起こる理由/原因がくる。
Nタイプではふつう N はあまり省略されない。
ordu := NがHを食べる
# Tタイプ
自動詞的な内容語に多い。付加項の昇化の結果生じるのがこのTタイプ。
たとえば、ejde 「訪れる」 において 「訪問先」は va項(向格項)で表されるが、これが定着化することで T でも表せるようになっている。
ni cirefa va havli ja. → ni cirefat havli ja. / 私は日本に訪れている。
ovli := HがTに訪れる
命題態度もここに属する。
# Lタイプ(L, LT)
orsuタイプとも呼ばれる。これも自動詞的な内容語に多いが、他動詞的な内容語もやや属する。
LタイプではNはあまり生起されない。Tは、Hの様態や変遷など、内容語によって様々である。
感情系や感情具現系はLタイプに属する。Nタイプに比べて他動性は低いが、H、Tタイプよりは他動性が高い。
Tタイプと比べると、Hに対する支配性が異なる。LタイプではLがHを支配するが、TタイプではHがTを支配する構図である。
Nタイプと比べると、その意志性が異なる。Lタイプでは、LにHへ影響しようとする意志がみられないことがほとんどである。
そのため、自然現象や事象など無生な項がほとんどである。
Nが生起した場合、NがLを起こして、それによりHが然りであるというような事態を描く。
# 被包項との関連
能、具、因の格は無標で表すことができないために、格の不定表現として、被包項化して述語修飾させるというものがみられる。
これを格の被包化という。
格の被包化は 具>>因>能 の順で起こりやすいが、具格が圧倒的に生じやすいが、焦点化の際はこの限りではない。
# 焦点辞との関連
焦点化によって、元の絶対項は被包化する。焦点化は自動詞化を招きがちである。