魚類の行動研究においては、再現性の高いデータを得るために定量的な観察が欠かせない。一方、複数の魚からなる群れを観察対象としつつ、個体レベルで遊泳運動や摂餌行動・逃避行動を精密に計測するには多大な手間とコストがかかる。
本研究では、ビデオをもとにした手作業による行動記録を基盤にしつつ、作業負担を大幅に軽減し、さらには基本的な行動指標の解析機能を持つソフトウェアを開発した。
さらに、開発したソフトウェアを用いて小型魚類のメダカの逃避行動を解析し、逃避行動における複数個体のメダカの動きを同時に定量的に記載した。
開発したソフトのスクリーンショット、個体間距離や移動距離、遊泳軌跡などを記録できる(かなりの部分は人力ですが)
このソフトを使って、鳥のくちばしを模した棒を水槽に突き込んだ時のメダカの群れの行動を測ると。
わずか1秒程度の間にこんなに行動が変化していることがわかった。メダカは動きを少なくすると共に群れを密集化させている。しかも、棒が水に着く前に行動開始している。(見えているのだろう)(学会でのポスター発表はこちら)
(水産増殖59, 367-373(2011)より改変引用)
*本研究で開発されたソフトウェアは、無償で配布しています。まだ未完成な部分もありますが、ご希望があれば連絡を下さい。行動の定量的観察を行う際のひとつの技術的選択肢となれば幸いである。
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