ゼブラフィッシュの警報物質 〜抽出から行動反応まで〜
2012年78月21日 スーパーサイエンスハイスクールの生徒対象の実習を行いました。
警報物質とは、魚の体表が傷ついた時に放出される化学物質で、周囲の仲間に捕食者や外敵の存在を伝える役割があります。「警告物質」とか「警報フェロモン」などともよばれています。
今回は、ゼブラフィッシュの皮膚からこの警報物質を含む水溶性画分を抽出し、これを実際に他のゼブラフィッシュがいる水槽に添加した時に現れる恐怖反応を観察しました。
さらに、ゼブラフィッシュの表皮の組織標本を作成して、この警報物質を含んでいるとされる細胞の観察も行いました。
1日がかりで盛りだくさんの実習でしたが、皆真剣に取り組み、予想以上にクリアな結果が得られました。
以下、生徒さんたちの感想です。みなさん、とても深く考えてくれました。嬉しいかぎりです。
実際にゼブラフィッシュの鱗をとって実験するのは初めてだったので,少し緊張した。固定や染色,パソコンを使った実験でとても分かり易かった。
普段じゃ到底出来ないような観察とかができて楽しかった。
考える事はとても大切なことだと思いました。ひとつの事実から何を思うか。それには「知識」も必要だし,勉強って大切だな。
一日通して学んだので,いつもより中身の多い学習になったと思う。実際に手を動かすことが多くて楽しかった。
生物を用いて実験するのは,一見簡単そうに見えても生物が受け継いできた構造が入り組んでいるためとても難しいことが分かった。結果を得られてもそれは生物本来の何かや,まだ判明していない環境に対する反応など色々なものが重なっていると思われるので,パーフェクトな結果とは言えないのではないかと思った。理論で全てを解決できる訳ではないところが,とても繊細で難しいけど素敵だと思った。
ちょっと傷つけるだけで,警告物質が出てしまうので,行動実験をする際にはとても丁重に扱わないといけないと思った。個体差がかなりあることが改めて分かった。
1つの事実からいろんな事を考察する。生物は他の学問と違って,生物の生得的なものまで関連するので,とても広大だと思いました。
同じようにゼブラフィッシュを使った研究をしているので,実験方法など,実際的な所で学ぶ事が多かった。
警報物質の抽出
警報物質の効果(行動観察)
表皮の組織標本作成・観察