学長より
学長より
本学大学院の未来
学長 林 泰成
今年度大学院を修了される皆さん、ご修了まことにおめでとうございます。本学において、望んでいた学びや研究は達成されましたでしょうか?
考えてみますと、学びや研究には終着点というものがありません。目標が達成されたとしても、取り組むべき次の課題が待ち構えているという感じです。しかも、皆さんの多くは、教育関係の職に就くものと思いますが、教育の実践においては、教育の研究とは違って、瞬時の対応が求められることが多々あります。もちろん、皆さんが学んだことや追求してきたことは、今後の皆さんの活躍を支えるものになるだろうとは思ってはいますが、現場では、自分が学んでいなかったようなことにも、即時に対応しなければならない場合があるということなのです。全身全霊を傾けて臨機応変にご対応いただきたいと思います。
さて、近年、日本では、少子化にともなって大学や大学院の在り方が問い直されていますので、そのことについて、少しばかり書かせていただきます。
大学進学者数は、推計で、2035年以降に急減し、2050年には現在(2025年3月)の7割くらいになると言われています。進学率や入学定員の数が変わらないとすれば、3割くらいの大学がつぶれることになります。この急激な減少は、マスコミ等で「35年の崖」と言われています。この急激な変化に対応するために、中央教育審議会からは、『我が国の「知の総和」向上の未来像~高等教育システムの再構築~』という答申が、今年2月21日に出されています。その中では「再編・統合や縮小、撤退を支援することが必要である」と書かれているのです。
大学には、設置者別の分類で言えば、国立と公立と私立の3種類があります。この答申では、この3つに役割や機能の違いを求めています。本学は国立大学ですが、国立大学には、「■国立大学の学部定員規模の適正化(修士・博士への資源の重点化を図りつつ、国際化や地域のアクセス確保にも配慮)や連携、再編・統合の推進に向けた検討」ということが求められています。つまり、学部の定員を減らして、大学院を増強せよという意味です。また、「■地域の高等教育機関のけん引役としての機能強化」ということも求められています。
しかし、本学の場合、学部入学者定員は160人ですので、これ以上縮小するわけにはいかないと考えています。また、大学院の入学者定員は210名です。以前よりは少ない定員になっているので、答申で言う「重点化」によって少しくらい増やしたい気持ちはありますが、しかし、現状では定員を少し割り込んでいる状況なので、増やすわけにもいきません。
では、八方ふさがりかと言うと、からなずしもそうではありません。ありがたいことに、本学の次年度学部入学の受験者の倍率は、一般選抜(前期日程と後期日程を合わせたもの)において9.0倍です。国立大学で一番高い倍率となりました。また、教員就職率も、80%超えというきわめて高い数値を出し続けています。
大学院修了生の皆さんにも、ぜひ、本学のすばらしさを、これから指導される子どもたちに吹聴していただきたいと思います。皆さんがそれぞれの場(教育に関する学びは教育の場以外でも活用できるものと信じています)で活躍されることは、私にとっても、本学教職員にとっても、大きな励みになります。今後のご活躍を大いに期待しています。