福原 義也 博士

指導教員名:笹原 弘之   

現在の所属:三菱重工業株式会社 エナジードメイン GTCC事業部 製造管理部

       TG支援・F革推進グループ 

 修了年度2017    

博士論文のタイトル :砥石表面の特徴的な温度変動に基づく研削加工時の異常発生のインプロセス判別 

博士論文の内容 

 砥石に埋め込んだ熱電対により砥石の研削状態をインプロセスで判別する.

博士後期課程に進学しようと思った理由 

 個人的には社会人になってから大学,ひいては博士課程への進学を考えていた訳ではありませんでしたが,様々な人の繋がりによって「進学ができる」という機会を得ましたので進学することを決めました.初めは会社の先輩(伊藤幸男氏)の大学に行ってはどうかというアドバイスがあり検討することになりました.しかし下名は高専卒であり,そもそも博士課程に行ける訳が無い・・・と思っていたのですが,社業を通じて特許や査読論文・学会発表をしていたことが入学資格に繋がりました.それも自身が狙ってしたことではなく,指導していただいた会社の先輩(赤城弘一氏)によるものです.そのように得難い機会があるのであれば,チャレンジしよう!と進学を決めました.   

博士後期課程に進学して良かった事 

 この歳になって,共同研究者の学生さん(鈴木修平氏)と一緒に実験し,議論し,交流ができたこと,そして社業とは異なる環境で研究計画を立て,仮説・データ検証など一連の研究プロセスに取り組めたことです.測定された砥石表面の温度データの管理図を書いて,時系列的に加工開始の温度・最高温度・最高温度からの加工勾配・加工終了時の温度がどのように変化しているか,その特徴量として何が言えるか?・・・それをさんざん共同研究者と議論し,一緒に論文を執筆し,笹原先生に見ていただいて,プレゼン資料を作成して,学会で発表して~という一つ一つが,社業では得ることができない貴重な経験になりました.

 博士後期課程在籍中に印象に残っている出来事 

 研究の環境としては,共同研究者(鈴木修平氏)から計測した温度データをメールで送付していただいて,仕事から帰ってきて自宅でデータを見て,処理方法を考えて,月に1~2回は金曜日に仕事が終わってからそのまま夜行バスで大阪~新宿に移動,そのまま通学して,土曜日に面着での打ち合わせ,そのあと少し一緒に東小金井駅前の居酒屋さんに飲みに行って,土曜日の夜行バスで帰って,日曜日に帰宅・・・という生活を3年間,論文の作成に1年(そのときの通学回数は減っていたが),計4年経験しました.社会人になって,2018年度に20年目を迎えましたが,その前にこのような経験が出来たこと,また社会を経験した後にまた通学して大学で研究した経験は非常に貴重で,これからの会社生活にも必ず糧になるものと思います.

それに加えて,測定した温度データに数多く向き合ってきましたが,なかなか判別が難しい状態が続いたときに,わざと異常が発生しやすい砥石要目を選定して実験を実施したところ,まさに狙い通りにそれぞれ特徴的な温度データを取得できたときは感動的だったことが非常に印象に残っています.

博士後期課程進学を考える方にメッセージ 

リアルタイムで学生をするのと,社会人を経験してからもう一度学校に行くのとでは,全然印象も得られる経験も違うと思います.政府のリスキリングなど社会情勢の後押しもあるかもしれませんが,それに寄らずとも博士後期課程に進学することをお勧めいたします.

また,資格取得後は名刺にも「博士」と書くことができますし,そのまま会社に在籍し続けるとしても得られるものがあるかと思います.

また,在学中に学会へ入会や参加を通じて,全国の大学・企業の方々との交流が増えることも大きな糧となります.社外の方と触れ合うことで,従来のルートからは入手できないような情報を得たり,プライベートでも交流が増えることで自身の知見の拡大にも繋がる(単に楽しい)と思いますので,その面でも得られるものは大きいかと思います.