木山 景仁 博士

指導教員名田川 義之 

現在の所属:埼玉大学理工学研究科  

 修了年度2018   

博士論文のタイトル :撃力による集束液体ジェット生成現象の解明とその工学応用  

博士論文の内容 

曲率を有する気液界面(液体と空気が触れ合う面)に対し、水中音波など圧力変動が印加されることで、液体が先細の液糸(ジェット)として空気中に飛び出します。これは、インクジェット印刷などでもみられるプロセスですが、本論文は、その圧力変動が容器に対する撃力によって生じる場合について、ジェットおよび液体中の流動現象の把握・解明に取り組み、その工学応用についても言及したものです。 

博士後期課程に進学しようと思った理由 

学部4年生で研究室に配属され、可視化された流体運動の美しさに興味を持ちました。捉えどころのない流体というものに苦手意識があったのですが、私が知らなかった(私にとって)不思議な運動をする流体の現象をもっと知りたいと思うようになりました。また、関連研究室に博士後期課程の先輩が在籍しており、日々の活動に具体的なイメージが持てたことも大きかったと思います。実際的な部分では、東京農工大学は博士後期課程の学生に対する経済的な支援が充実しており、金銭的な負担感が比較的小さかったことも大きな要素でした。サポートがなければ進学できなかったと思います。 

博士後期課程に進学して良かった事 

専門的な知識や、課題に対するアプローチ方法を実践的に学べたことはもちろんですが、なにより、自分が興味を持った内容にしっかり向き合う時間が得られたことが良かったです。とくに、多少の専門性を持ちながら、学生としての身軽さもあるという身分なので、実験室にこもることなく、学会などで共通の興味を持つ研究者から教えを乞うことができたのは良かった点であったと思います。そのなかで、国際会議等でネットワークも広げることができたことや、共同研究を通したより実践的なトレーニングを得られたことなども貴重な経験でした。  

 博士後期課程在籍中に印象に残っている出来事 

海外のグループの学会発表で、自分が発表した論文が引用されているのを見る機会がありました。それまで全く関わり合いのなかったグループでしたが、そういったグループとも研究発表を通してコミュニケーションが取れるのだと、改めて知った出来事で、大変印象に残っています。  

博士後期課程進学を考える方にメッセージ 

博士号を取得する動機は種々あると思いますが、たとえばいま、何か取り組みたいことがあり、それを専門家の指導の下で成し遂げたいのであれば、ぜひ検討すべきだと思います。たとえ取り組んだ課題そのものに対する知見がすぐに活かせないものであっても、その過程で培ったソフトスキルやノウハウは、どのような場面においても大きな力になると思います。博士後期課程の進学にあたっては、経済的・時間的負担に加え、キャリアの面でも考慮すべき事項が多いように思いますが、東京農工大学においては、サポート体制や制度の柔軟性から、そういった懸念の多くを解消できる、そんな選択肢が用意されているのではと思います。