ビジネスマナーの基礎知識
ビジネスマナーの基礎知識
ビジネスマナーとは、職場での動作、行動が「礼儀作法にかなっているかどうかという観点からみた態度」と考えてよい。
では、いつでも感じのよいふるまいが自然にできるようなマナーを身につけるためにはどうしたらよいか、その努力目標をあげてみよう。
(1)あいさつ
① こちらから先にする
② 相手を見る
③ 笑顔で
④ さわやかに
⑤ 元気よく
⑥ 出勤時――おはようございます
⑦ 退社時――お先に失礼いたします
⑧ 社内で客に会ったら、足を止めて会釈をする
(2)姿勢
① 机に向って仕事をするとき
目と書類との間隔を30センチくらいとるとよい。
② 指示を受けたり、報告をするとき
a.相手の真正面をよけて立つようにする
b.姿勢は背すじを伸ばし、かかとをつけてきちんと立つ
③ 椅子に腰をかけるとき
a.上体をすなおに伸ばす
b.静かに腰をおろしてかける
c.机の下でも、ひざを大きくひろげたり、足を深く組まないようにする
(3)整理
① 机の上
a.不必要なものは置かない
b.電話機のそばに倒れやすい花瓶や、お茶のはいった湯呑などこわれやすい物を置かないようにする
② 引出しのなか
a.必要なものがすぐとりだせるようにしておく
b.だれが見てもすぐわかるようにしておく
(4)表情
明るい表情をすることは、自分自身の気持もなごやかになるし、周囲の人にもよい感じを与える。いつでも、どこでも感じのよい表情で人に接することができるようになるためには、次のことばを参考にしてほしい。
どんなときにも微笑を忘れずに
朝も昼も夜も
幸せなときも 不幸なときも
そしてだれに向かっても (ウィリアム・ジエームス)
(5)動作
① おじぎ
「おじぎ」とは「相手の人に自分のまごころを伝える心の表現である」といわれている。どんなに姿勢をよくしておじぎをしても、心が伝わらなくては意味がない。しかし、あまり外形ばかりに気を使いすぎると、ぎごちないおじぎになってしまうので、まず基本をしっかり身につけて、自分の心をすなおに相手に伝えることに努力したい。
では,おじぎの種類と、しかたについて考えてみよう。
おじぎには,三つの種類があるといわれる。会釈、敬礼、最敬礼である。
どの型のときでも、基本は、背すじをきちんと伸ばしたままの姿勢で、かかとをつけて、そのままで上体を前にかたむける。
a.会釈
会釈は報告をするとき、確認などのとき、「失礼します」など、また、通路ですれちがうとき、エレベーターのなかなどでするときの軽いおじぎである。
○15度くらい体を前にかたむける
○視線は足もとから5メートルくらい先に落とす
b.敬礼
客を見送るとき、お礼など言うときのおじぎで、会釈よりややていねいに深くする。
○30度くらいに体を前にかたむける
○視線は足もとから3メートルくらい先に落とす
c.最敬礼
忠告など受けて詫びるとき、非常に恐縮したとき、公式の場で賞状を受けるときなど、とくにあらたまる必要のあるときのおじぎである。
○45度から50度くらい体を前にかたむける
○視線は相手の足もとに落とす
いずれも手は、男性は軽く横につけ、女性は手を軽く合わせて自然にももの中ほどにくるようにする。
② 立ち方
心のこもった美しい行動の基本になるのが正しい姿勢である。正しい姿勢は、背すじをまっすぐのばして、内蔵を圧迫することなく、全身の筋肉にできるだけ負担をかけない状態をいう。
a.足は平行に置く
b.耳は肩に直線に垂れるようにする
c.あごが浮かないよにひきしめる
d.重心は土踏まずのすこし前寄りに落ちるようにする(やや前傾姿勢となる)
e.指はそろえて自然に垂らす
③ 歩き方
きびきびした感じのよい歩き方をするのには、次のことに気をくばるとよい。
a.歩き方め基本
○背すじをまっすぐ伸ばす
○重心を体の中央に落とすようにする
○前に出した足に重心をかける
○後足のかかとを地面からはねあげないようにして、つまさきをかるく出す
○目は4メートルくらい前を見る
b.歩き方の注意点
○セカセカと落ちつきのない歩き方
○バタバタと音をさせる歩き方
○前かがみで卑屈な歩き方
○足をひきずる歩き方
○肩をいからせ、風を切るような歩き方
○床をけとばしながらの歩き方
(6)服装
仕事をするときの服装のポイントは、次のことに気をつけるということである。
a.職場の雰囲気にあっている
b.動きやすい。機能的である
c.清楚、清潔である
d.全体にバランスがとれている
仕事につく前に、次のことを点検しておくことが必要である。
a.ユニフォーム、ブラウス,Yシャツが汚れていないか
b.ボタンがとれそうになっていないか
c.ボタンをかけ忘れていないか
d.肩や背にフケや抜け毛がついていないか
e.ズボンの折り目はきちんとついているか
f.縫い目のほつれているところはないか
g.男性の靴下はスーツと同系色、白は不向き
(7)身だしなみ
日常気をくばっておきたい身だしなみのチェックポイントは、次のとおりである。
①髪型
a.おじぎをしたときに、髪が落ちて顔にかぶさらないような髪型を工夫する
b.カーリーヘヤー(パーマを強くかけて、そのままチリチリにしておく髪型)は職場に不向きである
c.フケなどないように清潔にする
② アクセサリー
a.職場では派手なものはつけない
b.イヤリング、指輪にも注意する
③ 化粧、その他
a.アイシャドーはひかえめにする
b.口紅、頬紅は明るめの色がよい
c.マニキュアは無色か透明のピンクがよい
d.不精ひげは禁物である
e.爪が伸びていないかを点検する
【実地練習のチェックリスト】
(1)紹介のためのチェックリスト
① 正しく聴きとれるように、はっきり話したか
② 名まえの文字がわかるように話したか
③ 名まえをなにかと結びつける工夫をしたか
④ 人柄をわからせるために努力したか
⑤ 印象に残るエピソードを入れたか
⑥ 名まえをくりかえしたか
⑦ 上品に話したか
⑧ 必要以上に卑屈にならなかったか
⑨ 通る声で話したか
⑩ ことばづかいに気をくばったか
⑪ 落ちついた態度で話したか
⑫ 初めと終りのけじめをつけたか
⑬ 制限時間内で話したか
⑭ 親しみやすい話し方だったか
⑮ 紹介の目的を意識して話したか
(2) 話の障害を克服するためのチェックリスト
① 自分の話のどこに問題を感じているか
② 他人の話のよい悪いを感じとっているか
③ 話す前に話すことをまとめているか
④ 体調に狂いはないか
⑤ 話す目的に意識を集中しているか
⑥ すなおに自分を表現しているか
⑦ 勇気と自信のある態度で話しているか
⑧ 話すことに強い意欲をもっているか
⑨ 話すに値する内容であるか
⑩ 食べたあとですぐ大勢の前で話していないか
⑪ 自分を表現することだけに一生懸命になっていないか
⑫ 性急に柏手を評価していないか
⑬ 先入観をもって聴いていないか
⑭ 話されることを知っているつもりで適当に聴いてはいないか
⑮ 話し手の真意をとらえる努力をしているか
(3) 聴き手を考えて話すためのチェックリスト
① 効果の決定をするのは聴さ手であることを自覚しているか
② 聴いてもらう努力をしているか
③ 聴き手の要求を正しく受けとめているか
④ 聴き手が受け入れてくれるような話し方に努力しているか
⑤ 親近性を育てる努力をしているか
⑥ 具体的に話しているか
⑦ 話に参加させるための努力をしているか
⑧ 話しやすい場づくりをしているか
⑨ 効果的な場の変化に気をくばっているか
⑩ なにを聴きたがっているかをつかんでから話しているか
⑪ 相手の理解力をつかんでいるか
⑫ 性別、年齢を考えて話しているか
⑬ 職業を考えて話しているか
⑭ 相手の考え方や立場をふまえて話しているか
⑮ 地域性に気をくばって話しているか
(4) 聴さ手の条件にあわせて話すためのチェックリスト
① 暗い表情で話していないか
② 服装や履物などの点検をしているか
③ 髪の乱れはないか
④ 手の動きはむだではないか
⑤ 目を相手に向けて話しているか
⑥ かかとが浮いていないか
⑦ 卑屈な態度で話していないか
⑧ 落ちついた親しみのもてる態度で話しているか
⑨ 威張った態度になっていないか
⑩ なれなれしい態度に見られていないか
⑪ なげやりの態度ではないか
⑫ 話すに値する内容であるか
⑬ 信頼できる内容であるか
⑭ 相手が求めている内容であるか
⑮ 心格力や倫理性に問題はないか
(5) 感じよくわかりやすく話すためのチェックリスト
① 自分の考えたままを勝手に話していないか
② 相手のレベルに翻訳する努力をしているか
③ 明瞭な発声で話しているか
④ 類音語に注意して話しているか
⑤ 専門語、外国語、方言などに注意して話しているか
⑥ 流行語、俗語などに気をつけて話しているか
⑦ 同音語に注意して話しているか
⑧ 借りもののことばでないか
⑨ あいまいな表現に注意しているか
⑩ くぎりをはっきりつけて話しているか
⑪ 基準のあいまいなことばを避けているか
⑫ 自尊心を守った肯定的な話し方であるか
⑬ 明るい話し方をしているか
⑭ 話す内容は事実とあっているか
⑮ 目的にあった話の機能を活用しているか