笹岡先生から学んだこと
土屋憧真(笹岡先生の卒業生)
私が笹岡先生にお世話になったのは、北海道大学文学部地域システム科学講座の学生だった2016年4月から2019年3月までの3年間です。ここでは、学部生だった頃の立場から、笹岡先生のご指導を振り返ります。
思い返すと、笹岡先生は授業も講義もスパルタでした。最初に受けた笹岡先生の授業「地域システム科学概論」(必修)では、情報量の多いパワーポイントに圧倒されたことを今でも覚えています。たった2回の講義を終えた後、3回目には早速、環境社会学の論文購読が課されました。今思えば、専門知識のない学部生にとってはかなり厳しい課題でしたが、専門性に触れることの、知的な高揚感を得られた時間でした。
笹岡先生の講義内容で印象的なのは、日本が途上国に対して加害性を持ちうること、そしてそれを知らずにいること自体が「無知の構造的暴力」であるということです。グローバル化の進展とともに、社会の歪みの中で弱者が苦しむこと、そして日本社会がその痛みに無関心であるという環境不正義を知ることは、正気に胸が痛む体験でした。しかし同時に、社会に責任を持つ人として成熟するための大切なご講義でした。
ゼミでは、環境社会学に関する論文や専門書の1章分を、1週間に2本ずつ購読し、論点を立てて討論するというものでした。論文や専門書の形式に不慣れだった当時の私には大きな負担でしたが、そのおかげで研究論文の構成や論理展開を自然と体得することができました。
また、笹岡先生を話すのに欠かせないことは、研究会を主宰したり、外部講師を招いたりと、学びの場をたくさん提供してくれたことです。笹岡先生はよく、「学部内や学内にとどまることなく、積極的に外部に出てください」と指導してくれました。私自身、他学部の先生方にもお世話になっていましたが、関心の赴くままに他分野へ出かける姿勢を、笹岡先生はいつも温かく褒めて下さりました。分野を越境して学ぶ研究者としての下地を築いてくださったのは、笹岡先生のご指導の賜物です。
笹岡先生の名物といえば、ゼミ終わりや研究会の後には必ず近くの飲み屋「かんろ」にて宴会することです。研究会のディスカッションの時間が来ると、「続きはかんろで」として教室の場を早々に切り、かんろのテーブル上で酔いが回りながらも議論の続きをよくしました。学生たちは、「今日はかんろコース」と、研究会の日は夜まで空けておくことが暗黙の了解となっていました。
笹岡先生のご指導は、研究指導もありましたが、人としてどのように生きるべきかという倫理観と正義を基盤とした全人的教育でした。そして現在、私は研究者を志す立場にあります。たくさんのことを教えていただいたのにもかかわらず、何ひとつ成果を返せなかった、不出来な学生である私ですが、笹岡先生なら笑いながら「今できることを続けなさい」と叱咤激励してくれるでしょうか。
笹岡先生、お忙しいにも関わらず、いつもアポなしで研究室に押しかけてごめんなさい。
そして、たくさんのことを教えてくれて、本当にありがとうございました。
笹岡先生に指導してもらって、私はとても幸せです。