私は2024年11月30日に京都大学で開催された京都人類学研究会に参加してきました。本研究会は、京都を中心とする関西の人類学研究者や院生が集まり、成果を発表する例会を主催しています。今回の例会では、中央アジア地域研究が専門である宗野ふもと先生による「ウズベキスタンの毛織物の価値の多元性とその変化」を主題とした発表が行われました(注)。
私はウズベキスタンの女性の手仕事に関心があり、昨年(2023~2024年度)の10ヶ月間、ウズベキスタンの首都タシュケントの大学へ留学をしました。留学中に現地のバザール(市場)や工房を見学した経験を踏まえ、更に学びを深めたく、今回の例会に参加しました。
注: 京都人類学研究会は、「京都を中心とする関西の人類学および関連分野に関心をもつ研究者・大学院生がその研究成果を報告する場」(同会ウェブサイト)。2024年11月30日午後に開催された京都人類学研究会2024年度11月例会では、宗野ふもと氏(筑波大学人文社会系助教)による「ウズベキスタンの毛織物の価値の多元性とその変化」の講演が行われた。
例会では、宗野先生のフィールドであるウズベキスタンの村落部(カシュカダリヤ州)における現在の毛織物生産に関する報告が行われました。ウズベキスタンにおける毛織物は、現在でもローカルな生活の中で生産、消費されるものであり、観光資源化が進んでいる刺繍や陶器と比較して非常に興味深く感じました。
特に、毛織物は伝統的に結婚時に持参財として選ばれ、その枚数等で経済力が図られたというエピソードが印象的でした。一方で、近年の変化として毛織物が織られなくなった点を挙げられ、持参財として毛織物が準備されなくなりつつあることが指摘されました。
機械織りの製品が普及し、それらが毛織物に代わって経済力を示すものとして持参財に加えられており、この指摘は私のウズベキスタン留学中の体験と共通する点があり、関心を持ちました。
発表の後半では「なぜウズベキスタンの人々は毛織物を織らなくなったのか」について検討されました。聞き取り調査から、単に経済的な理由に集約されるのではなく、村落部における生活の変化によるのではないかという点、特に、インターネット環境の普及の影響について言及がありました。
そして、この点については質疑応答にて議論がなされました。私は留学中、観光地の絨毯工房にて、スマートフォンで動画を視聴しながら絨毯を織っている様子を見学したことがあり、この経験から、インターネットの普及はウズベキスタンの手工芸に良い影響を与えているのではないかと考えていたため、先生の今後の調査にも注目したいと考えています。
また、毛織物生産は「合間の仕事」であり、生活の仕事に優先されない仕事であるために、新しい生活様式の影響を受けやすいのではないかと考察されていました。
写真: 例会後 鴨川の夕焼け
発表と質疑応答を通して、ウズベキスタンの村落部における毛織物生産の現状について理解が深まっただけでなく、私の関心のあるウズベキスタンの手仕事について「合間の仕事」という視点で考えるきっかけとなりました。
また、その後の懇親会にて、文化人類学の先生方や院生の皆様から研究やフィールドワークのアドバイスをいただくことができ、大変勉強になりました。この様な貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
写真: 空き時間に国立民族学博物館へ
最終更新:2025年4月8日