SNSの普及によって、多くの人へのシェアを前提とした日常的な写真撮影が一般的になった現代。そうした写真行為の1つとして、スマホや撮影アプリの進化によって自分で自分の顔を撮る行為「自撮り」が頻繁に行われるようになった。自撮りの中では、日本独自の”盛り”という概念を背景に、スマホの加工アプリを使用したデジタル空間での顔加工がよく見られる。これまでの海外経験などから本来の自然な容姿を重要視する文化に触れた筆者は、日本でとりわけデジタルな空間において頻繁に行われる元の顔を変形し理想の自分になろうとする行為に疑問を感じた。そこで、本論の問いに、なぜ日本の女の子たちはデジタルの顔加工を行うのかということを設定した。この問いの答えを探るため、これまで日本人の中で育まれてきた顔に対する美意識が現代のデジタルの顔加工の前提として存在することや、デジタルと比較した物理的な身体加工についてまとめている。また、より具体的に日本の女の子たちがどのようなビジュアルイメージをデジタルの顔加工によって作り出そうとしていたのかについて、プリクラと自撮りの実践を踏まえて検討している。そうした記述の中から、日本の女の子はなぜデジタルの顔加工を行うのかという問いに対しての考察を行っている。