本研究の目的は「コンサルティング会社の営業の商談がいかにして成功するのかを営業とクライアントのコミュニケーションにより明らかにすること」である。
本研究に至った背景は筆者自身のコンサルティング会社の営業での失敗の経験である。当たりはずれなど運に任せるのではなく成功するためのメソッドを見つけることができたらと思い、研究することにした。研究するにあたって筆者自身の経験から、契約ができてかつ契約後も問題なくクライアントと良好な関係を築けることができた商談を成功と定義すると、その成功商談には「ただ契約させること」を目的として相手を説得するのではなく、相手であるクライアントも納得して決断することが必要不可欠なのではないかと考えた。そこで、両者にとってメリットを感じることができる「自主説得」が商談を成功させる一番のポイントであると仮説を立てた。
筆者自身が過去に行った商談の中から成功した商談と失敗した商談の二つの商談の録画を文字起こしし会話分析を用いて比較分析した。結果、商談の成功には自主説得は非常に重要な説得方法であり、かつ「質問の形式」と「提案の表現」が自主説得を行うキーポイントであることがわかった。