ソーシャル・インクルージョンを目指すとはどういうことなのか。ソーシャル・インクルージョンという言葉に明確な定義があるわけではないが、厚生労働省の一例では「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康 で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」という理念としている。
本論文では、インクルーシブな社会に向かっていくために、我々はどのような生き方ができるのかを検討する。そのためにソーシャル・インクルージョンを目指し実践する人たちがどのようなことに悩み、どのようにインクルーシブな環境をつくりあげようとしているのかを紹介する。具体的には、市の公開講座であるインクルーシブ英会話講座、スマホ教室に参加した。そして、講座のコーディネーター、講座の先生にインタビューを行った。
調査により、日常に気づかないような排除があること、合理的配慮の難しさ、仲介者の存在が居場所の形成を助けること、排除となるものは立場によって様々であるということが分かった。それぞれの置かれる状況によって様々な葛藤や、難しさがあることが理解できる。こうした難しさの中で、ソーシャル・インクルージョンを目指すために、自分の中の無意識の差別を意識化し、その時に直面する葛藤を放棄しないことができるのではないかと考えられる。