「スパイス」とは?
「スパイス」というのは香辛料の一般的な総称である。食材の保存のために使用されたり、料理に特徴を与える。このことから、そのままでは個性的で強すぎる香りや風味は使い方によって食材や料理に良い効果をもたらすということがわかる。筆者は、刺激的な出来事や経験は、その時は強烈で、時には痛みをもたらすようなものでもいつか良い効果をもたらしてくれると考えている。つまり、起こりうることには意味があり、その意味は自分自身で捉えることによって消化され、生かすことができる。そんな意味で筆者はKという主人公が失敗を通して、自分を知り、受け入れ、生かすというストーリーを小説という形で制作した。筆者は「消化」という部分が大切だと考える。失敗をただ、失敗として、捉えてしまうと、それは単に嫌な記憶となり、自分の中で未解決のまま残ってしまう。筆者は失敗を自分を知るための機会と捉えて、その出来事に冷静に向き合い、分析し、受け入れ、改善するというプロセスが「消化」であると考える。どんなに栄養価の高い食べ物も未消化のままだと毒になってしまう。薬となるか毒となるかは表裏一体であり、どんな薬にも副作用は存在する。
あらすじ
主人公のKは、東京の大学に通う大学生。彼には、どこか心の穴があった。そんな時、薬物に出会う。そして、Rという女性に出会う中でさらに溺れていく。彼女を失い、生活が不安定になっていく中で、矢上という人物に出会う。そして、犯罪に加担し、その結果、逮捕されてしまう。Kは現実を変えるためにペルーへ行く。そこでリュウという人物からアヤワスカのことを聞く。アヤワスカの儀式を受ける中でKは自分のことを知るきっかけを得る。そして、自分自身の弱さを知り、前に進んでいく。