【2017年度卒業論文要旨】

インドの日本語教育における民間学校

~学習動機インタビュー調査から見る学習層の広がり~


川崎桃子

東京外国語大学 国際社会学部 南アジア地域専攻


本論文では、インドの日本語民間学校の生徒を対象に行った学習動機のインタビュー調査、及びインドにおける日本語教育の目的の変遷をたどることで、これまでインドの日本語教育に関する研究で言及されることのなかった、インドの民間学校の学習層の広がり、及び今後の民間学校の姿について検討する。

第1章では、フォーマルな教育機関で生徒が「学習できる言語」に影響を及ぼす、インドの多言語状況と、フォーマル、インフォーマルな日本語教育の変遷を述べる。第2章では、各国で行なわれている「学習動機」研究を比較検討し、その学習動機に影響しうる外部的な環境について述べる。第3章では、調査対象である民間学校が位置するバンガロールについての概要を、第4章では、インタビュー調査から明らかになった、学習動機の形成、動機の変遷に影響を及ぼす要素について述べる。第5章では、主に第1章と第4章をふまえ、今後の民間学校は、初等、中等教育で外国語を学べなかった生徒の受け皿となり得、従来の「就職」のみにフォーカスした教育から変化すると結論づけた。