「本物」のタイ料理とはなんだろうか。⾷⽂化の多様化が進み、⽇本にいながら世界各国の料理を⾷べることができるようになった。同時に、⽇本の⾷⽂化や流⾏に合わせて各国の料理は姿を変えており、タイ料理も例外ではない。⽇本でタイ料理といえば、パクチーやトウガラシを⼤量に使った料理をイメージするだろう。
本論⽂での「本物」とは、こうした⽇本ナイズされたタイ料理ではなく、タイ本場の味や料理だけではなく、タイの⾷習慣や⽂化を基盤に料理を通して広がる社会関係も含んだものと定義する。先⾏研究ではタイにおけるタイ料理については研究された例があるが、⽇本におけるタイ料理やタイ料理が⽣み出す社会関係について詳しく研究された例がない。
そこで本研究では、多様化する⽇本の⾷⽂化の中での「本物」のタイ料理について明らかにする。先⾏研究をもとにタイにおけるタイ料理と⽇本におけるタイ料理について述べる。その上で在⽇タイ⼈のタイ料理レストランでフィールドワークを⾏い、⽇本で提供しているタイ料理や料理を通して広がる⼈間関係を調査した。結論として、「本物」のタイ料理とは何か具体的に答えを出すことはできない。なぜなら、レシピのようにマニュアル化できるものではなく、「本物」のタイ料理とはその空間に⾝を置き、料理を通して初めて味わえるものであるからだ。
キーワード:⾷⽂化、タイ、⽐較研究、社会関係
最終更新:2021年1月28日