学術雑誌/書籍で発表してきた論文・原稿の一覧はResearchMAP、Google Scholar Citations、ResearchGateで公開中。ResearchMAPでは著者最終稿がダウンロード可能。論文の別刷り(PDF)もお渡し可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
世界有数の豪雪地である白神山地を対象としたニホンザルの越冬生態の解明(本来は暖かい森にすんでいたサルが豪雪帯でなぜ生き抜けるのか?)が私の研究の原点です。卒論研究として着手した2000年から白神に毎月通い続けて現在も進めているテーマです。
(1)新たな時代に適応した野生動物管理の再構築
世界規模の人口増加の一方で、東アジアや欧州では人口減少が見られはじめ、日本はその先頭に立っています。新たな時代を迎えたこうした国々では、人と野生動物の軋轢が激しさを増す中で、「縮む社会」を前提した野生動物管理がいま求められています(注1)。縮む社会が野生動物の生態や行動にもたらす影響を明らかにすると同時に、それに適応できる効率的・効果的な技術(最近で生物音響を用いた個体群や行動のモニタリング手法等)について研究しています。
また、人新世と呼ばれる現代において、気候変動も様々な脅威を生態系にもたらします。ここでは特に、極端気象が野生動物の行動や個体群動態に及ぼす影響について研究しています。
Keywords: bioacoustics, ecological rewilding, extreme climate, landscape of fear, human population decline, predation risk
(2)大型動物がもつ生態系機能の評価
野生動物を害獣(すなわち一方的な排除対象)として、積極的に「かかわり」を断つことが選択されやすい今日の野生動物管理の意思決定の現場に対して、野生動物との多面的・重層的なかかわり(人との不可分な関係性)を見つめなおす科学的エビデンスを提供したいと考えています(注2)。そこで、大型の哺乳類が森林生態系の多種共存やレジリエンス(生態系のもつしなやかさ)に貢献する種固有の役割について研究しています。
Keywords: biodiversity conservation, ecosystem resilience, interspecific interactions, seed dispersal process
公共政策としての野生動物管理を推進するためのアカデミア(大学の研究者)の役割は、知識の生産とその普及にあります。論文生産を通したエビデンスの積み上げと、それらエビデンスの共有と社会実装を目的としたアウトリーチをバランスよく進めることが重要だと考えています。
注1 このあたりのテーマ研究に関する私のスタンスを紹介する一般向けに記載した記事もあります(無料閲覧可能)
「国全体の人口が減少する時代の野生動物管理」環境保全 Vol20:53-61
さらに、ニホンザルを対象にこの点の包括的なレビューを書きました(無料閲覧可能)
Human–macaque conflicts in shrinking communities: recent achievements and challenges in problem solving in modern Japan. Mammal Study, 46巻115-130
注2 この辺りの解説は、2022年に出版した「哺乳類学(東京大学出版会)」の書籍の第IV部の「保全」に詳述しています(「保全」にかかわる全4章は私が執筆しました)。
人口減少に特徴づけられる現代日本における野生動物との共存に向けて、山形大学内で重点研究を立ち上げ(人口減少社会適合型野生動物管理システム創成拠点(2014~2017)」、さらには「人口減少時代に対応可能な野生動物管理とは何か」を考えるためのプラットフォーム(2014~)を産官学連携で構築しました。東北野生動物管理研究交流会というプラットフォームは現在も運営中で、毎年イベントも企画しています。各チラシをクリックすると交流会要旨がみられます。
詳細はそれぞれをクリックしてください
鳴声を指標としたシカの検知手法を開発する(研究紹介をした山形県科学技術奨励賞の受賞講演スライドへのリンク)
鳴声を指標としたシカ検知モデルの解説(この時点のシカ検知技術「ボイストラップ法」のすべてを公開!)
全国規模でニホンザルの生息地連結性を評価し、保護管理に生かす(※記者会見資料へのリンク)
シカとカモシカを足跡(ステップ幅=歩隔)で識別できる(※論文へのリンク)
鳴声からシカの繁殖集団数や繁殖適地を推定する(音響バイオロイングの成果です。詳細は記者会見資料を参照)NEW!
※フィールド調査の技術的な側面を記したマニュアル本を編集・執筆しました。初版は完売(ありがとうございました)。ですが、ご要望にお応えして、丸々一冊を無料公開が実現しました。こちらからアクセスできます
「人口減少」をキーワードにいろいろと原稿を書いています。この下段にある書籍をぜひご一読下さい。
ワイルドライフ・フォーラム誌に「人口減少時代における農山村と野生生物保全(2010年)」という特集記事、「野生生物と社会」誌に「人口減少時代における野生生物問題(2017年)」という特集記事を角田裕志さんと企画しました。
京大(現在は石巻専修大)の辻さんと霊長類研究という雑誌に「特集:ニホンザルによる被害問題の現状と課題(2018年) 」という特集を組みました。特集の前書きも兼ねた「意見」原稿はこちらから無料で見れます。この特集で、これまで現場で蓄積されてきた保護管理の知見を、論文という形で公開しました。この続報となる特集も、辻さんと企画して、2021年4月に英文誌にて公開されました。私が執筆したニホンザル管理の現時点(2021年現在)における到達点と課題についてのレビューは、オープンアクセスですので誰でも読めます!
外来種ハクビシンは冷温帯でも有効な種子散布者に(※記者会見資料はこちら)
※2015年までの研究成果の総括は以下の日本語総説で読めます(無料閲覧可能です)。