ケータイ・スマホ病

ケータイ・スマホ病

9月6日夜,熊本県南の県道で,女子高校生が軽自動車にはねられ意識不明の重体になった.運転していた女性は「携帯電話を見ていて,ぶつかるまで気がつかなかった」と供述しているとのことである.

5日には,JR東日本は,日光線の普通電車の男性運転士(32)が運転席でスマートフォン(多機能携帯電話)を操作していたと明らかにした.

8月23日には,JR東海は東海道新幹線の運転士が見習いを指導中,同僚あてに業務用携帯電話で私用メールを送信していたと発表した.同社が全運転士の携帯の送受信履歴を調べたところ,別の7人も運転中に私用メールをしていた.

いちいちコメントする気にもなれない呆れた話である.記事になるのは氷山の一角,自転車に乗っての携帯電話,歩きながらのスマホ操作(歩きスマホ)も多く,ホーム転落事故や盗撮恐喝事件まで起こっている.なぜそんなに急いで連絡する必要があるのだろうか.経験者(大学生)に話を聞くと,大抵急ぐ必要のないことである.大学の講義で,以前にくらべ私語が少ないのは携帯メールで対話しているからとも言っていた.大人も同じで幼稚化は想像以上に加速している.

5月末に久しぶりに上京した際,電車の乗客のほとんどがスマートフォンに熱中している姿にびっくりした.その傾向は空港や街中でも同じであり,人の目線が対人間ではなく対機械(を経た遠い相手)になってしまっている.うまく使えば便利な機械だが,使い方を誤ると自分だけではなく人の運命まで変えてしまう.無料通話・無料メールアプリが各種の事件に利用されているのは周知の事実であり,人間の意思形成が周囲に左右される時代になってしまった.?の春と称される民主化やどこかの国の選挙もしかりである.ムードで簡単に考えが変わってしまう.

周囲との関わりが希薄になるのを恐れて,必要以上に情報を求める傾向が過度になっているという指摘がある.子供のうちにそのことをを気付かせる必要があるのだが,「教育力のある家庭」が少なくなっている.

スマホを使用するようになってから,パソコンの時よりウエブへのアクセス時間が数倍長くなったと解釈できる調査結果が総務省から発表されている.起動に時間がかかる上に,それなりの操作が必要なパソコンはウエブ乱用の歯止めになっているわけである(次図参照).


スマホ利用者は平均利用時間も長い

下記の資料から引用

「スマートフォン利用と依存傾向」―総務省情報通信政策研究所との共同研究から【速報版】東京大学大学院情報学環 橋元良明 2013年2月20日

於:利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会スマートフォン時代における安心・安全な利用環境の在り方に関するWG(第3回)資料3

これからはスマホの時代ということで,あるネット銀行は,住所などの変更をスマホのアプリ経由なら簡単にできるようにしている.確実に年寄りを切り捨てる方向へ向かっている.

タブレット端末の世界も同じことが言える.公共放送であるNHKの報道番組では,端末片手にツイッターを見ながらコメンテーターや解説委員と話をしている有様である.そのような対応では,ごく限られた層(”さえずる人たち”)だけの意見であり,国民の平均的な意見であるはずがない.スマホによる国民総白痴化は確実に進んでいる.

報道記事をそのまま引用していましたが,NHKの記事だけが実名報道のため,すべての引用記事を削除しました.

(2013.9.17)