熊本県知事,国に反発
熊本県知事,国に反発
「隈部親永公像」を紹介した際,除幕式における蒲島県知事のコメントを紹介した.
コメント内容
記念式典には,中嶋憲正山鹿市長が肥後国衆一揆の故事に触れ、「地方の意地と誇りは現代にも通じる」と述べ、蒲島知事は「親永公は、死を恐れぬ忠誠と、理にかなわぬことには反逆する県民の特性の象徴」とたたえた。 (この部分,2011年11月28日 読売新聞)
最近,知事はくまモンに入れ込み過ぎて,軟化したのではないかと思っていたが,水俣病の認定基準運用の在り方の件ではモッコスぶりを発揮した.
いくつかの報道をまとめると以下のとおりである.
12月6日の定例県議会一般質問で,水俣病の認定基準運用の在り方を検討している環境省に対して,「納得のいく方針を示すべきだ。認定業務を返上するくらいの覚悟で物申していく」と述べた.
国の公害健康被害補償不服審査会は10月、水俣病の認定を巡って申請を県から棄却された男性について、女性については感覚障害のみで水俣病と認めた4月の最高裁判決に沿って県の棄却処分を取り消し,「認定相当」と裁決した.その結果をうけて知事は職権で男性を認定した.
ところが、環境省は「裁決の拘束力は後の行政行為に及ばない」,「あくまで個別事案であり、参考事例だ」として認定基準そのものは見直さない方針を示した.
これについて蒲島知事は,「環境省と国の審査会という2つの機関で考え方が全く統一されておらず,県として適切な認定業務を行うには極めて厳しい状況にある」と述べた. さらに,環境省が検討している水俣病の認定基準の運用方針について「納得のいく方針が示されるべきだ.今後は,県としての認定業務を返上するくらいの覚悟で、環境省に物申していきたい」と述べ,国を強く批判した.
知事は「被害拡大を防げなかった責任を自覚し、水俣病の影響を受けた方々に寄り添うためには、国に対しても毅然たる態度で臨まなければならな いときもある」と裁決を軽視する環境省に反発し、再考を促した(くまにちcom)とも報道されている.
12日の報道では,直接会談した後の記事は以下のとおりである.
◯谷津次官は「発言は真摯[しんし]に受け止める.考え方を聞きたい」と応じた.
◯会談後,蒲島知事は「(運用の在り方について)環境省と熊本県の考えとの溝が縮まらず会談を申し入れた」と述べた.
国の法定受託事務である水俣病認定業務を担う県知事が業務返上に言及するのは極めて異例なことらしい.さっそく知事の発言は「空砲」に終わるのではという意見も出ている.前例を大切にする中央官僚を動かすことができるか見守りたい.
追記
熊本県は400人以上の申請者の認定を中断している.
(2013.12.17)