広島平和記念資料館の免震改修工事の見学/2019年1月

広島のシンボル的建物でもある広島平和記念資料館(丹下健三設計)の免震改修工事の現場見学に行ってきました。

後世に残したい建築物によく用いられている免震レトロフィット工事を行っています。すごく簡単にいうと、建物の下と周囲に空間をつくり地面と建物を切り離して、そこに免震装置を仕込んで、地震等で揺れた時にも地盤の揺れが建物にまでに影響しないようにするのです。

山留工事、杭工事を行った後、建物周囲から掘削して、水平拘束スラブで建物を拘束します。(写真参照)。そして既存基礎の下部に仕込んでいた沢山の鋼管杭の上にサポートジャッキいれて、基礎の下の土をドンドン掘削していくのです。工事完了後には水平拘束スラブは切り離し、完全に建物が浮いた状態になります。

地下に潜ったら面白い光景でした。既存の基礎の下に居ると思うとなんだか凄い。沢山の鋼管杭の頭とサポートジャッキが見えます。ジャッキの上の基礎に打ち込こまれているのは、既存の基礎の周りをプレキャストコンクリートで補強していて、それを既存の基礎と結合させる鋼材で、反対側まで貫通しています。プレキャストコンクリートとは、あらかじめ緊張を加えた鋼材を入れることで強度を強めたコンクリートのことです。基礎梁だけでなくスラブにも同様の補強をして、これでしっかりとした底盤をつくっています。


今年2019年の春はリニューアルオープンです。内装についても全面改修を行っていて、改修前よりオリジナルに近くなっているとのこと。楽しみです。