製材所巡りon島根 ①/2019年5月

島根県へ。戸田材木店の戸田昌志さん(HP→ http://selva-mukumokuzai.jp/index.html )にご案内して頂き、厳選して御取引されている製材所さんを巡る旅に行ってきました。戸田材木店さんは、木の話、森の話、が凄く詳しくてオモシロくて、とても勉強になります。

まずは名所へ。島根県は何度も行っていますが、こんな衝撃スポットがあるとは知りませんでした。埋没林。地上から見ると平べったい建物。中に入ってびっくりです。400年前の三瓶火山の噴火の土石流で埋もれた事により真空パック状態で木々が埋没しました。それを掘り起こしたものが見れるのです。

館内です。現在では地下にあたる部分です。巨大な杉たち、掘り起こしたことで酸化と腐敗が進むので、防腐処理されています。いわゆる「神大杉(ジンダイスギ)」。建物の造作材は見たことがあり話も聞いたことはあったのですが、産地を見ることで初めて理解ができました。

このスケール感!地下の大きさと巨木の大きさ!思わず、木に触る。

そして、石東林業商会さんへ。憧れの地松です。これは梁材。松を専門にしているのは島根県でも一社とのこと。広島県では見れなくなった地松材、島根は産地としても有名で全国から要望があるそうです。天然乾燥→低温乾燥→天然乾燥、という工程で丁寧な材を作っています。

広島でも古民家調査にいくと使われている材は地松が多いです。特に太い地松の梁は圧巻で、今では手に入らないものばかりです。昔は、中国山地は地松が多く、建築材料として、特に特性上、梁材に適しているといわれ、使われていました。ですが、最近では、外来種である松くい虫により高度の低いところの松はやられてしまって、貴重な材になっています。現在の新築の梁でよくみるのは、米松、杉、などです。

地松は扱いにくいのも現在使われにくくなった要因の一つかもしれません。育ちが少々ウネウネしているので、材が乾燥してくると捻じれてきたりします。干割れがでやすいです。なのでお客様にも敬遠されがちなのかもしれません。ですが人と同じで短所は長所。伝統構法では材と材の取り合い部分(いわゆる仕口、接手)は嵌合接合です。金物接合と違い、木と木が絡み合うことによって繋がっています。その時に組みあがった材が徐々に少し捻じれることによってその接合が強くなるという!また、干割れがでやすいというのも強さの裏返しで、最近の実験でわかったことは、干割れが顕著な木種ほど曲げ強さは高い傾向を示しているということ。松は油分も多く比重も大きいのでということに起因してるのかもしれません。

地松の解りやすい長所についても。①粘りがあり、強度や耐久性に優れている。②使用している間に油がでてきて艶が増し経年変化が美しい。③木目や木肌が綺麗。地松は松ヤニがでるのは御存じと思いますが、油分が多いのです。

そして解りやすい短所。含水率が高いと気温10度以上で青かびが。なので秋冬の時期に伐採して自然乾燥を行います。松でなくても木は成長が止っている秋冬に伐採するのが通常ですが松は特に時期に気をつかいます。