日本の生活や伝統文化は、海外から色々なものを取り入れ、今に合わせ取捨選択しながら変化し昇華し続いてきました。そして近年、昭和の敗戦後に大きな失意の中、日本が経済至上主義で生活インフラを急速に建て直し発展させ、また文化的にもグローバル化したのは必然の流れだったと言えるでしょう。今の私たちが便利に豊かに生活できているのはそのお陰です。ですが今、その流れに乗り進むだけでは行き詰っている様子が多々見られます。急速な変化の中で、得たもの失ったものを見直し、取捨選択の時期にきているのではないでしょうか。
持続可能な社会を目指すにも色々なアプローチがあります。衣食住について、新しいもの新しいものへ合理性だけを追い求め進んでいくのではなく、温故知新の精神で古いものの良さを見直し活かすということを考えていきたいと思っています。
人が心地よく感じる要素が自然素材にはあります。
昔は普通に使っていた、土や漆喰や無垢材などが使いづらい時代です。メンテナンスも手間がかかり、施工にも手間がかかる為コストも安くない。ですがそれを上回る良さがあります。経年変化が、新建材と違って、劣化でなく味になり風合いを増していく。長く良い状態に保つにはお手入れが必要ですが、それにより、古くなっても愛着が増していくというのは、建物が大事にされて長持ちする為に必要な要素です。そういう中での生活は、心にも多いに良い影響を及ぼします。傷がついたり汚れたり色が変わってきたり、それを受け入れお手入れしながら良い方向へ導いていく。建物も人も同じではないでしょうか。また、最終的に土に還る素材をなるべく使うということが、地球にとっても一番優しい選択と考えます。
建物の構造は木造において一番大事です。
バランスが悪かったり無理をしている構造は危険です。安定感のある骨組みを主軸として形を組み、暮らしやすい間取りに調整していくことを基本と考えています。新築でも改築でも改修でも、まず、構造設計と耐震設計をきちんとして、暮らし方に合った間取りを設計していきます。体のバランスが崩れていると心に悪影響が出てくるように、建物も全体のバランスが崩れていると機能的に悪影響がでます。見た目の美しさや居心地の良し悪しにも、大きく影響してくるのです。これもまた建物も人も同じと思います。
日本では特に、土地土地で環境が大きく違います。
気温、湿度、方位、周辺環境、立地条件、それぞれの土地にあった計画を設計することで、住み心地が大きく変わります。当たり前の話なのですが、これができていない建物も沢山みかけます。こういった条件にしっかり取組むには時間も労力も掛かるので、金銭的な合理性追求優先の現代日本で、実現できない会社も多いからだと思います。エンロハスデザインでは、規模が小さいという利点を生かして、しっかりと施主さまとの対話を大事にして、時間と労力をかけて良い建物をつくりたい思いがあります。
建物が末永く使えるかは、ハード面とソフト面の両方の問題があると思っています。
ハード面とは耐久性ですが、なるべく、構造材について壁内などに隠すのではなく表に出して目に見えるようにする事や、設備については単純で簡素なものを選択する事など、メンテナンス性の良さを心がけています。なんでも時間の経過で劣化したり壊れたりします。それを前提として、メンテナンスのしやすさを計画しておく事が重要と考えます。ソフト面では、施主さまの変化に対応できること、愛されること、などが考えられます。それについては、下記の、こだわり⑤が重要と考えます。
最終的に、建物を使うのも、管理するのも、施主さま、です。
インテリアの好み、使い勝手、なども含めて、施主さまが主体的に考えることも重要と考えます。色々と考えて選択することは時間も労力もかかりますが、ここでしっかり取組むことで、見えてくる事もあり、後悔しない結果に繋がります。エンロハスデザインでは、もちろん専門家として、提案やアドバイスをしますが、施主さまとの対話を大事にして、その中で、素材、構造、設備、環境、などについて、施主さまに理解して頂き、理想の建物になるように御手伝いをさせて頂きたいと考えています。