沖縄伝統住宅・銘苅家と中村家/2018年2月

沖縄出身の住宅作家の伊礼智先生といく沖縄建築巡り。沖縄というとコンクリート造の家のイメージですが、今回は沖縄の伝統的木造住宅の見学が主軸でした。こういう住宅は気候風土を最大限に活かしているので、土地ならではの設計上の工夫と素材の独自性が見所です。

まずは中城城へ。「なかぐすくじょう」と読みます。ややこしや。城壁しか残っていませんが、石積の石の小ささ具合や壁ラインのグネグネ具合が本土の城跡とは大きく違う所にご当地感を満喫。琉球石灰岩(珊瑚や貝殻からできた岩) のボコボコ感も乙です。地形に合わせた曲線ラインや素材が柔らかくて優しいのは、南国の気候の人の大らかさとラップしてなんだか暖かい気持ちになります。

注目の銘苅家住宅は離島に在り、船に揺られて一時間。東シナ海の波の荒さをなめていた瀬戸内育ちの私は地獄をみました。。

だた海の色はとても綺麗。ご一緒だった色彩のプロに、こういう鮮やかな海の色は肥沃な土地の栄養分が流れ込んでいる色と教わりました。

沖縄の伝統的様式の銘苅家。

通りと家の間の境のヒンプン(全身藍色の伊礼さんがへばりついている衝立型の塀)、暑い日差しを凌ぐアマハジ(軒下空間)、台風にも耐えるよう漆喰で押さえてある瓦、地から生えているような根元の太い柱、など、特徴的な見どころも満載。

低いプロポーションも綺麗です。軒下の高さは地盤面から2100程度。軒下の縁側に座って落ち着きます。ロケーションは海に近い平地で、隣棟間隔も大きく、個々の庭も空も広いので、家全体が低くても伸び伸びした環境を確保でき、また台風を避ける安全を確保していると考えられます。

次に行ったのが本島にある中村家住宅。

こちらも沖縄の伝統的住宅です。やはり、ヒンプンを挟んで通りと対面の位置の軒下のアマハジに、最終的には皆が自然に座り込み世間話が始まります。

こちらのロケーションは、海からちょっと距離のある高台で、銘苅家周辺と比べると、隣棟間隔も比較的小さく、個々の庭も小さめで、空も小さめです。道路も舗装されていて比較的には都市化した地域。

ヒンプンもちょっと高め。軒下の高さも地盤面から2700とちょっと高め。周りからの視界を防ぐように塀で仕切り、軒下から塀までの距離も短めなので縁側に座った時に、空への視界が抜けるのにちょうど良いくらいにできています。それに合わせるように、柱の間隔や梁の高さも大きくなってて、バランスがとれてる。(建築の変態いや天才の小野さんがスケッチで把握されたのを盗撮の上メモメモ)

今回見学させてもらった2件は、沖縄の伝統住宅で、間取りも構造も外観も同様のものなのですが、ロケーションや周りの環境に合わせて、住みやすいように、寸法や構成が工夫されていました。一軒一軒よく考えられて建てられたであろうことがよくわかります。土地を読むこと、環境を読むことの大切さは、当たり前のようですが、できていない場合も多く、難しくも一番大切なことだと思います。

また最後に、「沖縄は多種多様な文化交流の中で、色々な要素をハードとソフト共に柔軟に取り入れ生きていることを学んでほしい」との伊礼さんの言葉が印象的でした。建築世界に限らず、人間が生きていく時にとても大事なことで、色んな事あるけど諦めす、交流し良い方向に進んでいくことを続けていきたいものです。