京都庭園学/2018年8月

8月下旬にさかのぼります。お盆休み代わりに京都に庭園学講座に行ってきました。3日間、午前は座学で午後は現地学習です。暑さで溶けそうになりながら歩き回ります。

1日目は、二条城。

内堀に囲まれた本丸御殿。敷地外からの移築の建物。一階と二階の間には中二階があり高い位置から景色が望める。

大政奉還が行われたことで有名な二の丸御殿。雁行しているのは入口から、左、右、左、右と歩いていくことで世俗から将軍のいる大広間までの意識の高まりを演出しているのだろうか。書院造は権力を空間で表すことが主軸なのだそう。

二の丸御殿の前の庭。小堀遠州が監修したとのこと。見る位置によって違った雰囲気になる様、高さや石の顔の向きを検討して作庭されている。

2日目は、宇治の「中村藤吉家庭園」と「上林春松庭園」、そのあと伏見に移動して月桂冠大倉記念館の庭を見学。写真OKだった中村藤吉家庭園の写真を。

安定した北の天窓からの光でお茶の状態を見るための拝見窓。古写真で確認し復元したそう。

中村藤吉の二の座敷。オリジナルで作ったという唐紙が可愛い。

二の座敷から望む庭。降り蹲(つくばい)が煎茶文化的です。

3日目は、「駒井家住宅」と「和中庵」

ヴォーリズ建築の住宅。上品さ漂う外観は、開口やフォルムのバランスの良さからくるのだろう。庭は現役当時は、フラットですっきりとスパニッシュ風に合わせつつも少し日本風を取り入れてうまく和洋折衷していたのだろう跡がみえる。

ヴォーリズ建築の中でも施主に合わせて全てがコンパクトに設計してあり、洋窓やインテリアが可愛らしい。

外観に合わせてあるのだろうが、和室は開口部が面に対して縦長な寸法でバランス悪いかなと。和室は苦手なんだろうな。

和中庵は、大正後期に近江商人の藤井彦四郎による造営。写真の客殿の突出した座敷は、明治期の煎茶趣味な文化的志向をよく表しているという。

そして、この高低差を利用した庭の造形の立体感が実際以上の空間的広がりと落ち着き感を出していると感じました。