近年、「農泊」などの言葉をよく耳にするようになりました。農泊とはいったいどのようなものなのか、農泊を進めることのメリットや課題とは何か私たちで考察し、まとめてみました。
最近よく聞く農泊。全国各地で話題を呼んでいます。一体農泊とは何なのでしょうか。簡単に調べて簡単にまとめてみました。
農泊とは、農家への宿泊、農村での生活体験、農村地域ならではの食事などを楽しむ滞在型旅行のことです。
また、「農家民宿」や「農家民泊」が総じて「農泊」と言われていることが多く、それぞれの違いは大まかに以下の違いがあります。
農家民宿とは、旅館営業法の許可を取得する必要があり、キッチンやトイレなどの設備に決まりがあります。また、宿泊費という名目で料金を請求することが可能です。
農家民泊とは、旅館営業法のきまりは特になく、住宅宿泊業法に基づく届け出が必要です。また、宿泊費という名目では請求は不可能で、指導料や体験費などの名目で請求することが可能です。
「グリーンツーリズム」や「アグロツーリズム」いったいどのような意味なのでしょうか。簡単に意味や概念を解説します。
グリーンツーリズムとは?
「農山漁村地域において、自然や文化に触れ、人々との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動」の事です。欧州では、長期休暇の間、自然豊かな地方都市でこのような余暇の過ごす習慣が定着しています。
アグリツーリズムとは?
グリーンツーリズムの中でも、特に農業に特化したものをアグリツーリズムと言います。農泊がその中でも代表的で、収穫体験、ハイキング、食事などを滞在中に体験します。
エコーツーリズムとは?
観光客に地域全体の自然環境を体験し、学んでもらい、その魅力を観光客が感じることでその価値を認識し、その地域の保全につなげる観光のことです。
以上のような観光形態は、近年の消費者の価値観の変化が関係していると言われています。「モノ消費」から「コト消費」に移行し、さらに「トキ消費」や「イミ消費」といった言葉で表現されています。つまり、「その日その場でしか体験できない、非日常的な出来事や、特別感のある物に対して価値を感じる人々が増えているのです。
都会に住んでいる方々や、農業従事者ではない方々にとっては、農業を体験することや農家の方と生活するという体験は大変貴重な体験で、魅力を感じる人が多いのです。
農泊にどのようなメリットがあるのか考え、その例を挙げてみました。
不作の年、収穫時期でないときの臨時収入になります。
農業に携わることで、就農のきっかけに繋がることがあります。また、農泊終了後も、休暇や収穫時のみ手伝いを希望する人もいるそうです。
農業従事者を増やすため、人口を増やすためには、まずその地を知ってもらうことが大切です。
農泊によってその農場の商品のリピーターが増えるきっかけになるかもしれません。
地域の交流が増えることで経済効果があります。また、地元住民同士の交流も活発になるようです。
特に高齢の農家からは、「外から来た人と話せるのが嬉しい」「自分の仕事の魅力に改めて気づいた」等の声が多いそうです。他社との交流によって、更に活き活きと農業を続けるきっかけになるかもしれません。
農泊に訪れる人は仕事も出身地も様々です。思わぬ出会いで新たなビジネスのきっかけに繋がるかもしれません。
新しい建物や特別なサービスを作らなくても、今ある建物と日常の農作業を活用すれば、比較的低価格で進めることが可能です。
近年、空き家や空き店舗の増加が問題となっています。また、核家族化によって空き部屋も多くあるという方も少なくありません。維持費や撤去費が掛かる空き家や空き部屋を農泊のために少しリフォームすることで有効活用できます。
農林水産省や観光庁、市町村の助成金を受け取れる場合があります。詳しくは行政のホームページをご覧ください。
旅館営業法、建築基準法、消防法の一部緩和措置を受けることができる場合があります。
農泊にどのような課題があるのか考え、その解決策を考案しました。
●外国人の受け入れ →言葉が通じずコミュニケーションが困難であるといった問題が生じることがあります。
解決策→英語が話せる大学生などをボランティアの採用
→全員にメリットがあります
(大学生:国内で留学に似た体験ができます。また、社会貢献、ボランティア体験にもなります。就活などでエピソードとしても良い経験です。農業や中山間地域について知ることができます。)
(外国人:コミュニケーションの幅が広がり、質問したり思いが伝えられてより深い体験ができるようになります。)
(農泊者:通訳者の雇用・翻訳機を買う費用の節約になります。大学生を無償で受けいれる場合、費用は掛かりますが翻訳機や翻訳者を雇うよりも安価です。農泊に受け入れられる人の幅が広がり、宿泊する人が増加することが見込めます。大学生と外国人に農業に興味を持ってもらうきっかけになります。)
●遠方から来た人の交通手段 →山間地域では交通手段がないといった問題が挙げられます。
→地元の電車やバス、タクシーの活用
→地方の電車は、不便という意見もあります。しかし、海外や都会の人にとっては、「レトロな雰囲気で趣きがある」「非日常感がある」、「SNS映えする」など案外好意的な意見も多くみられます。工夫すれば、移動含めて観光体験にできるかもしれません。
タクシーは、運転手さんがその町村の魅力を伝えたり、より近いコミュニケーションができて良いのではないでしょうか。タクシーの利用客は減少傾向にある中、新しい事業展開としてもよい活動だと思います。
→負担する費用が掛かると宿泊客数が減る可能性が懸念されます。農泊は農家だけでなく交通機関も行政も連携して、町おこし・村おこしの一環として協力体制が必要であると考えられます。
●Wi-Fi整備、キャッシュレス化 →WIFI設備等は住民にとっても、利便性が向上し良いのですが、費用が掛かります。立地条件によっては実現が難しいこともあるかもしれません。
また、キャッシュレス化は、設置だけでなく手数料の支払いなどで費用が掛かる可能っ性があります。
●SNSでのPR→集客が難しい
→行政とも連携し、ポータルサイト、広報誌を活用しましょう
→観光ツアー会社等と連携し、より多くの人に知ってもらいましょう。
→農泊に体験に来た人自身にPRを手伝ってもらうと良いかもしれません。(Instagramで投稿してもらったり、地域の広報誌へのインタビュー掲載など)
●衛生、安全管理面での責任
→市などが専門家の派遣、保健所の指導や支援が必要です。改築工事に必要な資金を行政が一部負担してくれる場合があるので、確認することを推奨します。
●差別化、市場競争
農泊をする農家は増加傾向であり、現時点から新規で始めることは、これから難しくなるかもしれないという懸念があります
→コンセプトづくり、他とは違うテーマや内容が大切です
→その土地の郷土料理やお酒、伝統文化、神社仏閣など隠れた観光名所の活用すると良いでしょう。
→農泊を行っている農場同士が連携し、新たに農泊ツアーのようなものを実施することで、さらに地域全他の発展に貢献されます。
農泊について知るために役立つ情報の掲載されているサイトやホームページをまとめました。