環上の規則

序章

 織手は糸で布を作り、

布は色からなる。

光が色を成し、

闇が続く先に異なる星が存在する。

そして星は星海に存在し、

星海の隣には異なる星海が存在する。


 糸の結び目、色の結び目、星の結び目。

それらの絡み目には"狭間"が存在していたのだ。


 現実を超えた先の幻想に、

破壊も創造の影響も受けない"永遠"が存在した。


 人はそれを城廓と呼び、

城廓は閉じた世界ゆえに他の世界の影響を受けない。

存在は因子からなり、その存在は他の存在によって"影響"を受ける。

影響には"効果"が存在し、効果が発動するとその存在の状態が"上書き"される。


 旋律の花は織りの力を持つ。

旋律の花は技法を持ち、魔術師ごとに異なるクロス形成の術式を持つ。


 染織されるクロスは、

染めの力によって色を持つ。


 絵文字の城廓には、

箔糸の錦が存在した。

第Ⅰ話

 サファイアは魔界の協力者だ。

サファイアは負の次元のレルムで、

絵文字の文を執筆し、

不定なる術式を発動する。

 正軸体弾は放たれ、

周囲の対象が星型化され、

ドルミエンテが階乗の過去の心であり、

アリスが階乗の現在の心である事を知る。


 絵文字の城廓にて、

ルベライトはゼノバース理論の演算を始める。


 文字、数字、幽字、絵文字とは記号である。

記号は物語を作り、物語は文、数式、術式となる。

花は魔術師の精神である、花を構成する因子は旋律の霧であり、

旋律の霧は織りの力を有する。

 世界の因子とは糸であり、

旋律の霧もまた糸の一種だ。

物語は記号という因子からなる世界なのだ。


 記号が成すレヴァリエは、

ゼノバース理論の観点では、

何者かが糸を以って星海を作ったのではという答えに達する。

あるいは我々が知るオムニバースとは、真のオムニバースの中の多元宇宙の1つに過ぎない可能性があった。

 そこで研究者が我々の星海域(マルチバース)は"糸の理"によって創世された世界なのではないかと仮説を立てた。

異なる理(公理)の星海においては、異なる星海の因子が存在すると。

これを起点として、星海域論(マルチバース理論)が発展する動機付けとなった。


 この時を起点として、

異なる星海域の探求が始まる。

また異なる理の星海域には達する事ができないという仮説が生まれた。

何故なら、理が異なる星海域には"境界"が存在するためと考えられた。

 時空に於いて非連結な異なる場所に移動するには、

境界を超える必要がある。

同様に平行世界のような、異なる運命の世界にも境界が存在し、

レヴァリエ空間(虚構)と非レヴァリエ空間(現実)の間にも境界が存在する。

そして星海と星海の間にも境界があるため、

星海域と星海域の間にも境界が存在する可能性がある。

第Ⅱ話

 今いる星海域は、

糸を因子として構築される世界だ。

異なる世界では異なる因子で構築される世界が存在する。

その為、異なる世界の来訪者が、

その世界にたどり着くとき、その者を構築する因子(物質)は、

その世界の因子に書き換えられる(翻訳される)。


 ティエラとオスクリダドは音を因子とする、

星海域にたどり着く。

そこには旋律の花と同じ構造が存在していた。

その事から超球の城廓、つまり旋律の花の起点はこの地であると判明した。


 音の理の星海域にレッドドラゴンは出現する。

レッドドラゴンはブレスを吐き、

周囲は炎属性エネルギーに満たされる。


 そして幽月霊剣と星筆は輝き始める、

幽月霊剣と星筆は固有の鍵・奏となり、

それぞれ幽月霊剣・奏、星筆・奏となる。


 レッドドラゴンは幽月霊剣・奏と、星筆・奏の、

幽字纏い斬り・交差<奏>により、消滅する。


 双対の世界は音の理を公理とする世界だ、

トニトルスとヴェルデ、アヤメはこの世界にたどり着いた。

総虚なるレルムで、虹属性の攻撃を放つパルマコンとアポリアは、

階乗はドルミエンテとアリスが融合したことで生まれ、

ドルミエンテとアリスは本来、別々の存在であった事を話す。


 二つの魂を結びつける力とはいったい何なのか。

心または魂が融合するには、対象が結び交わる必要がある。

結びと交わりはそれぞれ違う効果である。

第Ⅲ話

 自由群のレルムにて、

旋律の花にダイブする。

 旋律の花は魔術師の魂にリンクされる対象で、

旋律の花の中心は旋律の宝石であり、

旋律の花の因子は旋律の霧である。

旋律の花に接続される物質を接続物と呼ぶ。

 そしてレヴァリエ空間もまた旋律の花と同じ性質を持ち、

レヴァリエ空間の固有の鍵は旋律の宝石と同じ性質を持つ。

 そのため王の固有の鍵も旋律の宝石と同じ性質を持つと考えられる。

しかし始祖の旋律の花は音の理の星海域にあり、

それ以前の世界はどうなっていたのか不明である。


 "割られた空間"、商集合や商群、商環の時空には、断片が存在する。

断片の世界は条件を満たす対象で分割された世界だ。

裂かれた対象で織る操作をする時、

その織りを"裂き織り"と呼ぶ。

 糸の理の上では任意のクロスを珠玉として時空を生成する事ができる。

またその時空が星海を成すことも可能である。

裂き織りの世界で、ウィザードは公理魔法を使用する。


 糸の理の世界は糸を因子として持つ。

では音の理の世界は、音を因子として持つのだろうか?

旋律の城廓(超球の城廓)のブートセクタである凹凸のレルム、凸凹のレルム、開閉のレルムにて、

開かつ閉の音の因子が存在した。


 光から色が生まれ、

輝きある場所に闇は存在した。

色は属性を成し、

属性の力はやがて異なる星にも散らばる。

 固有の鍵と継承武器は、それぞれの時代の魔術師に継承される。

そして光も時も1つの糸である。

織機は反物を作り上げ、

世界を構築する物語はどこまでも続いた。