⍼に爽わぬ者

序章

 ボイド、

虚無。


 「⍼に爽わぬ者よ」


 「アポリアの使者よ」


 「彁の魔法は執行される」


 氷の織手は玉座に座す。

旋律の花が共鳴し、⍼を失効<ディスペル>させる。

氷の織手は凪の織手に権限を分与する。

凪の織手は狙撃魔法を使用する。


 狙撃魔法、それは属性エネルギーを一点に凝集して放つ魔法だ。

アポリアのゲームは開かれ、ウィザードは戦う。

アポリアに権限を分与されたボイドは空間の公理に干渉する。


 あらゆる魔法生物は魔力代謝をする。

複合ドメインにて、魔獣と交戦する織手は、

幽六花を咲かせる。


 サーマル反転、それは温度の変化である。

炎の属性は氷を成し、

氷の属性は炎を成す。


 サーマル反転し、標数改変し、終焉転調される空間にて、

フオファは幽六花を咲かせ、

ニエベは炎を操る。

第Ⅰ話

 対象に流れる時間は移動速度によって変化する。

牡丹を名乗るカオリは、

"真の織手"に覚醒するオスクリダドを見やる。


 同時に"真の織手"に覚醒したティエラと、

"超幽六花"を開花させる幽六花姫。

アポリアは真の歪冪花と超歪冪花を咲かせる。


 糸の織手を召喚するアポリアは、

最大7人の織手の攻撃を無効化するバリアを創造する。

"真の織手"は異なる公理の世界を移動できる。


 非有界の領域を歩むソーサラーは、

非文なる文字列次元空間に移動する。


 アポリアは何処かへ飛んでいくが、

アポリアとの戦いはまだ続いている。


 真の織手に覚醒したオスクリダドはパルマコンが存在する世界に移動する。

それは過去のフィロソフィーの園庭であり、

オスクリダドは旋律領域に移動し、その時代のアポリアとパルマコンを見やる。


 オスクリダドがフィロソフィーの園庭に入ると、

半透明の花々が咲く庭に、大きな屋敷が見える。

フィロソフィーの園庭の下に玄奥への矩形に続く階段があり、

図書館には幽字の圏が存在する。


 ガラスでできた屋敷には織手が存在する。

オスクリダドが丸い構築物に触れると、

記憶因子からなる世界に移動する。


 その空間は暗く、そしてその暗闇に光が現れ、

光は闇を照らした、どこからか声が聞こえる。


 「凪、それは静寂に満ちた世界」


 「獣、それは淘汰を超えたどり着いた力」


 「私は二つの力の未来を見届けたい」

第Ⅱ話

 力を渇望した、

内なる炎は六花を溶かす。

夢をまだ見ない時、

怒りを超える希望を知る。


 六花が降る回廊にて、

織手は茶を飲む。


 夢を手にした、

現実の境界を越えて、

いつかあの世界にたどり着くと、

願いは果たされず、世界の理を知り、

圕を築く。


 階段の先には屋敷があり、

屋敷には計算機が並ぶ。


 これまでの事を圕に記録し、

圕はいずれ一つの世界を成すと考えた、

しかし圕は現世に築かれる故、

圕を阻む者がいれば、その記録は潰える。


 園庭の周囲の建物を回り、

二階から地面を見下ろす。


 そこで人々と力を合わせ、

調和の旋律を奏でる。

自身の心の枷を取り払い、

圕を永遠に存在できるように。


 近未来的な建物で、

見たことの無い色を見た。


 そして第Ⅴの因子は宇宙に放たれた。

我らの計算によれば、第Ⅰから第Ⅳまでの因子は未来にも存在しているが、

遠い未来に第Ⅴの因子が存在している可能性は少ない。

なら時を超えて第Ⅴの因子を展開しよう。


 オスクリダドは考える。

第Ⅰの因子、第Ⅱの因子、第Ⅲの因子、第Ⅳの因子。

これらはどこから来た物なのか。

第Ⅲ話

 園庭の織手は4つの因子をこの世界に解き放つ。

第Ⅰの因子はのちに"温度"と呼ばれ、

第Ⅱの因子はのちに"虚実"と呼ばれ、

第Ⅲの因子はのちに"圕"と呼ばれ、

第Ⅳの因子はのちに"調べ"と呼ばれた。


 因子が存在する事はわかっているが、

それらの働きは現在不明だ。


 オスクリダドは旋律領域に移動した。

時の移動は失効され、パルマコンとアポリアは結び目の城郭が存在する時代に交戦する。


 アポリアは複数の"演算ユニット"を召喚するが、

パルマコンは演算ユニットに"二律背反"効果を付与する。

二律背反は、一定時間経過後に、二律背反が付与された対象の周囲にダメージを与える効果だ。


 次にパルマコンは、演算ユニットをアポリアの周囲に転移させ、

時の魔法によって、二律背反効果が発動する。

大量の演算ユニットはダメージを持つ範囲を発生させ、

アポリアの位置に大量のダメージを与える。


 しかし、アポリアは固有の鍵を創造し、

本ダメージを無効化する。


 アポリアは真の織手に覚醒し、

固有の鍵は杼を成す。


 「綾織か」


 「アポリア、なぜ君はこの宇宙に関与する?」


 「答える必要はない」


 アポリアは第Ⅴの因子からなるクォーツ及び第Ⅳの因子からなる爆轟を引き起こし、

範囲効果を創造する。範囲効果は全属性タプルを成し、

全属性タプルの爆轟に超冪を作用させる。


 その時、アポリアの姿は消滅する。

オスクリダドはこう言った。


 「その力は確かね」


 空間に球体が生成され、

球体には数字が振られる。


 「あなたにもう一度機会を与えましょう」


 「私の旧友よ」


 オスクリダドは、オスクリダドの試練をアポリアに与える。

球体に接触した時、アポリアの"値"は球体の数字分上昇し、

"値"は12を法とする。


 オスクリダドの試練終了時に、

アポリアの"値"が3以下だった場合、

本戦闘は強制的にアポリアが勝利したとみなされる。


 そしてオスクリダドの試練は終了し、

その時のアポリアの値は9だった。

そしてオスクリダドは第Ⅱ形態に入る。