あなたが願った世界

序章

 「私の負けだオスクリダド」


 パルマコンは言う。


 「オスクリダド、私はあなたの計画を阻止する」


 パルマコンは現勇者のティエラと、

他の織手を呼び出す。


 「さあ、ソルの筆の守護者よ」


 「ともにこの"鎖"を断ち切ろう!」


 オスクリダドはこれまで起きた事を思い出す。

ビックバウンス、それは世界の再構築。


 綾織の世界、

それは時が進む世界。


 平織の世界、

それは変化することの無い世界。


 不織の世界、

それは時が測れない世界。


 絡み織の世界、

それは複数の平行世界からなる世界。


 今、私たちがいるのは綾織の世界だ。

世界が作られる時、つまり創世をビックバンと呼ぶ。


 世界の終焉には様々なシナリオが考えられる。

世界から時が失われ、停滞する世界。

世界が閉ざされ、運命の終わりに達する世界。


 そしてビックバウンスは世界が再び創世され、

新たな宇宙となる。




 リンは不織の都にて、

魔王討伐の旅に出る。


 魔王は高濃度の汚染物質をこの星にまき散らし、

生命が生きていくことのできない"汚染区域"を作り出した。

不織の都の住民たちも魔王の被害を受けた。

そこで、リン、オスクリダド、アポリアは、

魔王討伐の旅に出る事にした。


 旅の道中、私たちは異なる世界から来たという、

"トニトルス"という人物に会う。

トニトルスに魔王による被害を伝えると、

トニトルスも戦いに参加した。


 トニトルスによれば、

不織の星の民であっても、魔王の汚染物質の影響を受けない衣があるという。

そこで不織の星の民は、その衣を纏い、汚染区域にたどり着いた。

第Ⅰ話

 本来であれば、汚染区域の中では、生命は存在しないはずだ。

しかし、そこには植物が生い茂り、生命が暮らす奇妙な光景を目にした。


 「これは一体?」


 どうやらトニトルスはその理由を知っているようだが、

それはあえて今は教えないようだ。


 不織の都の住人は汚染区域では生きてはいけない、

その為、この衣を纏わなけらば、汚染区域にアクセスはできない。

トニトルスは生身で汚染区域に存在している。


 「僕にとっては、外の方が慣れないけど」


 「トニトルス、汚染物質は一体?」


 「悪いけど、それについては教えられない」


 「いまするべきことは、魔王を本来の世界に"戻す"事だ」


 そしてリン、オスクリダド、アポリアは、

"複素整数"を利用して、空間を移動し、魔王城にたどり着く。

魔王は言う。


 「我が名はビエント」


 「複合次元の旅人よ」


 「貴様はこの世界に混乱を齎すつもりか?」


 「いや、これは運命ってやつだよ」


 オスクリダドは魔法を使用し、

ビエントをこの世界の外側に転送する。

第Ⅱ話

 こうして、汚染物質は消え去り、

再び不織の都に平和が訪れた。


 しかし、

オスクリダドはベガという人物に出会い、

異なる星を旅することになる。


 それには、

あの魔王が作った汚染物質を克服する必要があった。


 次元の持ち上げ、

それは複合次元にある異なる世界に、

今ある世界を添加する演算だ。


 ベガによれば、

次元の持ち上げの実行者の世界に行くために、

オスクリダドはソーサラーになる必要があった。


 オスクリダドはウィザードであり、

より強力な魔法を手にするために修行する。


 ソーサラーになれば、

汚染物質の影響を受ける事はないからだ。


 同じく他の不織の都の仲間も修行に励む。

こうして、不織の都のウィザードは、ソーサラーになった。

第Ⅲ話

 不織の都のウィザードがソーサラーになるまで、

私たちは、平織の世界で訓練していた。

平織の世界はベガが"杼"を使用して織った世界。


 ベガによれば、

杼に糸をセットし、縦糸と横糸を組み合わせると、

一つの世界を作り出す事ができるそうだ。


 「そして、三つの筆が集う時」


 「伝説に至る道は開かれる」


 「ティエラ・タ・ニャタンモ」


 「あなたが持つ"星筆"によって、"真実"に続く道が開かれる」


 「全てはこの時のために」


 そうだ、

三つの筆、虹筆、時筆、星筆が一つの者に継承されたとき、

<双対の世界>に繋がる、空中庭園の扉が開かれる。


 オスクリダドは織手の奥義を使用する。

公理異常を発生させるほどの強い妖力に満たされ、

世界は、終焉転調、標数改変およびサーマル反転に陥る。

双対の世界の断片が流れ込む。


 「双対の世界、その地に7つの因子は集う」


 「怒り、妬み、傲り、貪り...」


 「あらゆる闇に満ちた世界への扉が!」


 オスクリダドはティエラに究極の闇魔法を使用し、

ティエラは戦闘不能に陥る。


 ティエラは旋律領域に落下する。

その領域内でこれまで出会った者たちを思い出す。


 記憶因子が齎す"光"によって、

ティエラは真の織手に覚醒する。


 その時、星筆は虹色に輝き、

時間の流れを纏う杼を成し、


 ティエラは織りを開始する。

この状態の時、あらゆるダメージを無効化、及びあらゆる自身へのデバフ効果を無効化する。


 織り三段目で、

ティエラは超幽六花を咲かせ、

全属性爆轟を引き起こし、全魔力は一点に集中する。


 「あなたの願いによって、多くの運命は書き換えられた」


 「俺の望みは、彼らに幸福を取り戻すこと」


 魔法は着弾し、

オスクリダドは敗北した。


 「でも、あなたはまだ理解していない」


 「この世界の"真実"を見届け、私の計画を完成させなさい」


 ティエラはボイドに感染する。

ファントムの意志に囚われ、混沌の感情を実感する。


 「これが私の最期の計画」


 ティエラは旋律感染を引き起こした。