状態と効果を織る者

序章

 状態と効果は物が持つ対象だ。

また魂を持つ物を者と呼ぶ。

 夙夜を過ごし、

黄昏と黎明は幾度も繰り返す。

 開闢による創世から時が流れ、

いずれ来たる終焉に向けて、

あらゆる形ある物は時の流れを経験する。


 魂が旅する幾星霜の時間、

数多の星々と星海を渡り、

旋律の花が呼び出す継承物は、

来たる壁を打ち砕く。


 月の女王 オスクリダドは、

王冠を被り、自らの継承武器、

幽月霊剣を創造する。


 勇者 ティエラは、

星筆、虹筆、時筆を創造し、

三つの筆が織りなす斬撃は、

オスクリダドの甚大な威力の妖術を失効<ディスペル>させた。


 桜色の月は輝き、

それぞれの魔術師は過去の記憶が、

自身への力となる。


 不可思議な時の流れの中の結び目は、

絡み目を成し、魔法陣を展開する魔術師は、

結び目の幾何学模様の下に、

抽象的な幽字を顕現し、

 無量大数の経験値が成す魔法は、

多くの星の魔術師が目にするとき、

その者たちは"神話"を予感する。

第Ⅰ話

 日蝕の時、

光は闇に覆われ、

月蝕の時、

月光は遮られた。


 月は赤く染まり、

虹色に輝く、絶対の零元のグレイブは、

新たな"零元の争い"を引き起こす。


 全ての糸の理の星海域の魔術師は、

星海域に一つのみ存在する、

絶対の零元のグレイブを求める。


 バリアはダメージを吸収可能で、

シールドはダメージを軽減可能だ。

多層防御性質を持つ効果は、

複数のバリアかシールドの効果の列である。


 この零元の争いでは、

防毒の効果を持つスマートマスクと、

2000の多層防御の層を持つ"吸収の鎧"を魔術師たちは装備した。


 吸収の鎧はフレキブルウェアを改良した装備だ。

吸収の鎧の耐性特質はあらゆる属性のダメージを吸収する。

たとえ風の王 ビエントの奥義を最大出力で受け止めてもダメージを吸収できるほど、

高いダメージ吸収の性能を持つ。

第Ⅱ話

 抵抗されるプシュケーは、

体内の第Ⅳの因子を増大させる。


 炭化される旋律の花へ導く、

凪の力を夙夜、身に宿す。

余レルムにてポータルを開くマスターは、

 圏の圏にアクセスする。

圏の圏はアカシックレコードとも呼ばれ、

全ての星海域の対象と射を持つ。


 圏の圏はオムニバース、つまり全星海域の固有の鍵であり、

圏の圏の上での幽字体系は空圏を表現する。

このレルム上の空圏は真の虚無のレルムであり、

一切の対象を持たず、対象を与える効果を強制的に失効させる。


 数の次元に於いて、

多次元の次は、超次元で、

超次元の次は、極次元だ。


 次元の数のエレベーターを超えた先に、

王座は存在した。


 圏の圏の最奥にある真の固有の鍵こそ、

真の零元のグレイブだ。


 王座に座する者は、

"真の次元"にたどり着き、

あらゆる概念と宇宙を見渡すという。


 真の零元のグレイブの権能は、

破壊であり、創造である。

つまり全宇宙の再構築を意味する。

第Ⅲ話

 圏の圏は、

圕の圏であり、

圏の圏はあらゆる圏を持つ。

 そこには幽字の圏が存在し、

レルムの圏が存在し、

代数の圏と、旋律の圏が存在する。


 魔術師は無何有の地を歩む。

無何有の地は属性エネルギーにあふれ、

生命は輪廻する。


 属性の力の正体は謎に包まれており、

上古よりその正体の議論が続いた。


 魔術師は宮殿を歩む。

かつて栄えたこの国は、

亡霊<ファントム>によって破壊された。


 超限の力は、

限界を超える力だ。

マスターは超限魔法を発動し、

超限次元空間で対象に絶対無限ダメージを与えた。