プロローグ

序章

 星団連邦の多層庭園には属性のドメインがある。

その近傍にある矛盾空間は複合ドメインを有し、

複合ドメインはガーブルド物体を持っていた。


 ガーブルド物体を継承武器と見做し、

自身に継承するソーサラーは、

その旋律の花に多層防御の魔法を貼る。


 多層庭園の事象ブートセクタを破壊する、

矛盾空間は多層庭園の多層防御層を破壊し、

多層庭園の各ドメインに侵入していた。


 多層庭園の氷のドメインにて、

幽六花姫は、ボイドが作り出したこのウィルスと交戦する。


 複合ドメインは複数の次元を持つ、

通常のドメインは一つの次元のみを持つが、

複合ドメインでは複数のモチーフが同時に存在できる。


 多層防御とは複数の境界からなる、

一部の効果を失効<ディスペル>可能な効果である。


 再複製される矛盾世界は、

星団連邦の多層庭園を蝕み、

その最下層レイヤーでは、

歪んだ公理が存在した。


 多層庭園は疑似レヴァリエ空間である。

疑似レヴァリエ空間は、レヴァリエ空間のふるまいを再現<エミュレート>しているため、

空間が持つ公理を使用し、定理で多層庭園でのふるまいを再現<エミュレート>している。

第Ⅰ話

 逆元の世界にあるガーブルド物体は、

異なる次元に持ち上げられる。


 公理系とは公理の集まりである。

疑似レヴァリエ空間で再現される幽字のふるまいは、

脆弱性が存在し、

総量の法則を破る。


 多層庭園の雷のドメインにて、

珠玉総量が20のソーサラーは、

異なる鎖晶複合体を使用し、

"多層交差継承武器"を成す。


 交差する継承武器は、

真偽の国で、公理異常と交戦するソーサラーが使用した。


 真偽の国はあるレヴァリエ空間に存在する複合ドメインだ。

次元の持ち上げを使用する管理者は、

レヴァリエ空間に繋がる代数の公理を"上書き"する。


 添加される公理は、

公理系を成す。


 論理演算される世界で、

多層庭園での矛盾世界による、公理の上書きを観測した。


 真偽の国で演算する、

カオリは圕からデータを送信し、

多層庭園の離散世界の正常化を試みた。

第Ⅱ話

 フレキシブルウェアを着用する魔術師は、

スマートマスクで多層防御システム、第32層の損害状況を報告する。

 多層庭園の多層防御魔法は、

全100層の"境界"からなる。

境界は異なる構造の因子の集合や、

異なる世界の公理の影響を阻む。


 霏々の不変量、古の不変量、

これら不変量を冠する者たちは、

"織手"である。


 管理者は幽字、

つまりレヴァリエ空間の性質に依存して、

低レイヤの世界にアクセスできる。


 しかし、"織手"たる者は、

世界の性質に依存する事なく、

"魔法"を使役できる。


 魔術師には、

ウィザード、ソーサラー、管理者、織手が存在し、

ウィザードはその世界の公理を使用した魔術を使用し、

ソーサラーは旋律の花を使用した魔術を使用する。

管理者は世界の公理にアクセスできる魔術師だ、

そして王はドメインの権限にアクセスできる管理者である。


 織手は公理から定理を織り、

定理で作られた織物を構築する。


 かつてラルガ・ベアヘの世界で、

時間と空間、及び選択にアクセスできたベガの正体は、

織手である。

第Ⅲ話

 圕の圏にて、

置換領域を歩む織手は次元の持ち上げを実行する。


 凪の爆轟が引き起こされ、

空間にある気体は消滅する。


 凪の娘は防魔デバイスをオーバークロックし、

空間は真空状態になる。


 ウィザードは覚醒状態に入り、

空間に零の乗算を作用させる。


 アポリアは零元からなる世界に囚われる。

アポリアは"破壊"の力を操る魔術師だ。


 アポリアが使用する極火炎魔法は、

零の空間にエネルギーを与え、

エネルギーは対生成を引き起こす。


 対生成は爆轟を引き起こし、

零元空間を破壊する。


 そして、無属性の破壊の魔法を詠唱する。

アポリアは周囲のエネルギーを自身へ集中させる。


 魔法が履行される。

アポリアの姿が変化し、空が赤色に染まる。

魔法陣が13個展開され、周囲の音が消滅する。


 アポリアは禁術を使用し、

須臾の時間を以って、一切が炎に包まれる。


 地面に溶岩の如き液体が噴き出し、

幾千もの炎の剣が生成される。


 空から雪の花が降り注ぐ。

氷の冠を被る魔術師は詠唱する。


 「咲き誇れ、真なる幽六花よ」