間隙時空

序章

 旋律の花は他者の旋律の花と共鳴する。

目覚めはいずれ訪れる。

一つに紡がれる糸は、

接続物を成し、迫りくる運命を書き換える力となる。

 結び目の城廓にて水月は、

回廊を歩む。

花のドメインには草木が生い茂り、

開花する錦は、山々を染め上げた。

 前回休眠に入ってから、

3000年が経過した。


 心と心の調和を探求する旅人よ、

始まりの物語は、ある戦士が月の使者を追う旅に出て、

ある魔術師が、不香の花咲く地を守護する時間から始まる。


 これから始まる永遠の旅を放浪する者たちは、

新たな力を手にし、結び目の城廓を守護する力を手に入れる。


 「予言された未来...」


 生命は眠りと目覚めを繰り返し、

消えゆく六花は、消滅の運命にある。


 Ⅱ番目の旅に出る魔術師は、

逆元のレルムにたどり着き、

Ⅲ番目の旅立ちが迫っていた。


 上古の時代、

スオーノは旋律の城廓で、

七つの因子を術式の力とする方法を見つけ出す。

今なお術式の力の根源は七つの因子である。


 スオーノは、

旋律の王だ。

旋律の権能を持ち、旋律の冠の継承者である。


 ベガは、

織姫だ、

織りの権能を持ち、織りの冠の継承者である。


 スオーノとベガは因子を文様とし、

文様の魔法使いの弟子のルベライトとサファイアは、

冠の権能を与えた接続物が固有の鍵であり、

圏の権能を与えた接続物が冠である事を知る。

第Ⅰ話

 無限次元の圏の中に、

圏の圏があり、

圏の圏の圕の圏にて、

その力は王冠に継承される。

 全ての星海域に王冠は存在し、

王となる物はその接続物を自らの魂にリンクする。

そして王となった、ベガ、スオーノ、カオリは、

無限次元の圏、すなわち、始まりの圏で目を覚ます。

 世界に王冠が存在しない時、クォーツが出現する。

クォーツが破壊されると冠は形成され、

その継承者は"王"となる。


 圏の時 0年、

圏に時が生まれる。

圏の時 1年、

圏に空間である圕が生まれる。


 ベガ、スオーノ、カオリは、

織りの圏、旋律の圏、香りの圏を創造し、

王が作りし真の圏の圕は開闢の時に、星海を成す。

星海は時と空間、公理を持つ。


 それが始まりであり、

そして王は眠りについた。

王が眠っている間に、

始まりの圏に、虹の冠が生まれ、世界に元素と属性が与えられる。

それから旋律の圏に7つの因子が生まれ、それがあらゆる術式の礎となった。

第Ⅱ話

 七つの因子はその世界の公理に干渉する力を有し、

その力が魔術師の術式を成す。

始まりの魔術師の噩噩は誕生した。

悲喜の中に、歪冪筆を継承する者も現れ、

落下攻撃を発動する魔王は噩噩と交戦する。

 結び目は時の節目であり、

組み紐は空間の節目である。

軸の交点に焦点があり、始まりのレルムにて、

50人の賢者は、"賢者の力"を使用する。

賢者の力は、開閉の力、境の力、時の力である。

 連結和は異なる物質を繋ぎ合わせる演算だ、

2つの結び目の結び目和は新たな歴史を生み出した。

結び目と組み紐を旅するオスクリダドは、

ある商空間に入る。

 開閉のレルムにて、

凹面と凸面の境を見やる噩噩は、

悲しみの中にあるオスクリダドの記憶に入る。

眠り目覚める生命の悲喜の心を知るアリスは、

閉ざされたオスクリダドの魂の結び目と組み紐への扉を開いた。

 不変量が使用する賢者の力は、

文様の力を起源としている。

向き付けされる物は、

不変量の演算を成す。

 輪環結び目にて、

オスクリダドの記憶と、

眠りしオスクリダドの魂の夢の領域に入る。

第Ⅲ話

 間隙時空で眠る心は、

雲霧林の夢を見る。


 時と時の狭間の間隙時空で、

魂が眠る幽世を探す、リンは、

物質の層で桜が咲く場所を見つけ出す。

三分咲きの桜が位置する時間の結び目は、

双曲結び目であった。


 リシュは2体の人形を召喚する。

人形は一定間隔毎に結び目間を移動する。


 組み紐は空間を外から見た時の姿だ、

同様に結び目は時間を外から見た時の姿だ、

軸の花は軸の宝石を持つ、軸の雲海上に存在する対象だ、

軸の雲海と旋律の雲海の間には海が存在し、

同一層に存在するが、軸の雲海の裏側に旋律の雲海が存在し、

旋律の雲海の裏側に軸の雲海が存在する。


 映進軸と螺旋軸と時間軸を進む魔術師は、

海を通り旋律の花にたどり着く。


 また代数の雲海は、

固有の鍵に存在し、代数の雲海上には代数の花が存在し、代数の花のコアは代数の宝石だ。

同様に固有の鍵には、圏の雲海が存在し、圏の雲海には圏の花が存在し、圏の花のコアは圏の宝石だ。


 圏の花にて時間軸と空間軸を見やるソーサラーは、

絡み目と組み紐を移動する。


 全ての対象に共通する雲海、花、宝石を、

世界の雲海、世界の花、世界の宝石と呼ぶ。