廣岡未来

babel

サイズ:モニター1台 テキスト(ハガキサイズ)

材料

【撮影】・iPhone ・三脚

【編集】・MacBook Air ・iMovie

【脚本】・Microsoft Word

【展示】・映像 →モニター・テキスト →額縁 & ポストカード" "映像、テキストを展示した小規模なビデオインスタレーション。

映像内容は自分で執筆した脚本をもとに撮影した5分程度の朗読である。

モニターやプロジェクターで映像を流すとともに、脚本の一部テキストを印刷して展示している。

映像の一部セリフを消し、展示されるテキストで情報を補完する。

【ストーリー】

都内某所に現れるお悩み相談所babel。開店時間は23:55~24:00までのたった5分間。

来店する客はそれぞれに悩みを抱えている。その悩みを解決してもらう代わりに、差し出すものとは・・・

babel

size:1 monitor, texts (postcards)

materials

【shooting】・iPhone・tripod

【editing】・MacBook Air・iMovie

【scenario】・Microsoft Word

【display】・movie →monitor ・text →photo flames & post cards

" "It is a mini video installation displaying a movie and some texts.

The detail of the movie is reading aloud, based on my scenarios in about 5 Min.

Here is a movie and displayed some text by scenarios.

You can understand the movie by displaying scripts because some serifs are muted.

【story】

babel, a consultation service for people with problems, appears in a certain part of Tokyo, and opens for only five minutes between 23:55 and 24:00.

Each visitor has his or her own problems. In exchange for a solution to their problems, what do they offer?"

活動の記録

研究記録 - 廣岡未来

表象文化演習稲垣ゼミ卒業研究

研究活動記録

国際文化4年

17G0005

廣岡未来

1. 2020年度春学期

2020年度4年次から稲垣ゼミに参加し、春学期は個人研究として様々な映像媒体からの映像を一部使い、繋ぎ合わせた映像作品『black hole』を制作した。本作品は映像の色(カラーかモノクロか)によってストーリーを表現した約10分間の映像である。また、同じ映像を繰り返し映すことで変わらない世界や負の感情が尽きない様子を表した。制作方法はまず、大まかな映像構成(どんな映像を使いたいか)を決め、その後YouTube上のフリー素材から映像を集め編集を行なった。

参考作品は、クリスチャン・マークレー/ Christian Marclay(1995-)の『Telephones』(1995)&『The Clock』(2010)、映画『ピンクとグレー』(2016)、TDLショー『ワンマンズドリームⅡ ザ・マジック・リブズ・オン』(2004-2019)の3点である。

クリスチャン・マークレー/ Christian Marclay(1995-)の『Telephones』(1995)は、130以上の古典的ハリウッド映画から電話の映るシーンを引用して構成された映像コラージュである。そして『The Clock』(2010)は古今東西の映画、テレビ、クリップ作品から引用した時計の映像、または時間を示すセリフを纏めている現実と同じ時間の流れを体感できる映像となっている。さまざまなジャンルの映像をつなぎ合わせて映像コラージュを作るというアイデアをこれらの作品から得た。

 映画『ピンクとグレー』(2016)、TDLショー『ワンマンズドリームⅡ ザ・マジック・リブズ・オン』(2004-2019)からは、映像または舞台の色がモノクロからカラーに変わる演出を参考とした。映画『ピンクとグレー』(2016)は、NEWS・加藤シゲアキ(1987-)の同名小説『ピンクとグレー』(2012)を映画化したものであり、映画後半からこれまでカラーだった映像がモノクロになる演出が印象的な映画である。TDLショー『ワンマンズドリームⅡ ザ・マジック・リブズ・オン』(2004-2019)は、東京ディズニーランドのショーベースで開催されていたディズニー映画の名場面を再現するミュージカルショーであり、幕が上がるとモノクロの世界が表現され、ミッキーマウスの演出によってステージが色づいていく。

 作品制作後の講評では、それぞれの映像同士の関連性が薄かったためにストーリーが分かりづらいという意見を得た。『Telephones』(1995)や『The Clock』(2010)のように特定のものが映る映像を収集して纏めるなど、テーマをより明確化して作品制作をするべきだったのが課題点であった。

2. 2020年度秋学期

2020年度秋学期は国際文化情報学会の参加と秋学期個人研究を行った。

国際文化情報学会では、オンラインホワイトボードツール「Miro」を使って国際文化学部の留学プログラムStudy Abroad(SA)をテーマとしたアニメーション作品『Cities on the Move -オンラインホワイトボードツール「Miro」によるアニメーション作品の制作』を行い、映像部門で最優秀賞を受賞した。本作品はS A先で経験した出来事や思い出を絵や写真、付箋を使ってMiroに世界地図を描く様子を画面録画した約20分間の映像である。私はS A先のドイツ、スイスの地図制作とこれまで留学や旅行で訪れたことのあるアメリカ、カナダも担当した。

参考作品は, ハンス・ウルリッヒ・オブリスト /Hans Ulrich Obrist(1968-) と ホウ・ハンル/Hou Hanru(1963-)による巡回展『Cities on the Move』(1997-1999)、ナム・ジュン・パイク/ Nam June Paik(1932-2006)『Electronic Superhighway』(1995)、ジョセフ・コーネル/ Joseph Cornell(1903-1972) 「アッサンブラージュ(assemblage)」である。

『Cities on the Move』(1997-1999)は、国や地域をテーマにビジュアルアート、映像、パフォーマンスなどの作品をその場所に応じて制作していく巡回展である。SA先での思い出を作品にする上でヒントを得た作品である。『Electronic Superhighway』(1995)は、カラフルなネオン管やテレビ、モニターなどさまざまなデバイスを使ってアメリカの地図を描いた作品であり、デジタルデバイスを作品に活用する点、地図のアイデアを参考としている。「アッサンブラージュ(assemblage)」は、雑多な日用品や工業生産品などを集めて作品を作ることである。さまざまなものを組み合わせて作品を作るという点で、付箋や画像を寄せ集めて地図を描く発想を得た。

秋学期個人研究では、『すがお』というタイトルのパフォーマンス映像を制作した。映像内容は幼少期から今までの写真を自分が慣れ親しんだ場所で破き、破った写真をお面に貼り付け、そのお面をさらに半分に裂き被る様子を撮影したパフォーマンスである。日常のコミュニケーションにおいても、素顔を見せているつもりでも周りから見ると一部分しか見えていない様子が破れたお面を被っている様子と似ていることから本作品のアイデアを得た。また、写真を破くことで過去と決別し新しい自分に生まれ変わりたいという願望を表現しているが、破いた写真がお面に張り付いていることで何も変われていない現実との対比も見せている。

参照作品は村上三郎(1925-1996)「紙破り」とモニカ・マイヤー/ Monica Mayer(1954-)『沈黙のClothesline』(2019)である。

村上三郎は木枠に貼ったクラフト紙を体で突き破って通り抜ける「紙破り」などパフォーマンス・アートの先駆者であり、「紙破り」では物質と自らの身体・精神の衝突を通して「生」の実感に向き合おうとする私的で根源的な欲求にもとづく表現行為を行っている。紙を破くことで自己表現を行う点で、本作品の写真を破くパフォーマンスの参考とした。

『沈黙のClothesline』(2019)は、「あいちトリエンナーレ2019」で問題となった「表現の不自由展・その後」の展示中止に抗議する作品として『The Clothesline』(2019)から内容を変更した作品である。『The Clothesline』(2019)は鑑賞者が日常生活で感じた差別やハラスメントなどの経験を小さな紙に記入し、会場の物干しロープに干すというインタラクティブアートであるが、『沈黙のClothesline』(2019)では物干しロープについた紙を引きちぎって展示を行なった。紙を破くという行為で意思表示を行う点から写真を破くことで心機一転を図ることを表現する発想を得た。

場所やシチュエーションなどに変化をつけて撮影したが、編集してみると全体的に画面変化が乏しい映像になってしまったため、今後は演出や編集を工夫していきたい。

3. 2021年度秋学期

2021年度秋学期は「みなとメディアミュージアム2020→2021 (MMM)」の参加と卒業制作を行なった。

茨城県ひたちなか市那珂湊で開催される地域芸術祭「みなとメディアミュージアム2020→2021 (MMM)」では、2021年11月3日〜5日、外濠校舎1階メディアラウンジにてサテライト展示を行なった。那珂湊に住む人々のインタビューをもとに作品を制作し、私はLINE公式アカウントを使った謎解きゲーム「なかみなと君からの挑戦状」を制作した。参考としたインタビューはホビーショップ風車店主と梅藤米殻の鹿志村吉信さんであり、これを基に謎解き問題の作成、脚本執筆を行った。クイズに正解するとインタビューを参考に執筆した脚本を朗読した音声動画を見ることができる作品となっている。また、「なかみなと君」というキャラクターも新たに考え、クイズや映像を通じて那珂湊に住む人々の様子が感じられるよう工夫した。

卒業制作では、映像、テキストを展示した小規模なビデオインスタレーション『babel』を制作した。映像は自分で執筆した脚本をもとに朗読した全編合わせて約20分間であり、モニターで映像を流すとともに、脚本の一部テキストやキャラクター紹介、物語のキーアイテムであるコーヒーを展示するなど視覚、聴覚、嗅覚を使って楽しめる展示を目指した。ストーリーは、お悩み相談所babelを舞台に二人の女性カナコ、レイナの物語をそれぞれ描き、映像の一部セリフを消し、展示されるテキストで情報を補完している。

参考作品は、【横浜美術館 トライアローグ展】森山未來(1984-)による朗読映像とピナ・バウシュ/ Pina Bausch (1940-2009)の「タンツテアター Dance Theatre/Tanztheater (独)」である。

【横浜美術館 トライアローグ展】森山未來(1984-)による朗読映像は、同展覧会で出品された作品ルネ・マグリット(1898-1967)『王様の美術館』(1966)から創作した物語を俳優・ダンサー森山未來(1984-)による朗読、パフォーマンスで表現している映像である。物語を朗読だけではなくパフォーマンスも行って表現する点で、映像、テキストなどさまざまな媒体を使って脚本の世界観を描くことの着想を得た。

「タンツテアター Dance Theatre/Tanztheater (独)」は振付家、舞踏家であるピナ・バウシュ/ Pina Bausch (1940-2009)による演劇要素をダンス作品に用いた表現形態である。言葉を介さずダンスのみでストーリーを表現するため、言葉や声の重要性に着目していないが、卒業制作ではテキスト展示や朗読など声や言葉を意識した作品を目指した為に、これを比較対象として作品制作のアイデアを得た。

朗読映像が長くなってしまったために、観客に全編見てもらうことが難しかったのが課題点である。今後は制作側だけでなく観客の視点も大切に作品制作をしていきたい。

4. 先行研究、参考作品一覧

【2020年度春学期個人研究】

・『Telephones』(1995) , クリスチャン・マークレー/ Christian Marclay(1995-)

MOSMAN ART GALLERY/ Telephones: Christian Marclay

https://mosmanartgallery.org.au/exhibitions/telephones-christian-marclay (2021/12/30閲覧)

・『The Clock』(2010), クリスチャン・マークレー/ Christian Marclay(1995-)

TOWER RECORDS ONLINE/ 時を示す古今東西の映像をコラージュした24時間の大作「The Clock」──クリスチャン・マークレー(3)

https://tower.jp/article/feature/2011/09/07/eg_theclock/eg_theclock03 (2021/12/30閲覧)

・映画『ピンクとグレー』(2016)

映画マガジン FILMAGA/ 「生々しい」行定勲監督がモノクロ映像の魅力と『ピンクとグレー』の仕掛けを明かす

https://filmaga.filmarks.com/articles/509/ (2021/12/30閲覧)

・TDLショー『ワンマンズドリームⅡ ザ・マジック・リブズ・オン』(2004-2019)

【2020年度国際文化情報学会】

・『Cities on the Move』(1997-1999), ハンス・ウルリッヒ・オブリスト /Hans Ulrich Obrist(1968-) & ホウ・ハンル/Hou Hanru(1963-)

“Cities on the Move / Urban Chaos and Global Change̶ East Asian Art, Architecture and Film Now” Hayward Gallery

https://waysofcurating.withgoogle.com/exhibition/cities-on-the-move (2022/01/01閲覧)

・『Electronic Superhighway』(1995), ナム・ジュン・パイク/ Nam June Paik(1932-2006)

SAAM ”Electronic Superhighway: Continental U.S., Alaska, Hawaii”

https://americanart.si.edu/artwork/electronic-superhighway-continental-us-alaska-hawaii-71478 (2022/01/01閲覧)

・「アッサンブラージュ(assemblage)」, ジョセフ・コーネル/ Joseph Cornell(1903-1972)

Artpedia アートペディア/ 近現代美術の百科事典

「ジョセフ・コーネル / Joseph Cornell 箱の中の夢のようなアッサンブラージュ作 品」、

https://www.artpedia.asia/2017/02/28/ジョゼフ-コーネル/ (最終閲覧日: 2021/01/23)

【2020年度秋学期個人研究】

・「紙破り」/村上三郎(1925-1996)

美術手記 NEWS/EXHIBITION-2017.10.11

村上三郎の「紙破り」をいま改めて考える。大阪のアートコートギャラリーで展覧会開催

https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/8052 (2021/12/31閲覧)

・『沈黙のClothesline』(2019) , モニカ・マイヤー/ Monica Mayer(1954-)

TimeOut ジェンダー差別を可視化するアートプロジェクト「Our Clothesline with Monica Mayer」

https://www.timeout.jp/tokyo/ja/ニュース/ジェンダー差別を可視化するアートプロジェクト-our-clothesline-with-monica-mayer-030720 (2021/12/31閲覧)

【2021年度「みなとメディアミュージアム2020→2021 (MMM)」】

・「みなとメディアミュージアム2020→2021 (MMM)」

https://minato-media-museum.com (2022/01/01閲覧)

・MY PLACE -那珂湊の私の場所- オンライン展示

https://sites.google.com/view/my-place-in-nakaminato/my-place (2022/01/01閲覧)

【2021年度秋学期卒業研究】

・【横浜美術館 トライアローグ展】森山未來(1984-)による朗読映像

「《王様の美術館》からつむぐ物語」鏡男と不思議な絵

https://youtu.be/InpwjqCk1eM (2022/01/01閲覧)

・「タンツテアター Dance Theatre/Tanztheater (独)」, ピナ・バウシュ/ Pina Bausch (1940-2009)

Artscape「タンツテアターDance Theatre/ Tanztheater (独)」https://artscape.jp/artword/index.php/タンツテアター (2022/01/01閲覧)