高野巴菜

現代の若者に向けた風刺作品

絵の具と紙粘土

過剰なダイエットや、不要な食事制限は必要なのかどうかを訴える作品

Caricatures for modern youth

Paint and paper clay

A work that appeals whether excessive dieting or unnecessary dietary restrictions are necessary

一年の記録

ゼミ活動報告書 - 高野巴菜

活動報告書

国際文化学部3年19G0407高野巴菜

【MMM】

MMMに向けた作品制作にあたって、インタビューを通して感じ取ったイメージを、絵を描くことで表現した。今回私は、那珂湊の地域をつなぐ電車の車掌の吉田さんのインタビュー映像を参考にした。吉田さんのインタビューから、地域における電車の重要性を感じ取った。交通手段の一つではなく、地域中、人々をつなぐ役割があることを実感した。また、インタビューを通じて、吉田さんから電車がつなぐ未来への期待を感じ取った。そこで、あええ絵を未完成な状態にし、展示の際に周りに絵の具やパレットを並べることで、未来を書き足せる仕様にした。この展示方法によって、地域における電車の役割に未来だけでなく、未来の地域の風景の変化も表現可能になった。今まで絵を描く機会はあったが、未完成の状態を完成形にしたことがなかったので、この点は作品に面白みを出すことができたと考えている。また、作品展示の際に頂いた質問から、作品を観て感じ取った那珂湊のイメージを、来場者が書き足せる仕様にしても作品の可能性を広げることができると考えた。この活動を通して、表現方法の可能性の大きさを実感した。(469)

【スタニスラフスキー・システム】

スタニスラフスキー・システムの研究の一環として、映像作品の制作に取り組んだ。作品制作にあったて意識した点は主に三点ある。一点目に、スタニスラフスキー・システムの定義である、「人間の自然による無意識の創造」を追究するために、チームの全員が出演する無声映画を作成した。最低限の視覚的情報にするために、映像を白黒に編集し、作品を観る人の想像をかき立てる仕様にした。二点目に、物語の場面を「普段の日常の一角」に設定した。私たちが現在、通っている大学を実際の舞台に設定し、実際に起こっているであろうことをストーリー設定にすることで、自然な、無意識による演技を行えるように配慮した。また、メンバーそれぞれの普段の個性や性格を活かしたキャラクター設定にすることで、チームのメンバーがより自然体で役を演じることができるようにした。三点目に、なるべく大げさな演技、わかりやすいカメラワークを心がけた。上記の通り、白黒の無声映画ということもあり、最低限の視覚的情報のもとで、いかにして作品を観る人チームで表現するものを伝えることができるのかを考えながら作品を制作した。テロップを入れる案も上がったが、自分達の立ち回り方のみで表現できる可能性を追究した。動画を撮っては演技やカメラワークを見直し、改善を繰り返すことで、テロップなしでも結果的に納得のいく作品を制作することができた。結果的に、作品を発表した際に他のチームの方から高評価を頂くことができた。また、この活動を通じて、曖昧なイメージであったスタニスラフスキー・システムへの理解を深めることができた。実際に自身が「無意識な演技」をする感覚を味わうことができた。また同様に、以上三点を心がけたことで、作品を観る人の想像もかき立てることができたと実感している。(745)

【個人研究】

 今回の個人研究に取り組むにあたって、テーマを設定する際に自分の身の回りの現象や風潮に疑問の目を向けることから始めた。結果、「現代の若者に向けた風刺作品」というテーマを設定した。なかでも作品が持つメッセージ性を伝える対象として、「三年後の20代」に設定した。現在の高校生から、20代後半の若者に共通する、現代特有の風潮は何かを考え抜いた結果、「痩せていることが美しい」という共通認識にたどり着いた。これは、SNSの普及によって、インフルエンサーの存在がより身近なものになったことが一番の要因であることと考えられる。「この人が勧めていたから」「あの人が使っているから」という理由で、サプリメントを摂取したり、美容グッズを購入したりする光景を頻繁に見かけるようになった。また、ルーツのわからない「シンデレラ体重表」の広がりで、現代の若者のダイエットブームが巻き起こっていると考える。しかし、この「当たり前」があるからこそ、本来あるべき人間の姿から遠のいてしまうのではないか、と疑問視した。人が何を「美しい」と感じるかの判断基準は人それぞれであって、多様性に富むからこそ、それぞれの美しさが際立つと考える。しかし、先ほども述べたようにSNSの普及によって、他人の目を気にするようになり、結果的に多様性が否定されるような風潮ができあがってしまったのではないか。この考えを基に作品制作に取りかかった。心がけたことは主に三点ある。一点目に、ツールに粘土を用いることで、自分の考えをありのままに形に残せるようにした。二点目に、あえて作品に着色をしないことで、作品を観る人のそれぞれが抱く色のイメージが、作品が持つメッセージ性に影響を及ぼさないようにした。三点目に、作品を二つで一つにすることで、作品を観る人に作品のメッセージ性や制作の意図が伝わるようにした。想像していた以上に、表現することは難しかったが、改めて自身のことを考え直すきっかけと、今後のゼミ活動に活かせる経験になった。(829)