伊東小町

yubisaki

写真用紙: L, 2L, A4、ネイルチップ"

日に何度も目に入る、指先の小さな面積を彩る。

ファッションとして、

身嗜みとして、

或いは精神安定剤として。

この『yubisaki』では、

ジェンダー、ファッション、そして私たちの身体としての指先の可能性を表現しました。

爪に色を塗る行為は自分自身の身体を慈しむことに近くて、自分自身と繋がる簡単で優しい儀式のようなものかもしれません。

写真: 徳永歌代

モデル: 星野晃佑、間屋口藍、箕輪麻子

スタイリング&ネイル: 伊東小町


yubisaki

Photo paper: L, 2L, A4, Nail tips

Color the small area of ​​your fingertips that you see many times a day.

As fashion

As a personal taste

Or as a tranquilizer.

It expresses fashion, gender, and the potential of our fingertips as a body.

The act of coloring your nails is close to caring for your own body and may be like a simple and gentle ritual to connect with yourself.

Photographer: Kayo Tokunaga

Model: Kosuke Hoshino, Ai Mayaguchi, Asako Minowa

Styling&Nail: Komachi Ito

一年の記録

個人研究レポート 伊東小町 - 伊東小町

2021年度 稲垣ゼミ活動記録

国際文化学部3年 伊東 小町(19G0402)

今年度のゼミ活動では、MMM展示作品『wind』、秋学期個人研究『yubisaki』の2作品を制作・展示した。その他、作品制作に伴い現地フィールドワークや美術館などに足を運ぶことができた。関連する資格取得、自身で活動している作品制作・販売など学内・学外ともに幅広く活動できた。

11月MMM展示作品『wind』

アルコールインクアート作品を展示した。

那珂湊でのフィールドワークで印象深かったのは、強い海風である。

また、澄んだ空気、ゆったりとした時間の流れや住民の雰囲気は東京に住む私には非常に新鮮なものだった。アルコールインクアートは風でインクを動かしながら描く点や、模様がランダムになる点に注目し、那珂湊の地域特性や雰囲気を表現した。

参考にしたインタビューは、臼田さんの壁に怖い海の絵を描いたエピソードで、港町ならではの海への向き合い方や多角的に捉える視点を軸に制作した。その土地の住民が感じる恐怖や豊かさは、海の青色だけでなく紫、緑、ピンクなど多様な色を使うことで奥行きや独自の色合いを出して多様な海を表現しており、ゴールドのインクも使うことで照明の当たり方や見る角度によって表情が変化することで多角的な視点を表現した。

改善点

照明の当たり方によって見え方がかなり変化するので、適当な照明を持参するべきだった。

12月 秋学期個人研究『yukisaki』

メンズネイルをテーマに写真とネイルチップを展示した。

先行研究

アナザーエナジー展(森美術館)

印象派・光の系譜展(三菱一号館美術館)

印象派画家たちの友情展(アーティゾン美術館)

パーソナルカラー検定2級/JNEC(ネイリスト技能検定)3級 取得

『yubisaki』制作にあたって、ネイルデザインの先行研究として印象派の展示、パーソナルカラー・ジェルネイルの資格を取得した。

昨今、ジェンダーレス化に伴い、メンズコスメ・メンズ美容というワードが出てきた。その中でも特に、私はメンズネイルに注目し秋学期個人研究では写真作品を制作した。

私自身がネイルを好きなこともあり、日常的に目に入る指先の可能性や魅力にフォーカスした。ファッション・ジェンダー・身体の3つの観点からコンセプトやイメージを分けて昼・夜撮影をした。

昼の撮影ではモデルの中性的でニュートラルな雰囲気を活かしたデザインで、個人の持つ魅力を引き出す身体の一部としてのネイル、また男性モデルであることでジェンダーの観点からもアプローチした。またネイルデザインやモデル選びには、取得したパーソナルカラーの知識を活かし、モデルの肌質や独自の雰囲気に調和した色使いを心掛け、指先がより美しく見えるように工夫をした。

夜の撮影では、撮影場所を都会的な雰囲気の出る場所を選択し男女ペアモデルであることでファッションの一部としてのネイル、またジェンダーレスをテーマに撮影した。

実際にカメラマンやモデルとして活動しているメンバーと制作したことで作品としてのクオリティも重視している。

展示には、写真だけでなく撮影時のデザインを再現したネイルチップも展示することで、ジェルネイル独自の艶や厚み、色合いなどを来場者に感じてもらえるように工夫した。

改善点

自宅のプリンターの用紙と写真屋さんの用紙の質感が異なったため統一するべきだった。

写真用紙のサイズが全体的に小さく、迫力が無かったのでもう1サイズ大きくした方がよかった。

学外活動 アルコールインクアート制作・販売

その他、年間を通して自身でアルコールインクアート作品を制作・販売した。一年間で50点ほど制作し、その中の30点ほどを販売することができた。制作、PR、ショップの運営、販売などを一貫して一人で行ったことは大きな経験になった。来年度は更なる技術向上、販売を目標にし、制作活動を継続していきたい。アルコールインクアートだけでなく、ネイルチップやiPhoneケース、油絵など活動の幅を広げていきたいと考えている。

結論

今年度は学内・学外共に、成果のある活動ができた。

『Wind』,『yubisaki』の2作品は、どちらも抽象画と抽象的なニュアンスデザインだったので、引き続き来年度も極めて行きたい。どちらも展示内容はおおよそ満足しているが、展示方法に関する改善点が多いので次回は工夫したいと思う。あるいは、写真作品やインスタレーションというよりは、キャンバスや額装の作品を構想している。

私自身の中で大きな経験だったのは特に、アルコールインクアートの作品を自身で制作・PR・販売までを一貫して行ったことである。顧客のニーズや魅せ方、販売場所による客層の違い、金額設定等、独りよがりにならないアートの在り方を学ぶことができた。特に現代アート作品は自由で幅広いゆえに何でもアート作品になり得る。今年度はMMMと秋学期個人研究の2作品を制作したが、作って終わりではなく、どちらも作品として胸を張れるクオリティを重視した。来年度もその軸は変えずに、引き続き活動していきたい。