徳永歌代

螺旋

インクジェットプリント、発泡スチロール、ohpフィルム

297×420mm、210×297mm

我々は毎日、自分の身体を使って行為する。身体は一人一人が個別に有しているもので、それぞれの意思に従って動き、私はそれどのように使えばいいかを知っている。

私の身体は、私だけのもの。

しかしそれは本当だろうか?

ある日突然、事故に遭って思うように身体が動かせなくなる。腫瘍が見つかり、病気を告げられる。ふとした瞬間から、動悸がして手が震える。そんな状況に直面したとき、我々は自分の知る「私の身体」は、実は表面的なものに過ぎなかったことを突き付けられる。私の意思とは関係なく、勝手に蠢き、変わり続けていく。不安定で、壊れやすくて、得体の知れない物体。

私の身体は一体、どこまで私のものなのだろうか。

The Helix

inkjet print 、Styrofoam、ohp film

297×420mm、210×297mm" "We act with our bodies every day. Each person has his or her own body, which moves according to each person's will, and I know how to use it.

My body is only for me.

But is that true?

One day, I suddenly got into an accident and couldn't move as I expected. A tumor is found and the illness is announced. From the moment I suddenly feel palpitations, my hands tremble. When faced with such a situation, we are confronted with the fact that the ""my body"" we know was only superficial. Regardless of my intention, it will wriggle and continue to change. An unstable, fragile, and mysterious object.

How far is my body mine? "

一年の記録

期末レポート19G0511德永歌代 - 徳永歌代

2021年度秋学期個人研究レポート

法政大学国際文化学部国際文化学科3年 

19G0511 德永歌代

目次

1  MMM みなとメディアミュージアム サテライト展

2  スタニフラフスキー・システム 映像作品制作

3  秋学期個人研究

4 まとめ

1 MMM みなとメディアミュージアム サテライト展

・概要

毎年、茨木県ひたちなか市で行われるアートフェスである「みなとメディアミュージアム」に、稲垣ゼミとして参加することとなった。当初は現地での展示が計画されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大や、担当者との連絡の滞りなどが影響し断念。法政大学市ヶ谷キャンパスの外濠校舎1Fメディアラウンジにてサテライト展を開催する運びとなった。

このプロジェクトでは、ゼミ全体で行った「My Place」と、個人で作品制作をした「Living& Not Living」の二つの作品を展示した。

また、「My Place」の事前準備として、ゼミ内でグループに分かれワークショップを行った。

・制作方法

「My Place」

稲垣先生が実際に現地の人々にインタビューを行った映像を、個人が細かく担当を分けて文字起こしし、グループでまとめ作業を行った。

インタビューはふとん店である玄宝屋の奥山さんを担当し、周さんと原稿をまとめた。「Living&Not Living」

 実際に那珂湊を訪問し、散策しながら写真を撮影した。

・材料・使用したもの

「Living&Not Living」

 デジタルカメラ、フィルムカメラ、フィルム、印画紙

・展示

 「My Place」

インタビュー時の映像と、文字起こしをしてまとめたテキストを同時に展示した。

 「Living&Not Living」

印画紙に印刷した写真を網状のパーテーションにクリップで留め、展示した。

・気を付けたこと・反省

 「Living& Not Living」

撮影の際、あくまでも観察者としての視点を取ることを心掛けた。現地に住んでいないからこそ気が付ける那珂湊の今の姿を写真に反映できたと感じた。

 印刷を光沢紙にしてしまい、少し光ってしまった。次回に活かす。

2 スタニフラフスキー・システム 映像作品制作

・概要

 我々room4では、ロシアの演出家であるスタニフラフスキーが考案した演技理論である「スタニフラフスキー・システム」を念頭に置き、自らの存在を登場人物として設定し台本を練り、それを本人たちが演じるという方法で映像制作を行った。尚、私は初回の授業に私用で参加できなかったため、台本の登場人物・演者として出演はせず、撮影を担当した。

 後述の個人研究展と同時に展示された。

・room4 メンバー

 原さん、廣岡さん、ヴィセンテ伊藤さん、德永

・制作方法

 三部構成。初めに原さん、廣岡さん、ヴィセンテ伊藤さんで第一章の台本を制作し、その回の授業の終わりに実際にオンラインで演じて発表。その後、台本を交換する形で別のグループが第二章の台本を制作し、最後にもう一度本人たちに台本を戻して第三章を制作し、台本を完成させた。

 その後映像化。第一章は本人たちがモニターに投影したカンペを軽く覚え、演技をした。第二章は別グループが台本を書いた。この部分はセリフに合わせてポーズや表情を変えた本人たちの写真を、zoomの画面をキャプチャーして撮影し、それぞれ平野さん、伊藤小町さん、德永が音声のアテレコをしたものと合成して制作。第三章は一章と同じくモニターにカンペを投影しつつ本人たちが演技をした。

・タイトル

 「輪廻転生(サークル)~これが法政の4月だ!~」

・シナリオ概要(ネタバレあり)

第一章、三人がサークルの新歓コンパで出会う。自己紹介をし、仲良くなる。第二章、終電の車内で三人がバンドを結成する。新歓ライブに出演することにする。第三章、バンドとして練習を試みるがうまくいかない。共通の趣味であるゲーム部を作ることをライブの舞台で宣言する。

・材料・使ったもの

 撮影/音声:iphone、編集:タブレット(原さん)、撮影地:G501教室

・気をつけたこと・反省

 第二章で画像は本人なのに音声が別の人という方法で制作をしたのだが、台本も本人たちの名前を使いつつ別の人が作ったので、台本のちぐはぐ感を制作方法で表現できたのが良かった。

3 秋学期個人研究

・概要 

 今回の個人研究では、ふとしたときに感じた自分の行動への疑問を発展させ、「自分の身体に対する不信感」を題材にした『螺旋』という写真作品を制作した。これもMMMサテライト展と同じく外濠校舎1Fメディアラウンジにて一週間の展示を行った。

・タイトル

「螺旋」

・テーマ

自分の身体に対する不信感

・概要(キャプションも兼ねる)

 我々は毎日、自分の身体を使って行為する。身体は一人一人が個別に有しているもので、それぞれの意思に従って動き、私はそれどのように使えばいいかを知っている。

 私の身体は、私だけのもの。

 しかしそれは本当だろうか?

 ある日突然、事故に遭って思うように身体が動かせなくなる。腫瘍が見つかり、病気を告げられる。ふとした瞬間から、動悸がして手が震える。そんな状況に直面したとき、我々は自分の知る「私の身体」は、実は表面的なものに過ぎなかったことを突き付けられる。私の意思とは関係なく、勝手に蠢き、変わり続けていく。不安定で、壊れやすくて、得体の知れない物体。

 私の身体は一体、どこまで私のものなのだろうか。

・着想

— 自分の喫煙

— 鷲田清一、高原英里などの著書から“人の身体は常に不安を抱えている”

 突発的な事故、病気の突然の判明など

 →自分の身体なのに知らないこと、見えていないことは実はとても多いのではないか?

 →自分の身体に対する不安、不信感、また自分の身体が勝手に行っていることの残酷さ

 ※螺旋→・DNA構造 

       ・生の営みを象徴するモチーフとして   

・先行研究

— 吉田志穂「砂の下の鯨」

デジタルとアナログを行き来する多層的な写真を制作している。既存の写真もレイヤーに組み込まれている。

  

・制作

— 表現:写真

— 制作方法:自分の身体の写真を撮影し、場合によっては加工・合成を施した。また、コピー機での複製も表現手段の一つとして使用した。

・材料・使ったもの

デジタルカメラ、フィルムカメラ、フィルム、ohpフィルム、インク、ハレパネ

・展示方法

 撮影した写真を選定し、キンコーズでマット紙に印刷したものをハレパネに貼った。先生からお借りしたプラスチックの白い板を背景に、配置した。

・反省

 新しい表現にチャレンジできたこと、初めてハレパネでの展示を経験できたことが自分にとっては収穫になった。ただ、コンセプトを固めるのに時間を要したため取り組むのが遅く、やりたいことが全てできたわけではなかったのが残念。

4 まとめ

一年を通して、様々な作品を制作する機会があり、自分にとって大きな意味のある活動だったと感じている。今後作品を制作していくうえで糧になることも多く、目的や意味を考えながら常に制作に向き合うこと、また計画的に進めていくことの大切さを感じた。

そして、対面での授業も始まり、ゼミのメンバーと仲良くなることが出来とてもよかった。