鈴木都久美

「映像視聴における視界の可視化」

作品名(英語):「Visualization of visibility in terms of watching video」

作品のサイズと材料(日本語):LUMIX DC-G100、After Effects、Premier pro、モニター

作品のサイズと材料(英語):LUMIX DC-G100、After Effects、Premier pro、a monitor

作品の解説(日本語):

インターネットが普及し、無料の動画視聴プラットフォームの登場で、誰でも簡単に様々な映像を楽しむことができるようになった。特に昨今投稿されるアーティストのプロモーション/ミュージックビデオなどの魅力的な映像は多くの人々の目を引き付け、世界中の人々が視聴している。それら多くは数分の尺に収まっているものがほとんどだが、人々が実際に見ている映像はその本来の尺とは異なり、気になるところで一時停止をする、巻き戻す、途中で見ることをやめるなどしてはいないだろうか。本作品では、この「映像作品において、実際に認識している部分」に焦点を当て、あるダンス映像を一通り楽しんで見終わるまでにどの様に映像が流れているのかを可視化したものである。

作品の解説(英語)

 Thanks to the internet and some digital platform, we can easily enjoy to watching various videos. Especially, attractive videos such as promotion/music videos from famous artists nowadays have hundreds of millions of views. Although the length of these videos are about three to five minutes, the actual length that we watch them is different. We pause, rewind, and stop to watch videos. In this work, I focused on “the part practically recognized when watching videos,” and visualized how we actually watch to enjoy one dance videos.

一年の記録

個人研究レポート_19G1212

2022年1月7日

2021年度 稲垣ゼミでの活動の振り返り

法政大学 国際文化学部3年

19G1212 鈴木都久美

【はじめに】

稲垣ゼミに所属して2年目を迎える第三学年次1年間の活動をこのレポートに記録する。映像、及び映像業界への興味からこの一年間の個人研究では主に映像媒体の作品を制作してきた。本稿では、2021年度の活動記録及び制作した作品の説明と反省、そしてこれからの展望について述べていく。

【一年間の活動概要】

まず、この一年間を振り返った時、個人での作品を制作する機会が多かった。春学期には、茨城県で行われるアートプロジェクト、「みなとメディアミュージアム(MMM)」の参加にむけた個人研究を行った。新型コロナウイルスの影響でMMMでの展示は叶わなかったが、当時興味を持ち始めた映像を媒体とする作品を作りたく、プロジェクターを2台使用したインスタレーション作品を制作した。夏季休業期間に参加した海外フィールドワークでは本ゼミの教授である稲垣教授のご指導の下、フィリピンで活躍されているアーティストの方々の講義を受講した。夏季休業期間にゼミ全体の課題として出された国際文化学部パンフレットの表紙デザインコンテストでは、「モナリザ」をモチーフにデザインし、高野有紀賞という結果を頂いた。そして秋学期には、MMMでの展示がかなわなかった作品のサテライト展示を行った後、個人研究にてダンサーを被写体とした映像作品を制作した。

はじめて個人での応募に挑戦した国際文化情報学会に関しては、書類提出の遅れによって参加できないという結果になった。提出の遅延以前にも、教授への事前確認を行わないなどの不手際が多く、多方面の方々にご迷惑をおかけしてしまった。原因としては、作品制作からメールでの提出に至るまでの計画不足、募集要項等の確認不足などが挙げられる。以前にも展示準備が不充分で教授をはじめ周囲の人々の迷惑をかけたことがあったのにもかかわらず、同じような失態を繰り返してしまい、深く反省している。稲垣教授からもお叱りのお言葉を頂き、自分の生活態度の悪さや学生としての意識の低さについて向き合うきっかけとなった。これから二度と同じような過ちを犯さないように日頃の些細な行動から正していきたい。

【映像への興味】

2021年度は、映像制作への興味が大きくなった年であった。所属しているダンスサークルで映像制作を任されてから撮影や編集の機会が増え、ゼミでの活動以外にも映像を制作してきた。*主にダンスイベントのプロモーション・オープニング映像やアタックムービーを制作し、構成案から編集までの全作業を一人で担当した。この経験はもちろんゼミでの作品制作に大いに役立ったが、会場を盛り上げること・宣伝することを目的としたイベント映像とは異なり、ゼミでの作品は「アート」として成り立っていなければならないためそれらのギャップに苦戦した。どちらの映像もテーマやメッセージを先に決めてから制作に取り掛かったという点では、経験が役立った。

映像に関して参考にしているのが佐々木集さんである。クリエイティブチームPERIMETRON、ミュージックバンドmillennium paradeに所属する佐々木さんは映像ディレクターをはじめ、プロデューサー、クリエイティブディレクター等、型におさまらない活躍をしている。*映像を専門的に学んだ経験がない中、彼の国内外での経験がアイデアを生み出しているという点に感銘を受けた。特に彼がプロデューサーを務めたTempalayの「そなちね」のMVは、曲自体のストーリーからMVの制作に関わっており、マルチな才能と斬新なアプローチの仕方に驚かされる作品の一つである。

【春学期に制作した作品】

春学期に制作した作品は、『Overlapping』である。この作品は、MMMの活動で行った那珂湊に住む人々へのインタビューからインスピレーションを受け、彼らの過ごす日常と私たち法政大学学生が過ごす都内での日常の映像を効果的に使用した約6分間のインスタレーション作品だ。インタビューからイメージした自然の豊かな田舎の町並みの映像と都内の映像とを二つ用意し、2台のプロジェクターを用いてそれぞれずらして投影し、スクリーン上で重なる部分と重ならない部分とを二つの日常での相違点と共通点として表した。この重なる部分には、定期的に同一人物の少女が異なる映像にそれぞれ映されるようになっており、どんな人がいかなる場所にいてもその人だけの日常が作られることを表現している。本作品を制作するにあたって、人々の日常に共通点と相違点があるということと、それと同時にその一つ一つの日常は唯一無二であるという一見矛盾にも捉えられることを表現することが難しかった。当初は田舎のシーンを那珂湊に赴いて撮影する予定だったが、新型コロナウイルスの影響によりそれが叶わなくなってしまい、別の場所での撮影はやむを得ずの判断であった。那珂湊でのエピソードやその直接的な雰囲気を別の場所で、且つ想像しかできない状況の中映像で表現するのは限界があり、本来制作したかった理想には到達できなかった点が、悔やまれる点である。

【秋学期に制作した作品】

秋学期は、映像というものを見る際に実際に視界に入っている像を直接的にそのまま映像として表した作品を制作した。『映像視聴における視界の可視化』は、ダンサーがダンスを踊っている映像の一部始終を、作者が満足のいくまで自由に視聴し、そこで実際に再生された一部始終を全て映したという作品である。人々は、映像を視聴する際にその本来の映像そのままを見ていない。途中で一時再生をする、ある一点に注目し続ける、気になる箇所を撒き戻して繰り返す、停止して動画を閉じる等、何らかのアクションをするだろう。この行動を第三者の視点から映してみてみたいと思った。制作方法としては、実際に作者が元の映像を満足のいくまで視聴し、一部始終を画面録画に収めてその録画を編集で忠実に再現した。反省点は、当初予定していた作品を計画通りに制作できなかった点である。当初はアニメーションと実写映像を組み合わせた作品を予定していたが、アニメーションの知識と経験が浅かったことが原因で成し遂げることができなかった。卒業するまでにアニメーション作品を制作したい。

【まとめ】

この一年間をまとめると、興味のある映像という分野に絞って作品を制作できたが、全体を通して計画力がなく反省するべき点が多い一年であった。また、自分の中のアイデアや理想ばかりが先走りして、基礎的な知識や根本的な問題を解決することをおざなりにしていたとも感じる。今後は、映像というものについての根本的な知識を得て、作品制作についてはもちろんだがいかなることも計画的に取り組むことに注力していきたい。

(参考データ)

*法政大学HSD Instagram https://www.instagram.com/hsd__2022/

*「millennium paradeでも活躍、肩書きのない佐々木集が描くものとは?」音楽ナタリー(2022年1月6日閲覧)

https://natalie.mu/music/column/443360/page/2