竹島萌花

ナイフペインティング

サイズ 10㎝×30㎝

材料 ペインティングナイフ、アクリル絵の具、キャンバス

重ね塗りと言う技法で作った。ペインティングナイフを用いて立体的に重ねることで作品にメリハリをつけた。また、パステルカラーで色とりどりの花を描くことで、柔らかく明るい作品になった。

knife painting

Size:10 cm x 30 cm

Material :painting knife, Acrylic paint, Canvas

I made it with a technique called recoating. He used a painting knife to create a three-dimensional stack to give the work a sharp look. Also, by drawing colorful flowers in pastel colors, it became a soft and bright work.

一年の記録

稲垣ゼミ個人研究19g0604竹島萌花 - 竹島萌花

2021年度秋学期科目「表彰文化演習」レポート

法政大学国際文化学部国際文化学科 19g0604竹島萌花

  2021年4月稲垣ゼミに入ってから、初めて現代芸術と向き合った。一年間のゼミの活動を通し、ゼミ生の自分の作品へのこだわりに驚かされた。また、同時に今までの自分の芸術への理解の無さにも驚いた。私は今まで有名な現代美術館に飾られている絵や、ヨーロッパの国立美術館に飾られている絵を鑑賞しても、絵が上手だ、色合いが好きだ等、恥ずかしながらまるで小学生のような感想しか出てこなかった。有名な画家であるピカソ作品に対しては、私が代役で描いたとて誰も気づかないのだろう、何故そこまで有名なのだろうと疑問に思っていた。私は作品の見た目のみの評価しかしてこなかったのである。その為、自分が具体的にどんな作品を描き出したいのか現実的な案がなかった。元々、ジェンダーレス問題のような社会的マイノリティに興味があり、この問題を現代芸術に昇華することはできないかと考えていた。しかし、私が思い描く作品はどれも誰でも思いつくようなありきたりな考えだったり、具体案などない非現実的なものだったりした。秋学期に行った個人研究作品でジェンダーレスや社会的マイノリティの作品を取り扱っていたゼミ生と、この時の自分を比較してみても、彼女たちのような作品が果たして自分にできるかと問われると当時の私の乏しい知識では実現することは難しかったであろう。

 前述した通り、ゼミに入り2020年度の先輩の個人研究の資料を見た時に、感じたことはゼミ生の現代芸術の作品に対する熱意である。果たして自分が先輩方のような作品が作れるのだろうかと不安に思った。そして、初めての活動である那珂湊で行われるイベント“みなとメディアミュージアム(MMM)”が始まった。この活動の初めのディスカッションでゼミ生と共に、自分のイメージをグループで話した。ディスカッションでは他のゼミ生が多種多様な意見を多く発信していた。私も意見を出してはいたが、一つこの作品を作りたいというイメージを固めてしまうと、そこから逸脱した真新しい意見を生み出すことができなかった。他のゼミ生の柔軟な考え方を真似したいと思った。そして活動を進めていく中で、稲垣先生が発案してくださった“マイプレイス”を参考に那珂湊に住む地元の住民の方のエピソードを基に自分の作品を作る方向に決まった時、私が最初に考えた案は稲垣先生が発案してくださった“マイプレイス”の案をそのまま取り入れた、住民のエピソードを基に看板を立てるというものだった。しかし、これでは自分流にアレンジしていない気がした。そこで次に考えたのは、住民のエピソードを基に立体作品を作るというものだった。しかし、この作品を作りあげる為には、実際に現地に赴き写真を撮り、那珂湊にある貝殻等をとりに行く必要があったが、コロナウィルスの影響もあり現地に行くことが難しくなってしまった。私はこの時に、改めて自分の作りたい作品の為には具体的に何をする必要があるのか、そしてそれは現実的に可能なのかという、理想と現実をすり合わせることも作品作りにおいて重要であると理解した。最終的に私が考えた作品は、住民のエピソードを基に自分が感じたストーリーを描き出すというものになった。ゼミに入り初めて、現実的で自分が納得のいくアイディアを出すことができたと感じた。そして、実際にボビーショップの店主のインタビューを読んでいると、実際にお会いしたことはないが素敵な人なのだろうと思った。そして、作品を作る中でその人のエピソードを自分なりに解釈し、絵を描くことが面白いと思った。初めて作品というものを生み出せたのだと感動した。そして、次に学部パンフレットの表紙デザイン描くことを決めた。昨年度コロナウィルスの影響で私たちの学年は現地に留学にいく事はできなかったけれど、オンライン留学やZOOM等のオンライン授業等インターネットを活用し、世界と繋がることができる。“コロナが明けたらオンラインで繋がった人達に合いに行ける。だから私たちは大丈夫。”このメッセージをこれから入学してくる後輩たちに伝えることができるのは、コロナウィルスの影響を直に受けた私たちの世代だけだというイメージをすぐに思いつくことができた。初期の頃と比べてすんなりと作品のイメージを固める事ができる自分がいる事にとても驚いた。そして、個人研究の作品を作る事になった時、MMMの作品を作る際に初めて筆以外を使って絵を描くと予想外の描写になり興味深かったことを思い出した。そこで、Instagramで調べていくうちに“knifepainting”という技法があると知り、この方法で個人研究の作品を作る事を決めた。作品の出来栄えとしては、お世辞にも綺麗とは言えなかったが、今後もこの技法で絵を描いていきたいと思えた。

 初期の頃は作品の見た目のみで判断してしまい作品に込められた意図や意味までくみ取ることができなかった。しかし、自分が作品を作る側に回ったことで、どの作品にもバックグラウンドがあり、意図がある。自分たちは作品の背景を逃してはいけないのだと、多種多様の方向から作品を捉えていく事の重要視を学ぶことができた。これからは、今までとは違った角度から芸術について学んでいきたい。