東洋大学学生課外活動育成会企画
2023年度 合宿型ボランティアプログラム
「ワークキャンププログラム(いわき市田人)」

開催期間・日時

2023年8月21日(月)~23日(水) (2泊3日)

※事前学習会(オンライン)8月7日(月)12:00~13:00  

場 所

福島県いわき市田人町 

目 的

「田人に住む人たち」×「地域外にいる人たち」を結び、ワークキャンプをメインにしたまちづくりに取り組む。  

参加者数

8名 

共 催

東洋大学ボランティア支援室 特定非営利活動法人NICE(日本国際ワークキャンプセンター) 田人里山再生委員会 

 活動内容(概要)


ボランティア支援室は、本年度より学生課外活動育成会支援事業として、特定非営利活動法人NICE(日本国際ワークキャンプセンター)グループワークキャンププログラムを共催することとなりました。 

ワークキャンプとは、一般的に宿泊型のボランティア活動のことを指しますが、その起源は第一次世界大戦終戦後のフランスにあるとされています。戦争によって荒廃した農地の再建を、戦時中敵国だった人との間でも、寝食を含めた共同作業を通じて互いに和解することを目指していく、平和運動としてはじまったものです。*1 

日本国内においても、1990年にNICEが結成され、NICEのコーディネートのもとワークキャンプ開催地の受け入れ団体をカウンターパートとしながら、地域住民といわゆる「よそもの」として関わるワークキャンプ参加者とが、共同作業を通じて互いに理解を深めていくワークキャンププログラムが、年間を通じて多数開催されてきました。今回のグループワークキャンププログラムは、NICEが特定の団体や企業らと、受け入れ団体との共催により実施しているものです。 

 

2023年度夏季休暇期間中には、福島県いわき市田人町でのプログラムと、静岡県掛川市でのプログラムの2つが実施されました。 

本稿では、田人町におけるプログラムについて報告します。以下、プログラムの企画運営に関わった学生からの報告です。 

 

 田人ワークキャンプビレッジ計画は、下条真輝さんと由美子さん夫妻が、地域の中の人と外の人とで一緒につくるまちにしたいという想いからはじまりました。

昔ながらの里山の風景が残る田人町。春は新緑が眩しい天気の中、山菜を採りに出かけ、夏は汗をかきながら育てた野菜を近所にお裾分け。秋は色鮮やかな紅葉の中、栗拾いと柿を吊るし、冬は薪で暖を取りながらゆっくり春を待つ。町の人々は、自然の恩恵を大切にしながら伝統的な農村の暮らしを営んでいます。しかし、田人町の風景と暮らしを築き守ってきた年代の高齢化が進んできました。町の人たちだけでは、この里山の風景と暮らしを維持することが難しくなってきています。農作業をちょっと体験したい人、キャンプやアウトドアが好きな人、都会の喧騒から自然の中で癒されたい人、丁寧な里山の暮らしに興味がある人、子どもを自然の中で思いっきり遊ばせたい人。そんな”外”の人の手も借りながら、田人町の里山の風景と暮らしをこれからの未来にも残していきたい。そんな想いで、地域の中の人と外の人とで一緒に作るまちづくりを目指していきます。 

宿泊先は、田人ワークキャンプビレッジ。この建物は今回のプログラムのカウンターパート役を務めてくださった、下条真輝さんと由美子さん夫妻が中心となってセルフビルドした建物です。 

 

 今回のNICE グループワークキャンプ田人 2023は2泊3日の宿泊型の活動でした。そのため活動前に2度交流会を開催し、親睦を深めました。 

1日目は集合場所に2班に分かれて向かいました。人全員が対面で初めて会う中、昼食のサンドイッチを作り、その後オリエンテーション行いました。田人町の人口・広さについての解説のほか、下条夫妻がどんな思いを持って田人ワークキャンプビレッジを作ったのかを聞きました。オリエンテーションを通して、田人町の方々は田人町が大好きであることを知り、私も田人町の魅力を多くの人に伝えたいと思いました。オリエンテーション後はワインブドウ園に向かい防虫ネットを掛けたり、草をむしり、道の整備を行ったりしました。 

2日目は主にワークキャンプ・ビレッジから川に向かう道の整備を行いました。整備は木が生い茂っている全長約200mの道を田人町の方々と行いました。川に近い下側から、順に協力して、木や草を切っていきました。昼食は田人町の方々がおにぎり、豚汁、鶏天を作ってくださり、美味しくいただきました。その後は道の整備を再開しました。予定よりも早く作業が終わったので、近くの川に行って全員で遊びました。川に入った後は温泉に向かい1日の疲れを取りました。 

3日目は当初2班に分かれ、畑の整備と、ペンキ塗りの作業の予定でしたが、急な雨により、全員で畑の整備を行いました。雨の中でも全員が協力し合い、畑の整備を終えることが出来ました。その後は昼食を取り、最後に今回のワークキャンプの思い、今後田人ワークキャンプ・ビレッジで作っていきたいもの等を順に話していくワークを行いました。ワークの中では、川を利用したテントサウナや、田人町の気候を生かしたスキー場などそれぞれ2泊3日の中で見つけた、田人町の魅力を伝えるために考えた意見を出し合いました。 

 

【参加学生の感想】 

・ 私はこのワークキャンプに参加してみて、田人町というところの歴史やこの町を盛り上げようと日々頑張っている人々を知ることができ、また他所から我々を家族のように受け入れてくれる人々の温かさ、虹や星空、川や森や動物などの自然に触れることができました。 

そして、現地の方の農作業の手伝いや道の開拓など普段東京に住んでいては味わうことの出来ないかけがえのない経験をすることができました。 

さらに、同じ大学に通っているというだけだった、学年もキャンパスも異なるメンバーと仲を深めることも出来ました。 

いろいろなハプニングがあったりしましたが、とても素晴らしいワークキャンプでした。 

・ 私はNICEワークキャンプ田人2023に本当に参加して良かったと思っています。 

今まで日帰り型のボランティアには参加してきましたが、2泊3日という宿泊型のボランティアは初参加でした。 

学部学科の違う7人の仲間との2泊3日のワークキャンプは今まで感じたことの無い緊張感とワクワクから始まりました。着くと同時に8人で昼食のサンドイッチを作り、一気に打ち解けることができました。様々なワークを重ねていき、夜も8人で星空を見たり、カードゲームをしたり、確実に絆が深まっていったことを実感していきました。また現地の子供と一緒に川で遊んだり、温泉に行ったりと現地でしか味わう事のできない体験もできました。全ての出来事が新鮮でした。 

しかし宿泊型は日帰り型と違う部分も多くありました。宿泊型は、作業の前後の時間も仲間と常に過ごしているため、周りを見て、自分から仕事を見つけていくことが特に重要であり、難しいと感じた部分です。 

今回のワークキャンプの中で、下條夫婦を初め、田人町の方々との交流を通して、田人町の皆さんの思いを聞きました。そこでは普段考えないような内容も含め、多くの思いが込み上げてきました。改めて、NICEワークキャンプ田人2023は心から成長したと思える2泊3日でした。 

(理工学部機械工学科1年、SDGsアンバサダー 伊藤 瑞希さん)

 

*1:特定非営利活動法人NICE(日本国際ワークキャンプセンター)のウェブサイトに詳述。 https://www.nice1.gr.jp/workcamp/ 

2023ワークキャンプ田人.pdf