4/30・5/1

4/30)の活動詳細

・セントラルキッチン

お弁当を319個作った。作業内容は29日と同様だったが、作業量が多く大変だった。本日でセントラルキッチンが終わってしまうため、多くの人が活動に参加していた。地域住民の方々からの、感謝の言葉が数多く書かれてたメッセージカードを受け取っていた。また、シェフがセントラルキッチンで過ごす時間は充実していたと話されていた。活動参加者の一人は、「明日からすることが無くなってしまった。」とも。

・Sさん宅での瓦撤去作業

午前中は学生4人、午後は8人で活動した。大学職員やSさん一家も含めると10人以上参加したことになる。海岸に近い漁師町、深見地区にあるSさん宅。深見地区は、発災後土砂で道が寸断され、また海岸の隆起もあり、1月8日にヘリで救助されるまで孤立した生活を送っていた。現在は他県で避難生活を送っており、GWに合わせて荷物搬出の為、自宅に戻った。Sさん宅は屋根瓦の多くが落下し、現在は全ての瓦を降ろしているという状態だった。今回の活動内容は、家の裏に落ちた、大量の瓦の搬出だった。ひとつひとつ瓦の重みを感じながら、地道な作業が続いた。雨の日の作業は泥を含んでおり、瓦がさらに重くなったが、最後には、家の裏手の瓦や裏手に向かう道の瓦礫を、ほぼ全て撤去することができた。ただ、表側や側溝の深い場所に瓦が残っているので、まだまだ多くの人手が必要であると感じた。
依頼者やそのご家族は、学生と同じような作業を積極的に行ってくれているが、精神的・身体的負担が大きい作業のため、学生からも積極的に声掛けをしていく必要があると感じた。特に夏休みは熱中症のリスクもあるため、夏に活動実施する場合は、このことを参加メンバーに周知する必要がある。また、大きい瓦を砕く作業を行ったが、塀に瓦を打ちつけて粉々にするため、破片が飛び散るため、危険であった。また、そもそもその作業自体が不要であったと後に判明し、正確な情報共有が必要と感じた。瓦の撤去作業は、力を使うものの、ビフォーアフターが明確なので達成感を得られた。
Sさんはとても気さくな方で、会話が弾んだ。Sさんは「住民は政府の対応が遅いと言うが、自衛隊はすぐに駆けつけてくれた。」と話す。自衛隊は、沖に船を停めてからゴムボートで砂浜まで漕ぎつけ、物資を運搬したのだという。
Sさん宅に向かう途中の道は、海岸が3メートル近く隆起していた。そのため白色の死んだ珊瑚礁が地表に現れていたり、テトラポットが内陸の方にあったりした。海岸が隆起したおかげで津波が来なかったし、強風時に潮吹きが家にかからなくなって良かったという話も聞いた。隆起と聞くと一般的には自然の恐ろしさを感じ、悲観的に捉えるとは思うが、現地の人は現地でしかわからないような真逆ことを考えていた。世間一般と当事者が考えていることがこうも違うのだから、輪島の人と金沢や東京の人とで齟齬が生じるのも無理はないなと思った。

・Hさん宅での片付け作業

午前中は4人、午後は2人で活動を行った。活動内容は2階の家具の片付け・処分、公費解体予定の土蔵の、仕分け作業。運搬した家具は布団や棚など軽量のものが多く、午前中のうちに2階のものは予定通りに運搬することが出来た。午後は土蔵内の荷物の片付けを行ったが、荷物が多く、選別に時間がかかった。土蔵から出てきた荷物の中には、新品の食器やツボ、骨董品など様々。Hさんも土蔵の2階に入って整理をするのは40年ぶりとのこと。地震で土蔵の建物自体に被害はないと思っていたが、隣接していた納屋と土蔵との間に隙間が出来ていたり、隣家と土蔵の間は人が通れていたが、地震後通れなくなったと、隣の人からの声で建物への被害が発覚したそう。

5/1(水)の活動詳細

Kさん宅での片付け作業

Kさん宅は本郷地区に所在する。今回搬入したものの中には、棚の他に商用の冷蔵庫などもあった。Kさん宅のシャッターには毎年つばめの巣が作られるが、今回の地震を受けて取り壊す予定である為、来年つばめも巣を作れないことに、加藤さん方は悲しそうな表情をされていた。この状況でも他の生き物の心配をする加藤さんらの優しさを感じたと共に形容しがたい気持ちになった。

Yさん宅での片付け作業

2階から1階に物を運ぶのは大変だったが、もっとわかりやすいく具体的な 声掛け(上or下を持って欲しいなど)があればより安全に運べると感じた。声かけの表現も伝わりにくいのであれば即座に言い換えるなどの工夫が要ると思った。

宮下さんのお話

宮下杏里さんはボランティア受け入れを担当する事務局職員だ。今回、宮下さんから輪島市門前町についてお話を伺うことができた。

・門前町では、17年前にも地震が起きた。まさか短期間で次の地震が起こるとは想像もしていなかった。令和3年に總持寺も復興し、補助金のおかげで明治時代風の建物や石畳の道路になったが、また地震が起きてしまった。

・サイレンが鳴っていたが、どこが安全でどこが危険かわからなかった。住民同士の安否確認は顔馴染みだったのでできた。他の災害だと「あそこの人たち大変だね」と思うが、いざ災害が起こると本当に大変だ。大切な人へ、ここで感じたことや街の様子を共有して欲しい。

・2007年の地震は最大震度6強だった。当時、発災直後消防団は機能したが、一方で今回、消防団の小屋は潰れてしまい、夜にはサイレンやクラクションがずっと鳴っていた。揺れが強く長く、2007年のときと全く異なり、建物が潰れるだろうと思った。立ち上がれなかった。

・町は綺麗になったが、7792人 (2007年)から4489人 (2024年)へ人口が減少してしまった。門前に戻りたいという人もいたが、それでも尚、じわじわと減ってきている。高齢化率も県全体に比べ高く、人口の⅔以上が65歳以上。そんな状況の中、例えば「お店をするにも誰をターゲットにするか」など、どのように発展していくかが問題である。

・奥能登の魅力は「人」。奥能登に来てくれるみんなに優しいところ。この人たちが過ごしやすい門前を作りたい。

・目標は賑わいを継続させること (6月に門前マルシェなどのイベント実施)、宣伝・誘客に力を入れること (門前のことを知ってもらうということを心がけていきたいしボランティアにもそれを踏まえた上で参加してもらいたい)

・まちづくりに必要なのことは「魅力を知る」「挑戦 」「求められていることを知る 」「継続すること」「楽しむこと 」

・今はなんでもできるし、どこへでも行ける時代。だからこそ、自分が何をしたいかが見つけにくくなっている。

・自分が住む場所で、地震や津波などのリスクを考えて防災についての意識を高めて行って欲しい。

・防災に関する授業を設けるべきである。物資は5日くらい来なかったが、周りのコミュニティとの連携で、なんとか助かった。

・防災意識を共有する機会を大切にしていほしい。意識づけさせるのは大変なので、年1度きりでも良いからやった方がいい。

活動の振り返り

・石川県がボランティアを総合的に統括しているが、自治体が求めるニーズを把握しきれていないときく。自治体の最前線で動いているのはシャンティなどのNPO団体等だ。輪島や珠洲などが全国的に取り沙汰されているが、金沢市に近い町は液状化現象で今も苦しんでいたり、自分たちが泊まったホテルも一部、立ち入り禁止区域があったようだ。局所的にではなく、視野を広げて、北陸地域で起こった地震とその被害として見る必要がある。

・学生ボランティアは、長期休暇期間中を除いて遠方から参加しにくい。宿泊費や交通費などの経済的な面から「持続可能な支援」とは何なのかを考えていくべき。

・支援をする側とされる側、両者にとってWin-Winな活動をするにあたり必要なヒアリングを、どのように行ったら良いのか考えさせられた。

・能登の状況をテレビでしか知らなかったが、活動場所のすぐ隣も倒壊したままなど、復興は思っていた以上にスローペースだった。これらの現状を発信していくことが、実際に活動した私たちの使命だと思ったし、これからも継続的に支援を繋ぐ必要があると感じた。

・活動を通して一番感じたのが「地域住民の方の温かさ」。まだ大して活動をしていないのにお菓子をいただいたり……。また、お辛い気持ちもあるだろうなか、すごく楽しそうにお話しをしていただいた。街全体があったい。地元だと挨拶をしてくれないが、門前町では挨拶をしたら笑顔で話しかけてくれる。そんな門前町が大好きになった。遠くからも支援していきたいと思った。

・初めての参加だが、来てよかった。人と人とのつながりを実感して、言葉で聞くのと大分違うなと感じた。メンバー間のことも知ることができたし勉強になったほか、他大学の学生とも交流する事が出来た。東京にいたら味わえない体験だった。 

・門前の魅力は人だ。Hさんの家での出来事。蔵がズレてしまっていたが、倉庫の2階に使えるものがあったためそこから家財を運び出す作業をした。運ばれてきたものは壺や食器や輪島塗のお重、洋酒。すごい宝物が出てきたねと話をしたが、亡くなったHさんのお父さまが世界中で買い占めたものが大切にしまっていた。色々なものを失った中で、そういったものをこれからは日常で使っていきたいと言っていた。活動後、「父が”何かお礼をしなさい”と言っていた気がする」とHさん。コニャックを貰った。

・正直な話、ここに来るまで地震に対する感情が薄れていた。震災の時に東日本の親戚が亡くなり遺体を探す作業をしていたが、あの時を思い出し「地震を忘れていたな」と感じた。今は「関東でも近い将来地震は起きる」と皆危機感を持っているけれど、卒業後も地震はいつ起こるかわからないので、みんなの感想を心に留めて欲しい。
「何事も楽しく」という指針は、学生時代も今も大切にしている。学生の皆さんには、今後も継続的に楽しく活動し、勉強し、様々な経験を培って欲しい。また、学生同士の繋がり、門前やシャンティ、教職員との繫がりも大事にしてほしい。これらを大切にしておくことで、互いに支えあえる日が来るはず。(職員)