東洋大学学生課外活動育成会企画
2023年度 合宿型ボランティアプログラム
「ワークキャンププログラム(川)」

開催期間・日時

2023年8月26日(土)11:00 ~ 8月28日(日)14:00(2泊3日) ※事前学習会を8月7日(月)12:00〜13:00に、オンラインにより実施。 

場 所

静岡県掛川市 時ノ寿の森クラブ

目 的

地域の時代背景と森林の重要性を学ぶ。

地域の人と交流しながら,森林保全活動を行う。 

参加者数

8名 

共 催

東洋大学ボランティア支援室 特定非営利活動法人NICE(日本国際ワークキャンプセンター) 認定特定非営利活動法人 時ノ寿の森クラブ 

企画・運営

東洋大学SDGsアンバサダー

 現地コーディネーター 太田 静香さん(認定特定非営利活動法人 時ノ寿の森クラブ)

 活動内容(概要)

特定非営利活動法人NICEとの共催により実施したグループワークキャンププログラムは、夏季休暇期間中に福島県いわき市田人でのプログラムと、本稿で報告する静岡県掛川市でのプログラムの2つが実施されました。

以下、掛川プログラムの企画運営に関わった学生からの報告です。

私たちが活動を行った時ノ寿の森は、静岡県掛川市大沢集落に位置しています。この集落では、森の恵みを受けて人々が暮らしていました。しかし、高度経済成長期の大量生産・大量消費の波が村を廃村へと追い詰め、森が荒れ、川は涸れてしまいました。そこで廃村となってから21年後の1996年、「ふるさとの森」を再生しようと「時ノ寿の森クラブ」が発足しました。現在の時ノ寿の森は、地域の方々の長年の努力により、森が少しずつ再生し、廃村になってからは見られなかった虫が見られるようになったり、水位が低かった川が2倍にまで上がってきたりしています。里山の環境資源を活用し、子どもから大人まで自然の中で遊んで学ぶ普及啓発も行っています。森林を守り、森の豊かさや価値を楽しみ、森を共生する暮らし方を多くの人々に広めることを目標として掲げ、27年間活動し続けています。

参加者同士、お互いの顔を知らない人が多い中、1日目はまず掛川駅からマイクロバスで30分ほどの時ノ寿の森の中にある、B&Bゲストハウス森の駅に行きました。目的地までの道のりではだんだんと道が狭くなっていくことが感じられ、緑が増えていくと同時に店が減っていくのが見えました。着いた場所は「時ノ寿の森」の名の通り、森の中に位置していて川が近くに流れていました。虫がたくさん飛んでいたり、ヤギや鹿がいたりと生命を感じる自然豊かな所でした。到着後は活動背景や森林問題についてのオリエンテーションがあり、現在までの時ノ寿の森の変遷や、森林が及ぼす環境への影響を学びました。ワークは徒歩10分ほど歩いた先のしいのき平にて、鎌を使って下草刈りを行いました。しいのき平では植樹をしており、植えた植物の成長を妨げる草木を除去するため、生えている雑草を抜き取る作業を行いました。抜いた草は雑草が生えにくくなるようにするため、植えた植物のそばに置くと良いことを学びました。集中して3時間ほど行い、時間を共有するごとに仲間の絆が芽生え、初日のワークが終わりました。

活動後はチームに分かれて夕食と五右衛門風呂の準備をしました。どちらも時ノ寿の森クラブの方々に手伝っていただきながら、非日常の体験ができました。夕食のお米は炊飯器ではなく、羽釜という新潟県や福島県で有名な伝統のある調理器具を使って羽釜ご飯を作りました。羽釜はとても大きくてずっしりとした重さがあり、宿泊先のものは一度に3升炊くことができる大きさでした。お米を炊く際に必要な薪を割り、「薪は寝かせて真ん中よりもやや右側をめがけて打つと良い」ということを教えていただきました。途中から雨が降ってきましたが、地域の方々も交えてテントを張って外で夕食をとりました。ここでの交流が、より地域との繋がりを実感する瞬間になりました。お風呂はかまどを使って、薪を焚いて五右衛門風呂に入りました。普段とは異なる方法の夕食とお風呂は、このワークキャンプの記憶が色濃く残る瞬間となりました。

1日の最後には、レクリエーションを行いました。ここでは参加学生が自分の今までの人生の歴史を発表するというアクティビティを行い、ワークキャンプに参加するまでは知りえなかった相手のことを深く知ることができました。これが残りのワークや共同生活において、意見の出しやすさや相手を受け止めることなどの面で良い方向に働き、1日を無事に終えることができました。

2日目は起床後、朝食を作って身支度を整えた後、しいのき平に行って散策路整備のボランティア作業をしました。鹿が入ってこないようにすることと、訪れた人々が安全に遊べるようにするための柵立と、樹のベンチづくりを行いました。柵立では長方形の鉄の網同士を針金で括り付け、安定させるために鉄の棒で固定する作業を繰り返し行いました。作業前は機能していなかった柵が、合計約5時間の作業を経て完成しました。樹のベンチは、しいのき平から少し離れた多目的広場でチェーンソーを使って作りました。完成したベンチはしいのき平の広場に設置し、誰でも座れるようになりました。2日目のワークで、時ノ寿の森の遊び場に来た人が楽しめるような工夫を凝らした場所が完成しました。ワーク後に夕食を作り、キャンプファイヤー、花火、夜の探検をしました。キャンプファイヤーでは薪割り体験で割った薪を使いました。どのアクティビティもここまで過ごしてきた仲間たちとより一層絆を深めることができました。

3日目は,時ノ寿の森らしいことを体験しようという現地スタッフ太田さんのご提案により,3日目メイン活動の沢登りをしました。昨日まで作業を行っていたしいの木平から,B&Bゲストハウス森の駅までの道沿いに流れる川を上りました。川の中は大きな石が多くその上がとても滑りやすかったため,歩くのが大変でしりもちをついた学生が多数いました。進んで行く途中で,サワガニやメダカ,オタマジャクシ,大きなカエルと出会い,都会では経験できない貴重な体験をすることができました。沢登り終了後は昼食をとり,学生のみで3日間の振り返りをしました。そこでは,3日間の活動を終えて今思っていることについて一人ひとり発表しました。参加学生からは、「重いものを持って体を使う動きから細かい手作業のものなど多くの経験ができて楽しかった。勉強になった」という感想や、「自力で火を起こし、お釜でご飯を炊いたことが印象に残り、炊飯器で炊くのとお釜を使うのとでは味が違うことに気づけた。」などという声が上がりました。学生それぞれがいろんな期待をもって参加したワークキャンプでしたが,森林保全活動についてさらなる興味関心を得たり,リーダーとしての振る舞い方を知れたりといった様々な意義をみんな見いだせたようでした。私は、森林の環境を保護していくことは森に住む虫や動物が住みやすくなるだけでなく、地域の活性化や森に流れる川につながる海にまでも良い影響を与えることを知りました。今回のワークキャンプでは、ひとりだけで環境保護活動をするのではなく、人と人との繋がりがあるからこそ新しい事業を生み出したり、活動ができたりするのだと感じました。今後はここで得た学びを糧にして、森林清掃ボランティアや、植樹ボランティアなどに積極的に参加したり、興味を引くようなおもしろい形で森林保護の発信をしたりしたいです。

最後に,自然とB&Bゲストハウス森の駅と現地の皆さんに感謝を告げ,別れを惜しみつつ時ノ寿の森を後にしました。バスで掛川駅まで移動し,駅での解散となりました。

【参加学生からの声】

●これまで体験したことのない貴重な体験ができた。豊かな自然を守るために,あれだけの苦労があるのだと身をもって知ることができた。

●宿泊地につくまでの坂道が多く歩くのが大変だったが,その分テラスや窓からのとても美しい景色を見ることができた。