第41回 哲学堂公園
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第41回 哲学堂公園
東洋大学の創立者・井上円了先生を偲び、毎年6月6日に哲学堂公園近くの蓮華寺で「学祖祭」が行われています。
円了先生は中国(満州)・大連での講演中に倒れ、1919(大正8)年6月6日、61歳でこの世を去りました。円了先生はその一生の間に実に5503回もの講演を行い、のべ約139万人もの人々に対する啓蒙活動を続けました。そしてその収益や寄付金の多くは、哲学館や哲学堂公園の建築・維持に活用されました。1904(明治37)年に「四聖堂」を建立し、その後も、この公園を人々が“精神を磨くための公園”として円了先生は整備していきました。
実は私自身は、哲学堂公園をずっと訪れたいと思いながら、なかなか機会がありませんでした。最近ようやく、「井上円了と哲学堂公園を巡るスタディーツアー」に参加し、井上円了哲学センターの長谷川先生の解説を伺いながら園内を巡ることができました。丁寧な解説のおかげで、円了先生が「唯物園」や「唯心庭」、「直覚径」や「認識路」、そして知の象徴たる「絶対城(図書館)」など、哲学的な思索の道筋として作り上げた77カ所のスポットの意味や論理の流れに触れることができ、とても心を動かされました。哲学というと難しく感じる人も多いかもしれませんが、不思議とこの哲学堂公園では、それぞれの造形物が人びとにやさしく思索の道筋を教えてくれ、「そんなに難しく考えなくても良いよ」「もっと自由にまずは想いを巡らしてご覧なさい」と寄り添ってくれるようです。
まだ哲学堂公園に行ったことがない方は、ぜひ一度足を運んでみてください。事前に解説動画(「哲学堂公園の歩き方―井上円了が教える心を磨く精神修養―」)をご覧いただくと、より深く園内を味わうことができます(長谷川先生による動画はこちら )。また、園内77カ所のスポットを紹介する映像(25作品)が公式ホームページにありますので、動画を片手に散策するのもおすすめです(哲学堂公園HP [77場紹介ビデオ]はこちら)。
井上円了先生の志を今なお感じることのできる「哲学堂公園」、ぜひ一度その足で確かめてみてはいかがでしょうか。
東洋大学エクステンション課(現・社会貢献センター事務室)の資料を参考に作成されたガイドマップ(哲学堂公園管理事務所)
「四聖堂」孔子、釈迦、ソクラテス、カントを祀る。堂内中央部には、「南無絶対無限尊」と刻んだ石柱(唱念塔)が置かれている。
\この記事を書いた人/
公開日:2025年6月1日