04. きみもいつか
スイスの先輩と日本のエース
<2013年ハレの大会直前>
「今日は練習に付き合ってくれてありがとう」
「いいえ、こちらこそ。そういえば、髪ずいぶん短くしたんですね」
「ちょっと気持ちを切り替えたくてね」
「そうなんですか。……ああ、夏だから! ぼくも切ろうかな。じゃあ、これで。がんばってください」
「うん。きみも」
彼の後姿に向かって、声を出さずに話しかけた。
きみも、いつかわかるよ。
若手に負かされることがどれほど悔しいものか。
まるで、髪の毛を短く切りたくなるぐらいだ。