投稿日: 2022/03/14 12:52:55

うつ病は寛解後も症状がくすぶり続け、高確率で再燃することが知られています。

今回、一度発症した者に形成された症状間のつながりが「痕跡(trace)」のように残されている可能性を見いだしました。

この「痕跡」による再発の影響までは検討できていませんが、Teasdaleの活性化理論や現行の診断基準とも合わせて考えることができる興味深い現象かと思います。

内容：

罹患の有無と重症度によって分類した４グループ間で、21症状に関する正則化偏相関グラフを比較しました。

寛解うつ病のグループは健常者と同程度の症状スコアにもかかわらず、現在うつ病グループと同じような密な症状のつながりがありました。

一方で、罹患歴のない高抑うつグループは症状スコアは現在うつ病に続いて高いものの、疾患群よりも症状間が疎な関係にあり、個々の症状が単独で存在している可能性がありました。

このグラフの密性が「複数の症状が同時に存在する」という診断概念を満たし、一つの症状の経験によってもそれが起こりうることを説明できると考えています。

キーワード：

うつ病（Depression），うつ症状（Depressive symptoms），精神病理ネットワークモデル（ Psychopathology network model），正則化偏相関ネットワーク（regularized partial correlation network），BDI-II（Beck Depression Inventory-Second edition），寛解（remission），閾値下うつ（Subthreshold depression），連続性（continuity）