■認知発達理論分科会第53回例会のご案内
発達のプロセスは多様であるにもかかわらず,年齢群ごとの平均値をつなげるアプローチが大部分です。また,変化のメカニズムの説明も因果的に行われることが多く,システムの発達という視点が乏しいのが現状です。そこで,今回の例会では,発達をダイナミックに捉えようと試みている2つのアプローチを検討します。具体的には,Handbook of Child Psychology and Developmental Science Vol.1の第3章と第4章を取り上げます。ショートレクチャーは、名古屋大学の氏家達夫先生にお願いしています。会場はJR「新大阪」駅東口から50mの便利な場所です。多数の皆様のご参加をお待ちしております。
●日時:2017年9月9日(土)10:00〜17:00
●場所:CIVI研修センター 新大阪東 E605室 http://www.civi-c.co.jp/access.html
●文献:Handbook of Child Psychology and Developmental Science(7th Edition, 2015)Volume 1, Theory and Method
http://www.wiley.com/WileyCDA/WileyTitle/productCd-1118136772.html
第3章 Dynamic Systems in Developmental Science
David C. Witherington
第4章 Dynamic Development of Thinking, Feeling, and Acting
Michael F. Mascolo and Kurt W. Fischer
●時間割
司会:乾 敏郎(追手門学院大学),杉村伸一郎(広島大学)
10:00 開会
10:05〜11:05 第3章前半 レポーター:藤 翔平 氏(広島大学大学院教育学研究科M1)
11:10〜12:15 第3章後半 レポーター:三宅英典 氏(広島大学大学院教育学研究科D3)
12:15〜13:15 昼食
13:15〜14:15 第4章前半 レポーター:日原尚吾 氏(広島大学大学院教育学研究科D2)
14:20〜15:20 第4章後半 レポーター:石橋彩波 氏(広島大学大学院教育学研究科M1)
15:35〜16:35 ショートレクチャー 「発達の多様性と安定性をどうとらえるか?」
講師:氏家達夫 先生(名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教授)
16:35〜17:00 全体討論
●ショートレクチャー概要
このショートレクチャーでは、私が長年温めてきた発達についてのアイディア(理論的想像図)を紹介し、それを裏づけるような観察例をいくつか提示する。また、このアイディアにもとづいて研究するための必要事項やむずかしさについても議論する。
私の理解では、安定性と変化可能性は発達の基本的性質である。システムは、安定した状態から変化し、さらなる安定した状態にたどり着く。このプロセスは、弁証法的であり、安定性の中に、新たな安定性を導く契機が含まれる(生み出される)。このプロセスは、あらかじめ決まった時期に、決まった道を通って進行するものではなく、多くの要因のダイナミックな相互作用で決められる。このプロセスは、時期、パス、方向、新たな定常状態のいずれも多様である。しかし、システムは、ある意味必然的ともみえるパスをたどりながら、変化していく。このプロセスは、単に実現し得るだけでなく、システムが“望む”ゴールに向けて選ばれていくように見える。「生命は必ず道を見つける」のは、生命があらかじめ(最初からではないかもしれないが)行先を知っているからに他ならない。生物の目標追求的、目的的な性質が重要な役割を果たしていることを忘れてはならない。
●参加申し込み・参加費:事前の参加申し込みは必要ありません。また,参加費として2,000円徴収しますが,今回お支払いいただいた方は今年度の以後の例会につきましては無料で参加できます。院生など定職のない方は無料です。
●問い合わせ:本例会について内容に関してのお問い合わせは第53回例会幹事の杉村伸一郎(広島大学 E-mail: shinsugi@hiroshima-u.ac.jp)まで,その他に関しては木村美奈子(事務局:名城大学,E-mail: kmina@meijo-u.ac.jp)までお願いします。
認知発達理論分科会に関しましては下記のホームページをご覧ください。
https://sites.google.com/site/renzhifadalilunfenkehui/home
●懇親会:研究会終了後,会場近くにて懇親会を開く予定です。レポーターと学生会員の方には参加費の割引があります。こちらも是非ご参加ください。