●日時:2012年6月30日(土)午前10時00分~午後5時30分
●場所:東京電機大学千住キャンパス1号館12階 11210A情報通信工学科大会議室
●文献:The Origin of Concepts (Oxford Series in Cognitive Development),Susan Carey Oxford University Press Inc; Reprint版 (2011/5/13),ISBN-13: 978-0199838806
●例会当日の時間割 司会:小島康次・月本 洋
10:00~11:10 第4章 菊地紫乃さん(お茶の水女子大学大学院博士課程)
11:10~12:20 第7章 齋藤有さん(お茶の水女子大学大学院博士課程)
13:30~14:40 第8章 王暁曦さん(早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程)
14:40~15:50 第9章 伊藤朋子さん(日本学術振興会特別研究員PD)
15:50~16:50 ショートレクチャー
16:50~17:30 全体討論
●講師:外山紀子(津田塾大学国際関係学科教授)
●講師紹介 食にかかわる子どもの発達を研究している。食事場面の観察を行い,養育者-乳幼児間・幼児期の仲間間インタラクションを検討しているほか,食や身体現象(食べ物の汚染や消化のメカニズムなど)の生物学的理解の発達にとりくんでいる。近年は,心因性の身体現象に関する理解を題材として,領域固有性や生得的制約,さらには社会文化的構成といった問題をどう位置づけたらよいかについて考えている。
●ショートレクチャーの概要"The Origin of Concepts"(Carey, 2009)の1章・12章を中心に解説を行う。この本でCareyは,なぜ人間だけが深淵で明示的な概念的理解を得るに至ったのかという問いに答えようとしている。何百万年にもわたる進化のプロセスは,人間に,表象能力という生得的な能力を授けるに至った。さらに,文化歴史的文脈における学習のプロセスは表象のための新たなリソースを生み出した。個体発達はそれらの土台の上にあるが,子どもはわずか数年間で,文化的に構成されたリソースを習得し,生得的に与えられている表象能力を超越した能力を獲得するに至る。Careyがこの本のなかで論じているのは,最後のプロセス(個体発達)における概念発達の問題である。Careyは,概念発達には質的変化の過程があり,それによって,現在のシステムよりも強力で,さらには”core cognition”とは時として共約不可能な表象システムが作り出されるのだと主張する。その鍵となる”Quinian bootstrapping processes”とはどのようなプロセスなのか,果たしてそれは可能なのか,Careyの主張を読み解きながら参加者のみなさんと議論したい。