認知発達理論分科会第47回例会のご案内
第47回例会では,レディ,V. (2015)『驚くべき乳幼児の心の世界』(ミネルヴァ書房)を文献として講読します。本書は,Reddy, V. (2008) How infants know minds. (Harvard University Press)を佐伯胖先生が訳されたものです。
ショートレクチャーは,伊藤崇先生(北海道大学)にお願いしています。伊藤先生は,幼児期から児 童期にかけての子どもを含むコミュニケーション場面の相互行為分析を手がけられています。乳児期の子どもがご専門ではありませんが,「そもそもなぜ私たち は他者の心が分かるのか」という本書の問いはコミュニケーションのしくみを考える上での根本的な問いのひとつですので,ご自身の関心からその問いに対して どのようにアプローチされるのかお話ししていただけることでしょう。
さらに,著者のレディ氏は来年開催される発達心理学会第27回大会(北海道大学)にてご講演される予定です。その意味でもとてもタイムリーな企画となっております。
今回は札幌での開催です。会場は北海道大学札幌キャンパスの正門そばにあり,札幌駅からも歩いて5分ほどの場所にあります。多数の皆様のご参加をお待ちしております。
●日時:2015年9月27日(日)13:00~17:30
●場所:北海道大学学術交流会館第3会議室
北海道大学─学術交流会館へのアクセス
https://www.hokudai.ac.jp/introduction/campus/hall/
〒060-0808 北海道札幌市北区北8条西5丁目 TEL:011-716-2111(代表)
●文献:レディ, V. (2015)『驚くべき乳幼児の心の世界』(ミネルヴァ書房)
ISBN 978-4623071739(https://www.minervashobo.co.jp/book/b193436.html)
●時間割およびレポーター(司会:小島康次)
13:05-14:00 第2章 ギャップに注意 蒔苗詩歌さん(北海道大学大学院)
14:00-14:55 第3章 かかわる心 及川智博さん(北海道大学大学院)
14:55-15:50 第4章 出会いをつくる 保坂和貴さん(拓殖大学北海道短期大学保育科)
16:00-17:00 ショートレクチャー:伊藤 崇先生(北海道大学教育学院准教授)
テーマ:「他者同士の「見る/見られる」という出来事はいかにして知覚できるのか」
17:00-17:30 全体討論
●ショートレクチャーの概要:
乳児にとって,他者から対象として見られるという経験が,外的な対象を見ることの出発点となっているというレディの主張は,知的能力,社会性や情動の発達 に関心を持つ研究者にとっては無視することができない重要な指摘であろう。「見られる」という経験が乳幼児と大人の間において重要な意味を持つことは,他 の研究領域,例えばコミュニケーションを対象とした社会学でも近年指摘されている。本報告では,幼児を含む家庭内コミュニケーションにおいて,幼児が親の 視線の動きやその方向に注目をしていること,その方向次第で幼児の会話上の役割がたくみに変えられていくことを示す。一方で,本報告が立脚する相互行為分 析という分析法は観察者から観察可能な出来事にのみ言及することを旨とする。レディの「二人称的アプローチ」を出発点とする発達観はそこにどのように組み 込めるのか。すなわち,私たち観察者にとって,乳幼児と大人の間の「見る/見られる」という経験はいかにして記述可能なのか。参加者との議論を通して考え てみたい。
●参加申し込み・参加費:
事前の参加申し込みは必要ありません。また参加費に関しましては日本発達心理学会認知発達理論分科会員の皆さんは,規約にありますように年会費(今回のみの参加費ではありません)として2000円徴収しますが,院生など定職のない人は無料です。
●問い合わせ:
本例会について内容に関してのお問い合わせは第47回例会幹事の小島康次(北海学園大学 E-mail:kojima@elsa.hokkai-s-u.ac.jp)へ,その他に関しては山名裕子(事務局:秋田大学 E-mail: yamana@gipc.akita-u.ac.jp)までお願いします。また認知発達理論分科会の紹介や過去の例会に関しましては下記のホームページを ご覧ください。
https://sites.google.com/site/renzhifadalilunfenkehui/home
●懇親会:
研究会終了後,会場近くにて懇親会を開く予定です。レポーター及び学生会員には参加費の割引があります。今のところ北大正門近くの「和食屋 駿(しゅん)」を18時から予定しています。北海道の旬の味を楽しんでいただけると思いますので,こちらも是非ご参加ください。