■認知発達理論分科会第50回例会のご案内
第50回例会では,The Wiley-Blackwell Handbook of Childhood Cognitive Development(Usha Goswami編)から4個の章を取り上げます。ショートレクチャーは、早稲田大学の中垣啓先生にお願いしています。演題は「英米の認知発達研究に欠けて いるものは何か」です。興味深いお話を聞けると思いますので、多数の皆様のご参加をお待ちしております。
●日時:2016年9月24日(土)10:00~17:30
●場所:早稲田大学・早稲田キャンパス14号館7階716教室。詳しくは以下の地図参照。
会場へのアクセス(http://www.waseda.jp/top/access/waseda-campus)
●文献: The Wiley-Blakwell Handbook of Childhood Cognitive Development (Usha Goswami編) 2013年(paperback)ISBN-13: 978-1118586662
●時間割およびレポーター(司会:中垣啓・月本洋)
10:00 開会
10:05~11:15 8章 Development of the Animate–Inanimate Distinction (John E. Opfer and Susan A. Gelman)
担当:三國隆子さん(東京立正短期大学)
11:20~12:30 15章 Inductive and Deductive Reasoning(Usha Goswami )
担当:ローセンクウィスト葉月さん (玉川大学大学院教育学研究科修士課程)
13:30~14:40 21章 Children's Understanding of Mathematics (Peter Bryant and Terezinha Nuñes)
担当:池田康子さん(早稲田大学大学院教育学研究科研究生)
14:45~15:55 24章 The Empathizing-Systematizing (E-S) Theory of Autism: A Cognitive Developmental Account Simon (Baron-Cohen)
担当:西田麻野さん (首都大学東京大学院人文科学研究科博士課程)
16:10~17:00 ショートレクチャー:英米の認知発達研究に欠けているものは何か
講師:中垣啓先生(早稲田大学教育学部教授)
17:00~17:30 全体討論
●ショートレクチャーの概要:
今回の例会で取り上げるThe Wiley-Blackwell Handbook of Childhood Cognitive Developmentは認知発達研究各分野の著名な研究者がその分野の研究をレヴューした諸論文を、レヴュー論文の執筆者の一人でもあるイギリスの代表 的な認知発達研究Usha Goswamiが編集したものであり、本書によって、英米における今日の認知発達研究の前線を知ることができる。本書を概観す ると、英米流のアプローチや発想法とは違った系譜から認知発達研究を行なってきた者から見て、英米流の認知発達研究に共通した問題点があるように思われ る。
結論を先取りして言えば、要素論的アプローチに終始しており、全体論的発想を欠いているように思われる。すなわち、ある課題を課して子ども が失敗すると、課題解決に必要な操作的全体構造を問題とするのではなく、課題を構成すると思われる諸要素に分解し、その1つあるいは幾つかの要素に変更を 加えて課題解決に成功するようになると、元の課題を解決するのに必要な認知構造を既に持ち合わせていたと推論する傾向がある。そのため、研究の焦点は発達 そのものに当てられるのではなく、発達の始点にどこまで遡れるかという点に矮小化してしまうのである。
この小講演では、報告諸章において取り上 げられているR. Gelmanらによる AID(Animate–Inanimate Distinction)(第8章)、U. Goswamiによ るanalogical reasoning、あるいは、P.L. Harrisらによるdeductive reasoning(第15章)、R. Gelmanらによるcounting principles、あるいは、Wynnによるarithmetical operations(第21章)の研究について、どこが問題なのかを具体例 に即して指摘したい。日本における認知発達研究は英米の研究に席巻されているので、多くの認知発達研究者にご参加いただき、皆さんのご意見、ご批判を是非 頂きたいと思っている。
●参加申し込み・参加費:事前の参加申し込みは必要ありません。また,参加費として二千円徴収しますが,今回お支払いいただいた方は今年度の以後の例会につきましては無料で参加できます。院生など定職のない人は無料です。
● 問い合わせ:本例会について内容に関してのお問い合わせは第50回例会幹事の月本洋(東京電機大学: tsukimotoi@c.dendai.ac.jp)へ,その他に関しては木村美奈子(事務局:名古屋芸術大 学: minakimura@nua.ac.jp)までお願いします。また認知発達理論分科会の紹介や過去の例会に関しましては下記のホームページをご覧 ください。
https://sites.google.com/site/renzhifadalilunfenkehui/home
●懇親会:研究会終了後,早稲田大学教員食堂「南亭」で懇親会を開く予定です。レポーターおよび学生会員には参加費の割引があります。こちらも是非ご参加ください。