人間の精神発達における社会の役割は心理学者,社会学者によって以前から指摘されてきたものの,それを明確に概念化しようとすると様々な困難な心理学的・認識論的問題が生じてきます。
第 42回例会では,Social Interaction and the Development of Knowledge eds. by Jeremy I.M. Carpendale & Ulrich Muller, LEA 2004を文献として取り上げ,この問題の重要性と課題を様々な角度から検討します。本例会のコメンテーターである高田明先生(京都大学大学院アジア・ア フリカ地域研究科・准教授)は文化人類学や心理学等の分野で幅広く活躍され,具体的なフィールドを持ってこの問題に正面から取り組んでおられます。ショー トレクチャーでは,子どもが育つことと社会的相互行為(および,それを組織化する文化的構造)の関係について有益なお話をいただけるものと思いますので, ご期待ください。
【日時】2013年12月14日(土)10:00~17:30
【場所】早稲田大学・早稲田キャンパス14号館7階716教室
詳しくは以下の地図参照。会場へのアクセス
( http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html )
◇文献:Social Interaction and the Development of Knowledge eds. by Jeremy I.M. Carpendale & Ulrich Muller, LEA 2004
◇時間割およびレポーター 司会:中垣啓(早稲田大学),月本洋(東京電機大学)
10:00 開会
10:05~11:15 第3章 Piaget's Social Epistemology
レポーター: 菊地紫乃さん (お茶の水女子大学博士後期課程)
11:20~12:30 第4章 Individualism and Collectivism: A Dynamic Systems Interpretation of Piaget's Interactionism
レポーター:阪脇孝子さん (早稲田大学非常勤講師)
13:30~14:40 第7章 The Development and Overcoming of "Universal Pragmatics" in Piaget's Thinking
レポーター: 齋藤有さん (お茶の水女子大学博士後期課程)
14:45~15:55 第11章 From Joint Activity to Joint Attention: A Relational Approach toSocial Development in Infancy
レポーター:柿原直美さん (法政大学兼任講師)
16:10~17:00 ショートレクチャー: 講師 高田明先生(京都大学准教授)
演題:「サンの養育者-子ども間相互行為における共同的音楽性と道徳性」
17:00~17:30 全体討論
◇ショートレクチャー講師自己紹介:南部アフリカの狩猟採集民として知られるサン(ブッシュマン)をおもな対象として,次の3つの領域において研究を進めている。
(1)養育者-子ども間相互行為,(2)環境認識,(3)エスニシティの変遷,さらに,これらの研究を関連づけて,サンの社会的相互行為を組織化する文化的構造を明らかにしようとしている。
◇ ショートレクチャー概要:本発表では,南部アフリカのサンにおけるジムナスティック(乳児を膝の上で抱え上げ,立位を保持,あるいは上下運動させる一連の 行動)や歌/踊り活動の微視的な相互行為分析を行う。そしてこうした活動によって,幼い子どもにもその時その場で何をするべきかが示され,その社会におけ る道徳性の基礎が形作られることを明らかにする。さらに,そうした道徳性の組織化について探究するためには,共同的音楽性というパースペクティブ (Malloch & Trevarthen 2009)が有効であることを示す。
【参加申し込み・参加費】事前の参加申し込みは必要ありません。また参加費に関しましては日本発達心理学会認知発達理論分科会員の皆さんは,規約にありますように年会費(今回のみの参加費ではありません)として千円徴収しますが,院生など定職のない人は無料です。
【問 い合わせ】本例会について内容に関してのお問い合わせは第42回例会幹事の月本洋(東京電機大学E- mail:tsukimotoi@c.dendai.ac.jp)へ,その他に関しては山名裕子(事務局:秋田大学,E-mail: yamana@gipc.akita-u.ac.jp)までお願いします。また認知発達理論分科会の紹介や過去の例会に関しましては下記のホームページを ご覧ください。
https://sites.google.com/site/renzhifadalilunfenkehui/home
【懇親会】研究会終了後,会場近くにて懇親会を開く予定です。レポーター及び学生会員には参加費の割引があります。こちらも是非ご参加ください。
(情報提供者:山名裕子)