研究
研究プロジェクトおよび主な文献 (業績一覧はこちら)
1)データを用いて人の経験や勘・コツを言語化する技術,2)人工知能システムを持続可能に運用するための技術,3)それらの基礎となるメディア情報処理技術,パターン認識・機械学習の要素技術について研究を行っています.
人の意思決定を支援する人工知能システムの持続可能な構築・運用法
インフラ設備のスマートなメンテナンス,畜産業や水産業といった第一次産業従事者の意思決定支援を題材として,人工知能システムを持続可能にする,つまりシステムを早期運用可能にする(ビッグデータが利用できなくても頑健に高い性能を与えるようにする)とともに,個々の環境においてシステムを適応的に成長させるための方法論について研究を行っています.現在,ビッグデータを背景に深層学習技術が進展していますが,特に実社会の課題にパターン認識技術を適用しようとした場合,ビッグデータを想定できない場合がほとんどであり,end-to-endの深層学習技術を適用することは現実的ではありません.このように,「ビッグデータ時代にビッグデータを使えないときに何ができるか?」を考えることは重要です.そのために以下のアプローチに焦点を当てて研究を行っています.
データ駆動型特徴抽出 (Data-driven Feature Extraction): 目的のタスクにおいて本質的な特徴量を抽出するために,関連する大規模データを用いて構築した深層ニューラルネットワークを活用する. (キーワード: 特徴表現学習,自己教師あり学習,転移学習)
データ同化 (Data Assimilation): 専門家の知見をモデルに組み込む.(キーワード: 状態空間モデル,時系列解析,ベイズモデリング)
無理のない形で人の協力を得る機械学習 (Human-in-the-loop machine learning): ヒューマンパワーを活用することでラベル無しデータを利用可能にし,目的環境に対してシステムを適応する.(キーワード: 半教師あり学習,能動学習,クラウドソーシング).
また,意思決定支援である以上,ユーザにとって直感的で,結果を説明可能でなければ使ってもらえません.そのために,帰納的な(データに頼り切る)アプローチと演繹的な(ドメイン知識を有効活用する)アプローチを統合して用いることを重要視しています.
スマートメンテナンス
産業機械に対する費用対効果の高いメンテナンスを実現するために,機器が故障停止する前に故障の予兆を事前に検知する(異常予兆検知)技術の研究・開発を行っています.
医療・看護支援
重症心身障害児のコミュニケーションを支援する人工知能技術,特に映像から児の感情状態や意図をその根拠とともに予測する技術の研究・開発を行っています.
音声・音響情報処理
システムにとっての未知入力に対して頑健に高い性能を与える音声処理システムを構築する方法論に関する研究を行っています.
音声合成
音声合成は,テキストから音声信号を生成する,もしくは音声信号を加工する技術です.基本技術の開発・拡張,およびクラウドソーシング時代の音質評価のあるべき姿を模索しています.
歌声認識
音高や技法だけに限定されない歌声の評価・採点や,楽曲推薦のための歌声の類似性評価を可能にするための基本技術の開発・拡張を行っています.
画像・映像情報処理
画像・映像処理アプリケーションのための基本技術について研究・開発を行っています.
物体検出と物体追跡
画像・映像中の特定物体を検出する技術,映像中の移動物体を追跡する技術について,ユーザとの連携に焦点を当てて高効率・高精度な技術の開発・拡張を行っています.